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第二章 新たな出会い
#22 ノアルの武器作り
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「うーん、どの依頼受けようか?」
「……いっぱいある」
パーティーを組んだ僕達は、依頼を受けるため、クエストボードと言われている依頼掲示板の前に来ている。
「討伐依頼も結構あるけど、最初は採取依頼とかにしておいた方がいいかな?」
「……ノアルはどっちでもいい。 ……でも、討伐の方が報酬いい」
「そうなんだよねー」
やはり危険が伴うからか、討伐依頼の方が採取依頼よりかなり報酬がいい。
最初は採取依頼にしようと1人の時は思っていたが、ノアルを故郷の村に送り届けるっていう僕の中での目標があるから、その為にも少しお金が欲しい。
何日かに分けて行くことになるだろうから、その為の準備にお金がいるし。
「うん、じゃあこれにしようか」
「……了解」
僕が選んだのはゴブリン5匹の討伐という依頼だ。
沢山ある青ランクの討伐依頼の中で1番難易度と報酬が低く、報酬金は銀貨8枚となっている。
とは言っても、1番高い採取依頼の1.5倍くらいの報酬ではあるのだが。
それと、5匹というのは最低ラインで、討伐出来るのならそれ以上討伐してきてもいいそうだ。
報酬はそれによって上乗せされていくらしい。
依頼を受付まで持って行き、受理してもらう。
そこで依頼を受ける上での注意点をいくつか聞いた。
「依頼に失敗すると違約金が発生するので気をつけてください。 ただ、無理はしないでように。 違約金と言っても金貨1枚くらいなので、無理だと思ったらすぐに逃げる事を強くオススメします」
「分かりました」
「はい、それでは受理しましたので、気をつけて行ってきてください」
職員さんに見送られ、ギルドを後にした。
「……ショーマ」
「ん? どうしたの?」
「……武器屋に行きたい」
「そういえば、ノアルの戦い方とか僕なにも知らないや」
依頼を受ける前に確認し合うべきだったな。
うっかりしていた。
「……ノアルの職は獣戦士。 ……戦闘スキルは双剣術と格闘術、あと身体強化の魔法も使える」
「って事は双剣が欲しいの?」
「……ん。 ……短剣術も持ってるけど、双剣の方がいい」
「そっか。 それなら僕に任せてくれない?」
「……? ……なにするの?」
「僕の職業の一つに武器を作れるものがあるんだ。 僕の剣も自分で作ったからノアルもどう? あ、もちろんいらないなら武器屋で……」
「いる、ショーマが作った剣がいい」
ノアルはそう言って、いつもとは違い即答しながら僕に詰め寄り、顔を近づけてきた。
「わ、分かったよ。 そんな詰め寄らなくても作るから」
「……ん」
いつも通りな返事に戻ったノアルは僕から離れた。
ただ、僕から離れたノアルの猫耳がピコピコしていて、尻尾も上を向いて少しゆらゆらしていた。
喜んでくれているってことでいいのかな?
「それじゃあ、森の方に行こうか。 そこでノアルの武器作りながら、僕の職業とかの話をしよう」
「……ここじゃダメなの?」
「うーん、あんまり公にしたくないんだよね。 それに、僕の力について話すのは、僕が信用出来ると思った人だけだから、それ以外の人には話したくないんだよね」
「……ノアルは信用出来る?」
「うん、出来るよ。 それに、一緒に戦うんだから話しておかないとね」
「……嬉しい、頑張る」
お、ノアルが張り切ってる。
僕も頑張らないとだな。
*
場所をいつもの森に移して、とりあえずノアルの武器の製作に取り掛かることにした。
「よし、それじゃあ僕の職業について、使いながら説明していくね」
「……ん」
そう言いながらこの前譲ってもらった酸化鉄の樽を取り出した。
「これを使ってノアルの武器を作っていくよ」
「……錆びてる?」
「そうだね。 このままじゃ使えないから、僕の職業の一つ、鍛冶師のスキルを使って、この錆びた鉄から武器作りに使える部分だけを取り出すんだ」
「……おー」
少し分かってなさそうな顔でノアルが声を上げた。
「口で説明するより、見てもらった方が早いだろうから、やってみるね」
「……ん」
そう言って僕は酸化鉄の樽をひっくり返して、地面に鉱石と砕けて細かい石や砂のようなものになった酸化鉄の山を作った。
そして、その山に向かって分離スキルを使い、酸化した部分と武器作りに使える鉄の部分を分けるようなイメージをする。
すると、数秒で鉱物の山からかなり大きいインゴットが一つ分離し、残った山はさっきよりも赤茶色の色になっていた。
「うん、出来るかわからなかったけど、出来たね」
「……これ、鉄?」
「うん。 酸化鉄から分離させた鋼のインゴットだよ。 これが僕の分離スキルで、反対に素材を混ぜ合わせれる合成も使えるんだ」
「……すごい」
ノアルは目を丸くして感心していた。
ちなみに上手くいかなかったら、僕が持っているロングソードを作り直そうかと思っていたが、成功してよかった。
「ありがとう。 それじゃあこれを使って、ノアルの武器作っていくけど、双剣のサイズってどれくらいがいい?」
