お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら

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第三章 獣人国へ

#61 領主との対談

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 僕とノアルは現在、この街の領主様に会うために、領主邸の前に来ている。 

 そして、門番の人達に止められてもいる。


「君たちは何者だ? この領主邸に何の用事で来た?」

「僕はショーマと言います。 昨日、クラウスさんにこの場所へ来るように言われたため、来させてもらいました」

「……ノアルも同じ」

「! そうか、失礼した。 話は聞いているから通るといい」

「ありがとうございます」


 門番の人にはちゃんと話が通っていたらしく、あっさりと通してもらえた。

 そして、領主邸の門をくぐり、少し歩く。 

 すると今度は、この前チラッと見かけた執事の人が綺麗な姿勢で玄関口の扉の前に立っていた。


「ショーマ様とノアル様ですね? ようこそ領主邸へ。 私はこの屋敷の執事長を務める者です。 早速ですが、我が領主の所まで案内致しますので、私についてきてください」

「分かりました。 よろしくお願いします」


 執事長さんの案内に従い、屋敷の階段を登り、中を通り抜ける。 

 案内されたのは、二階の突き当たりの場所にある、一際大きな扉の前だ。

 いよいよ、領主様と会うのか……

 粗相のないようにしなくては。


 コンコンッ コンコンッ


「旦那様。 ショーマ様とノアル様が参られました」

「あぁ、入ってくれ」


 執事長さんが扉を空けてくれ、それに感謝しつつ部屋の中に入ると、そこはまさしく執務室といったような部屋だった。

 その執務机の横には、クラウスさんとミリアンヌさんが立っていて、2人に挟まれるような形で一人の男の人が執務机の前に立っていた。

 その人はクラウスさんと同じ金髪だが、長さはクラウスさんより断然短い。 

 目元や口元もかなり優しげで、クラウスさんの兄にしてはすごく若く見える。 

 なんなら、クラウスさんの方が兄に見えるくらいだ。 

 正直、イメージしていた領主様の風貌とはかけ離れていた。


「初めまして。 ショーマ君にノアル君。 僕はこの街の領主をしているニコラス=ハゾットだ」

「初めまして。 ショーマ=ケンモチと申します」

「……ノアル、です」


 お、ノアルが敬語を使ってる。 

 口数は少ないけど、一応の態勢は保とうとしているのかな?


「ああ、口調とかは気にしなくていいよ。 君達の事は弟のクラウスから聞いていて、ぜひ話してみたいと思っていたんだ。 だから、自然体でいてくれないか?」

「そう言ってもらえるとありがたいです」

「……ん」

 
 クラウスさんとかミリアンヌさんもそうだが、貴族でも口調とか態度とかを気にしない人多いな。 

 まぁ、冒険者を相手にする事も多いって言ってたし、多少無礼でも気にならないのだろうか?


「立ち話もなんだし、座ってくれ。 もう少ししたら紅茶の用意も出来ると思うから」

「わざわざありがとうございます」


 ニコラスさんに促され、僕達は礼を言いながら用意されていたソファに座る。 

 長方形の形をした対面机の上座にニコラスさんが座り、僕とノアルの対面にクラウスさんとミリアンヌさんが座る形だ。

 僕達が席に着いたタイミングで、執事長さんが紅茶を準備してくれ、初めて見るちゃんとした執事の人のテキパキとした動きに少し感心してしまった。


「さて…… 今日、君達を呼んだのは、この街を統べる者として、力のある冒険者や商人とは顔を合わせておきたいのが一つでね」

「その言い方だと、他にも理由があるんですか?」

「うん、もう一つの理由は……」


 少し間を置いて、ニコラスさんがこちらを見つめる。 

 一体、もう一つの理由ってなんなんだ……?


