マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

文字の大きさ
100 / 436
連載

#131 東の国へ

しおりを挟む
「おーい、シュージ~」

「おや、カグラさん。 どうしましたか?」

「ちょっと急やけど、3日後からの予定ってどうなっとる~?」

「特に無いですかね? いつも通り、掃除したり料理したりするぐらいかと」

「そしたら、1週間ぐらい、僕の故郷に遊びこぉへん~?」

「カグラさんの故郷ですか。 いいですね。 行きたいです」

「そかそか~。 家族からの手紙で、5日後くらいからかなり大きい祭りがあるのを思い出してな~。 折角やし、他に若い連中も何人か勉強も兼ねて連れて行こうか~」


 という事で、夜ご飯の時間にカグラの故郷である東の国に行きたい人を募った。

 その結果、リック、カイン、メイ、シャロ、ガル、ピュイ、アンネリーゼ、ネルの若手組が勉強も兼ねて行くことになり、引率としてジンバ、ミノリ、イザベラが同行することになった。

 引率とは言っても、ジンバとミノリは東の国の武器や防具作りなどに興味があり、イザベラは学者として文化や歴史を学びに行きたいとのことで、彼らも色々と学びに行くようだ。


「東の国かぁ、行ってみたいけどね」


 そう言うのは、今日も美味しそうにご飯を食べているディアナだった。

 彼女はなんだかんだで蒼天の風に来てからずっとここで過ごしており、時折依頼で何週間か留守にしたりするものの、依頼が終わればここへ帰ってくるようになっていた。
 

「ディアナも来てええよ~?」

「本当かい? 私は蒼天の風じゃないけど」

「別にそこは関係あらへんよ~? なんだかんだ大所帯になったし、一人二人増えようが、もう変わらんね~」

「そうか。 じゃあ、行ってみようかな」

「そいえば、その祭りでは剣術大会もあるんよ~。 大人数でまず予選があって、勝ち抜いたら将軍家に仕える侍大将とも戦えるとか~」

「えっ、そんなのがあるのかい!? 絶対出るよ!」

「おい、カグラ。 こいつをそんな公の場で戦わせたら大変なことになるぞ」

「あ~、確かに~? そしたら、この前使った魔法を封じる手枷付けて出ればええよ~」

「剣だけでも相当だが……」

「まぁ、ディアナが我を忘れるほど熱くなるような相手はそうそうおらんやろし、勝ち上がって侍と当たったら、ディアナでも結構分が悪いと思うよ~」

「そうなのか?」

「侍は皆んな本当に強いんよ~。 その中の大将なんて、ギルマスとか全力のディアナと変わらん実力やろね~」

「そうか。 まぁ、そこまでの猛者なら大丈夫だろう」

「楽しみだなぁ…… どれくらい強いんだろ……」

「おい、とは言えやり過ぎるなよ? お前が見境なく暴れたら、カグラや蒼天の風に迷惑がかかると思え」

「はーい」

「まぁ、ディアナも来るなら引率は十分やね~。 あ、泊まる場所は僕の家やから、のんびりできると思うよ~」

「こんな人数で押しかけても大丈夫なんですか?」

「平気平気~。 僕の家、貴族とまではいかんけど、向こうだとそこそこ名家やから、家も広いんよ~」

「そうなんですね」

「そんじゃ、急やけど、各自荷物の準備しといてな~」


 突然の東の国訪問が決まったが、シュージ的にはかなり楽しみにしていたので、今回もいい旅になるといいなーと思いながら、その後の数日を準備にあてるのであった。



 *



 そして、あっという間に東の国に行く当日になり、蒼天の風のメンバー達は転移門を使って東の国へと向かった。

 転移門を抜け、建物から出ると、そこは木造の建物が立ち並ぶ風情ある街並みが広がっており、シュージの感覚でいう、一昔前の中華風な服を着ている人が通りを歩いていた。


「ようこそ東の国、ナグモへ~」

「おお、良い街並みですね」

「他の国とは結構違うから、毎回帰った時に帰ってきた感が凄いんよね~」


 一行は見たことない街並みなどに目を奪われつつ、カグラの実家に向かった。

 それから20分ほど歩いたところで見えてきたカグラの実家は、城下町のかなり城に近い一等地に位置しており、見るからに敷地は広く、その門を抜けてすぐの所に広がる綺麗な庭の向こうには、見事な平家の建物が建っていた。


「ただいま~」

「あら、これはこれは。 皆さんいらっしゃいませ」


 カグラが玄関の扉を開けて声を上げると、中からカグラに似た女性が出てきて出迎えてくれた。


「僕の母さんやね~」

「初めまして。 カグラの母のミコトと申します。 いつもカグラがお世話になっています。 今回カグラのお仲間さん達が来ると聞いて、とっても楽しみにしてました。 短い間ですけど、よろしくお願いしますね」

「「「よろしくお願いします!!」」」


 とりあえず、簡単な自己紹介を済ませ、寝泊まりする部屋に案内してもらった。


「部屋はこちらの大部屋二つをお使いください。 お風呂はこちら、食堂はこちらになってますので、自由にお使いくださいね」


 案内された部屋はなんと畳張りの部屋になっており、そこに人数分の布団や座椅子、低めのテーブルなども用意されていて、十分にくつろげそうだった。


「とりあえず、今日は街を案内して、明日は何組かに分かれて鍛錬や勉強、明後日からは祭りに参加やね~。 祭りは普通に楽しんでもええし、警備とか軽作業の依頼とかもあるから、受けたい人は受けてもええよ~」

「「はーい!」」

「おお、カグラ。 帰ってたのか」


 そんな風に今後の打ち合わせもしつつ、皆んなで荷物の整理をしていたところ、カグラより少し年上で、シャキッとした印象を受ける男性がやって来た。

 
「あ、兄さん~。 今来たんよ~」

「そうか。 初めまして、カグラのお仲間さん達。 私はカグラの兄のカンナギだ。 会えて嬉しいよ」

「兄さんは陰陽師っていう役職に就いてるんよ~」

「陰陽師ってー?」

「ん~、わかりやすく言うと、城仕えの役人って感じかな~?」

「概ねそんな感じだな。 数日後の祭りの準備があるから、祭りが終わるまでの間はあまり家にはいないだろうが、もし何かこの国の事で聞きたいことなどがあれば、いつでも聞いてくれ」
 

 そんな新たな出会いと共に、東の国での1週間がスタートするのであった。
しおりを挟む
感想 256

あなたにおすすめの小説

隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~

呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。 彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。 彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。 神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。 そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。 始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。 そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。 そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。 ※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。