「……ロングソードの半分より少し長いくらい?」
「分かった。 それくらいで作るね」
早速さっき作ったインゴットを使って双剣を作っていく。
双剣が作れるくらいの量になって良かったな。
鉱物操作を使い、インゴットの形を変えていくと、再びノアルは驚きの表情を浮かべていた。
「……なに、それ?」
「これも鍛冶師のスキル、鉱物操作だよ。 鉱物の形を僕のイメージ通りに変えられるスキルだね」
やっぱりこのスキルで鉱物がグニャグニャ形を変えていくのは物珍しいものになるのか。
ノアルもすごい見てるし。
それから少しして、しっかりとした双剣が作れた。
2つのインゴットに同時にスキルを発動させて同時並行で2本の剣を作ったが、問題なく作れた。
そして、完成品を鑑定してみる。
【ツインソード+2】:
力+120
鉄を使って作られた双剣。
作成者の力量により、魔法を2つ付与することが出来る。
品質もかなり良いため、一般的なツインソードより力のパラメーターの上昇率が高い。
作成者はショーマ=ケンモチ。
あ、今回は+2だ。
ノアルのために作ったものだから出来れば+3が良かったんだけど、今回はしょうがないか。
今回は間に合わせだし、また今度別の素材で作ったりするだろうから、その時には+3以上が付くといいな。
そして、双剣を作った流れで魔法付与もしてしまうことにした。
ノアルにその事を伝えると、また「……すごい」と言ってくれた。
褒められるとやっぱり嬉しいよね。
付与するのは、僕のロングソードと同じ斬撃強化と耐久値上昇だ。
+3だったら、速度上昇とか付けたかったんだけど、それはまた今度にしよう。
「はい、これがノアルの武器だよ。 持ってちょっと振ってみたりしてみてくれない?」
「……ん、分かった」
ノアルは双剣を受け取り、僕と少し距離を開けて素振りをし始めた。
その動きはとても速く、その動きだけで戦闘能力の高さを垣間見ることが出来るものだった。
それから少しの間ひとしきり素振りをして、ノアルは動きを止めると、こちらに寄ってきた。
「……とても使いやすい。 本当にもらっていいの?」
「もちろん。 ノアルのために作ったものだし、それで自分の身を守ってもらえるなら僕も作り手として嬉しいからさ」
「……ありがと。 大切に使う」
ノアルは笑顔で僕の方を見つめ、そう言ってくれた。
あんまり感情の起伏が激しい方じゃないけれど、こんな表情も出来るんだな。
その笑顔に少しドキッとしてしまったのは秘密である。
「……いっぱいある」
パーティーを組んだ僕達は、依頼を受けるため、クエストボードと言われている依頼掲示板の前に来ている。
「討伐依頼も結構あるけど、最初は採取依頼とかにしておいた方がいいかな?」
「……ノアルはどっちでもいい。 ……でも、討伐の方が報酬いい」
「そうなんだよねー」
やはり危険が伴うからか、討伐依頼の方が採取依頼よりかなり報酬がいい。
最初は採取依頼にしようと1人の時は思っていたが、ノアルを故郷の村に送り届けるっていう僕の中での目標があるから、その為にも少しお金が欲しい。
何日かに分けて行くことになるだろうから、その為の準備にお金がいるし。
「うん、じゃあこれにしようか」
「……了解」
僕が選んだのはゴブリン5匹の討伐という依頼だ。
沢山ある青ランクの討伐依頼の中で1番難易度と報酬が低く、報酬金は銀貨8枚となっている。
とは言っても、1番高い採取依頼の1.5倍くらいの報酬ではあるのだが。
それと、5匹というのは最低ラインで、討伐出来るのならそれ以上討伐してきてもいいそうだ。
報酬はそれによって上乗せされていくらしい。
依頼を受付まで持って行き、受理してもらう。
そこで依頼を受ける上での注意点をいくつか聞いた。
「依頼に失敗すると違約金が発生するので気をつけてください。 ただ、無理はしないでように。 違約金と言っても金貨1枚くらいなので、無理だと思ったらすぐに逃げる事を強くオススメします」
「分かりました」
「はい、それでは受理しましたので、気をつけて行ってきてください」
職員さんに見送られ、ギルドを後にした。
「……ショーマ」
「ん? どうしたの?」
「……武器屋に行きたい」
「そういえば、ノアルの戦い方とか僕なにも知らないや」
依頼を受ける前に確認し合うべきだったな。
うっかりしていた。
「……ノアルの職は獣戦士。 ……戦闘スキルは双剣術と格闘術、あと身体強化の魔法も使える」
「って事は双剣が欲しいの?」
「……ん。 ……短剣術も持ってるけど、双剣の方がいい」
「そっか。 それなら僕に任せてくれない?」
「……? ……なにするの?」
「僕の職業の一つに武器を作れるものがあるんだ。 僕の剣も自分で作ったからノアルもどう? あ、もちろんいらないなら武器屋で……」
「いる、ショーマが作った剣がいい」
ノアルはそう言って、いつもとは違い即答しながら僕に詰め寄り、顔を近づけてきた。
「わ、分かったよ。 そんな詰め寄らなくても作るから」
「……ん」
いつも通りな返事に戻ったノアルは僕から離れた。
ただ、僕から離れたノアルの猫耳がピコピコしていて、尻尾も上を向いて少しゆらゆらしていた。
喜んでくれているってことでいいのかな?