「……単純に興味があってね!」

「……え?」


 凄く良い笑顔でニコラスさんがそう言い放つと、対面に座っていたクラウスさんは腕を組んで大きなため息を吐き、ミリアンヌさんは困った人を見るような目線を向けていた。


「はぁ…… すまないなショーマ。 兄は人一倍、好奇心が旺盛で、自分が気になった事に関しての行動力は凄まじいものがあるんだ」

「そうなんですか」

「それがお義兄さまが認められた理由でもあるんだけどね。 知識があるという事は、時に武力よりも求められる事があるから」


 なるほど、ニコラスさんは文官タイプの人なんだな。 

 確かに、貴族には腕っぷしよりもそちらの方が必要となる事は多いだろう。


「まぁまぁ、僕の事はいいじゃないか。 今、僕が聞きたいのはショーマ君達の事だよ」

「期待に添えるかは分かりませんが、 僕が答えられる範囲なら何でも答えますよ」

「ありがとう! それじゃあ、まずは……」


 とりあえず最初は、僕の職業について色々と聞かれた。 

 魔導師はともかくとして、僕のユニーク職業である鍛冶師とウェポンマスターについては根掘り葉掘り聞いてきて、すごい熱意を感じた。

 挙げ句の果てには作るところを見せて欲しいとも言われたので、許可を取って作業台をアイテムボックスから出し、その上でロングソードを作った。

 ニコラスさんだけじゃなく、クラウスさんとミリアンヌさんにも、その作業を真剣な面持ちで見つめられ、付与をしている時には3人から驚きや称賛の声をかけられた。

 そして現在、ニコラスさんはプルニーマとスカイボードを見たり触ったりしている。


「ふむふむ、まさか浮空石にこんな使い方があったなんてね。 魔導国家の研究員達が見たら喜びそうだよ」

「うーん、これに限っては僕の付与があってのものなので、再現は難しいかもしれませんね。 もっと簡単な移動手段くらいになら使えるかもしれませんが」

「ショーマ君には何かアイデアがあるのかい?」

「そうですね…… 例えばですが、浮空石を加工して、数人くらいが乗れるような昇降機とかなら作れるんじゃないでしょうか? 動かすために魔力をそれなりに持っている人か、魔力を供給するシステム必要になってしまいますけど」

「なるほど、確かに重いものを高い場所に運ぶのには便利かもしれないね」


 こんな感じで、僕の意見を聞いたりしながら、ニコラスさんはうんうんと楽しそうに頷いている。

 この人は恐らく、何かを知るという事が好きなんだろうな。 

 学者にはそういうタイプがいるっていうのを聞いた事がある。


「兄よ、それくらいにしたらどうだ? もう十分話は聞けただろう?」

「えー、もう少し色々と聞きたいんだけど…… しょうがない、また今度聞かせてもらおうかな」

「僕が分かることなら、いつでも答えさせてもらいますよ」

「ありがとう、ショーマ君。 それで、一つ聞きたいんだけど、ショーマ君達はこの街を出る気はあるのかい?」

「いえ、当分はこの街にいるつもりです。 ギルドの依頼などで遠出する事はあるかもしれませんが」

「そっか、それを聞いて安心したよ」

「もし、この街に危機が訪れた時には僕も協力します。 ただ、一つの勢力に加担したりする事はないので、そこは把握しておいてください」


 そこについては譲れないので、キッパリと告げた。
 

「もちろん、僕の方でも君を権力争いの道具などにするつもりはないよ。 そういった目的で近寄ってくる貴族がいたら、僕が後ろ盾にもなろう」

「それはありがたい申し出ですが…… そこまでしてもらっても良いのですか?」

「多少、頭が働く者なら、君を怒らせたりしてその力が自分に向いた時のリスクを考えると思うよ」

「なるほど、確かに僕が望まない事を要求してくる人には抵抗させてもらいます。 実際、今回の旅先でも一悶着ありましたし」

「おや、そうなのかい?」


 僕はソルムの村で起こった貴族の男とのトラブルについて語った。 

 その中で、ノアルの許可を得て、ノアルの父親が前騎士団大団長である事も話した。 

 もちろん、あまり広めないで欲しいという事を前提として。


「そんな事があったんだね。 全く、馬鹿な貴族がいたもんだよ」

「恐らく、甘やかされて育った貴族の子息だろうな。 そういった輩は自分の要求が全て通ると思っている事が多い」

「それにしても、ノアルのお父さんがかのドレアス大団長だったなんて驚いたわ。 隣国の私が知ってるくらい有名な方だから、多少勉強しとけば分かった事だろうに」


 僕達の話を聞いて、ニコラスさん達はそれぞれ三者三様の反応を見せてくれた。


「……ミリー、お父さんの事、知ってるの?」

「そりゃそうよ。 アラサドの前大団長の武勇は他国にも伝わっているもの」

「アラサドとは友好的な関係を結べているからね。 その国であった話は良く聞こえてくるんだよ」


 ドレアスさん、やっぱり凄い人だったんだな……


「ショーマよ、やはりそういう事は今後も起きるだろう。 だからお前は早いところ立場を得るべきだ。 それまではなるべくそういった輩が近づかないよう、我々で注意しておこう」

「クラウスさん、ありがとうございます。 僕自身もなるべく警戒していようと思います」

「あぁ、それがいいだろう」


 今後、名が知られるに当たって、そういった人達は増えてくるだろうから、僕自身も注意していないとな。


 コンコンッ コンコンッ


「旦那様、お話のところ申し訳ありません。 ギルドの方から緊急の連絡が届きましたので、ご報告を」

「ギルドから? ああ、入ってきて見せてくれ」


 失礼します、と言って執事長さんが何やら手紙のような物を持って入ってきた。 

 一体なんだろう?

 ニコラスさんが手紙の封を開け、中身を確認する。

 すると、途中から少し顔が険しくなり、読み終える頃にはかなり思いつめた表情になっていた。

 ニコラスさんは読んだ手紙を片手に、僕らの方を見て、真剣な表情で口を開く。


「皆、聞いて欲しい。 どうやら、この街に向かって、スタンピードの魔物群が近づいているそうだ」


 一一災厄がこの街に降りかかろうとしている。

 
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