「それじゃあ、森の方に行こうか。 そこでノアルの武器作りながら、僕の職業とかの話をしよう」
「……ここじゃダメなの?」
「うーん、あんまり公にしたくないんだよね。 それに、僕の力について話すのは、僕が信用出来ると思った人だけだから、それ以外の人には話したくないんだよね」
「……ノアルは信用出来る?」
「うん、出来るよ。 それに、一緒に戦うんだから話しておかないとね」
「……嬉しい、頑張る」
お、ノアルが張り切ってる。
僕も頑張らないとだな。
*
場所をいつもの森に移して、とりあえずノアルの武器の製作に取り掛かることにした。
「よし、それじゃあ僕の職業について、使いながら説明していくね」
「……ん」
そう言いながらこの前譲ってもらった酸化鉄の樽を取り出した。
「これを使ってノアルの武器を作っていくよ」
「……錆びてる?」
「そうだね。 このままじゃ使えないから、僕の職業の一つ、鍛冶師のスキルを使って、この錆びた鉄から武器作りに使える部分だけを取り出すんだ」
「……おー」
少し分かってなさそうな顔でノアルが声を上げた。
「口で説明するより、見てもらった方が早いだろうから、やってみるね」
「……ん」
そう言って僕は酸化鉄の樽をひっくり返して、地面に鉱石と砕けて細かい石や砂のようなものになった酸化鉄の山を作った。
そして、その山に向かって分離スキルを使い、酸化した部分と武器作りに使える鉄の部分を分けるようなイメージをする。
すると、数秒で鉱物の山からかなり大きいインゴットが一つ分離し、残った山はさっきよりも赤茶色の色になっていた。
「うん、出来るかわからなかったけど、出来たね」
「……これ、鉄?」
「うん。 酸化鉄から分離させた鋼のインゴットだよ。 これが僕の分離スキルで、反対に素材を混ぜ合わせれる合成も使えるんだ」
「……すごい」
ノアルは目を丸くして感心していた。
ちなみに上手くいかなかったら、僕が持っているロングソードを作り直そうかと思っていたが、成功してよかった。
「ありがとう。 それじゃあこれを使って、ノアルの武器作っていくけど、双剣のサイズってどれくらいがいい?」
「……ロングソードの半分より少し長いくらい?」
「分かった。 それくらいで作るね」
早速さっき作ったインゴットを使って双剣を作っていく。
双剣が作れるくらいの量になって良かったな。
鉱物操作を使い、インゴットの形を変えていくと、再びノアルは驚きの表情を浮かべていた。
「……なに、それ?」
「これも鍛冶師のスキル、鉱物操作だよ。 鉱物の形を僕のイメージ通りに変えられるスキルだね」
やっぱりこのスキルで鉱物がグニャグニャ形を変えていくのは物珍しいものになるのか。
ノアルもすごい見てるし。
それから少しして、しっかりとした双剣が作れた。
2つのインゴットに同時にスキルを発動させて同時並行で2本の剣を作ったが、問題なく作れた。
そして、完成品を鑑定してみる。
【ツインソード+2】:
力+120
鉄を使って作られた双剣。
作成者の力量により、魔法を2つ付与することが出来る。
品質もかなり良いため、一般的なツインソードより力のパラメーターの上昇率が高い。
作成者はショーマ=ケンモチ。
あ、今回は+2だ。
ノアルのために作ったものだから出来れば+3が良かったんだけど、今回はしょうがないか。
今回は間に合わせだし、また今度別の素材で作ったりするだろうから、その時には+3以上が付くといいな。
そして、双剣を作った流れで魔法付与もしてしまうことにした。
ノアルにその事を伝えると、また「……すごい」と言ってくれた。
褒められるとやっぱり嬉しいよね。
付与するのは、僕のロングソードと同じ斬撃強化と耐久値上昇だ。
+3だったら、速度上昇とか付けたかったんだけど、それはまた今度にしよう。
「はい、これがノアルの武器だよ。 持ってちょっと振ってみたりしてみてくれない?」
「……ん、分かった」
ノアルは双剣を受け取り、僕と少し距離を開けて素振りをし始めた。
その動きはとても速く、その動きだけで戦闘能力の高さを垣間見ることが出来るものだった。
それから少しの間ひとしきり素振りをして、ノアルは動きを止めると、こちらに寄ってきた。
「……とても使いやすい。 本当にもらっていいの?」
「もちろん。 ノアルのために作ったものだし、それで自分の身を守ってもらえるなら僕も作り手として嬉しいからさ」
「……ありがと。 大切に使う」
ノアルは笑顔で僕の方を見つめ、そう言ってくれた。
あんまり感情の起伏が激しい方じゃないけれど、こんな表情も出来るんだな。
その笑顔に少しドキッとしてしまったのは秘密である。
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