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#318-2 学園のトラブル②
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訓練場の隅っこにある、色々な用具がしまわれている倉庫の裏手。
そもそも倉庫にあまり人が来ることもないので、そこはほぼ密室と変わらないくらい周りからは見えない状態になっていた。
「おらおら!」
「うぅ……」
そんな所で、現在3人の男子生徒が1人の男子生徒を囲んで、持っている木剣で突いたり、ゲシゲシと蹴りを入れたりしていた。
「おい弱虫!何でまだここにいるんだよ!」
「ぼ、僕は騎士を目指して……」
「そんな丸っこい体で騎士になんてなれるわけねーだろ!」
「足も遅くて剣の腕もないくせに!」
「うう……」
3人に囲まれている男子生徒は、歳の割には身長が高いが、横にも少し体が大きくて、騎士を目指す者が集まる授業では、足の遅さをバカにされ、本人の気弱さも相まって、ついにはこうしてイジメられるようになってしまった。
「そういや、お前の父親もそんな体型なんだろ?」
「騎士爵の癖に、近衛騎士に入ってるとか生意気だよな」
この国の貴族階級は、王族、公爵、辺境伯、侯爵、伯爵、子爵、男爵、そして騎士爵と位が分かれていて、騎士爵というのは元々は貴族ではない、冒険者や傭兵の者が騎士として取り立てられた時に与えられる爵位なのだ。
なので、貴族の中には、騎士爵の事を侮っている者も少なからずおり、今、イジメている側の男子生徒3人もその気質があった。
「どうせ汚い手とか使ったんじゃね?」
「……っ!」
そんな心無い事を言ういじめっ子の内の1人に、イジメられていた男子生徒はキッと強い目線を向けた。
「……おい、何だよその目?」
「ち、父上をバカにするなっ……!父上はとっても立派な騎士で、僕の憧れなんだっ……!」
「お前…… 生意気なんだよっ!」
まさか言い返されると思っていなかったいじめっ子の内の1人は、怒りを露わにして持っていた木剣で言い返してきた男子生徒に殴りかかっていった。
「そこまでですよ」
だが、その木剣は、後ろから走って割り込んできたシュージがパシッと素手で受け止めていった。
「だ、誰だおっさん!?」
「一部始終を見させてもらってました。寄って集って1人をイジメるなんて、人としてしてはいけない事ですよ?」
「う、うるさいっ。こいつが弱いのがいけないんだよっ」
「ほう?では……」
そんな事を言ういじめっ子に眉をぴくりと跳ねさせたシュージは、腕に力をグッと入れた。
すると、シュージが受け止めていた木剣が、軋む暇すら与えず一瞬でバキィッと音を立てて砕け散った。
「はっ……!?」
「……自分より強い相手になら、どうされても良いということでしょうか?」
「ひ、ひぃっ……!?」
シュージがそう言いながら軽く凄んで見せると、いじめっ子達は怯えた表情になり、後退っていった。
「……まぁ、僕がどうこうするのはそれはそれで違うと思いますので、あとはお任せしましょうか」
ただ、シュージはそう言って、強張らせていた雰囲気を柔らかいものにした。
それを見て少し安心したような表情を見せたいじめっ子達だったが、
「……貴方達、これはどういう事かしら?」
「えっ…… さ、サフィナ王女殿下っ……!?」
背後から現れたサフィナの顔を見て、先程よりも顔を青くしていった。
「全く、弱きを守るのが騎士の本懐じゃろうに、弱い者いじめとはのう?」
その横には呆れた顔のシュミットもいた。
まさかの自分達よりも遥かに位の高い者達に見られていたと知ったいじめっ子達は、青を通り越して真っ白に顔の色を変化させていった。
「じき教師達も来るわ。貴方達の親にも当然連絡がいくし、甘い処分なんて私が許さない。覚悟しておく事ね」
サフィナがそう言うと、もうどうしようもない事を悟ったいじめっ子達は、膝から崩れ落ちて深く項垂れるのであった。
そもそも倉庫にあまり人が来ることもないので、そこはほぼ密室と変わらないくらい周りからは見えない状態になっていた。
「おらおら!」
「うぅ……」
そんな所で、現在3人の男子生徒が1人の男子生徒を囲んで、持っている木剣で突いたり、ゲシゲシと蹴りを入れたりしていた。
「おい弱虫!何でまだここにいるんだよ!」
「ぼ、僕は騎士を目指して……」
「そんな丸っこい体で騎士になんてなれるわけねーだろ!」
「足も遅くて剣の腕もないくせに!」
「うう……」
3人に囲まれている男子生徒は、歳の割には身長が高いが、横にも少し体が大きくて、騎士を目指す者が集まる授業では、足の遅さをバカにされ、本人の気弱さも相まって、ついにはこうしてイジメられるようになってしまった。
「そういや、お前の父親もそんな体型なんだろ?」
「騎士爵の癖に、近衛騎士に入ってるとか生意気だよな」
この国の貴族階級は、王族、公爵、辺境伯、侯爵、伯爵、子爵、男爵、そして騎士爵と位が分かれていて、騎士爵というのは元々は貴族ではない、冒険者や傭兵の者が騎士として取り立てられた時に与えられる爵位なのだ。
なので、貴族の中には、騎士爵の事を侮っている者も少なからずおり、今、イジメている側の男子生徒3人もその気質があった。
「どうせ汚い手とか使ったんじゃね?」
「……っ!」
そんな心無い事を言ういじめっ子の内の1人に、イジメられていた男子生徒はキッと強い目線を向けた。
「……おい、何だよその目?」
「ち、父上をバカにするなっ……!父上はとっても立派な騎士で、僕の憧れなんだっ……!」
「お前…… 生意気なんだよっ!」
まさか言い返されると思っていなかったいじめっ子の内の1人は、怒りを露わにして持っていた木剣で言い返してきた男子生徒に殴りかかっていった。
「そこまでですよ」
だが、その木剣は、後ろから走って割り込んできたシュージがパシッと素手で受け止めていった。
「だ、誰だおっさん!?」
「一部始終を見させてもらってました。寄って集って1人をイジメるなんて、人としてしてはいけない事ですよ?」
「う、うるさいっ。こいつが弱いのがいけないんだよっ」
「ほう?では……」
そんな事を言ういじめっ子に眉をぴくりと跳ねさせたシュージは、腕に力をグッと入れた。
すると、シュージが受け止めていた木剣が、軋む暇すら与えず一瞬でバキィッと音を立てて砕け散った。
「はっ……!?」
「……自分より強い相手になら、どうされても良いということでしょうか?」
「ひ、ひぃっ……!?」
シュージがそう言いながら軽く凄んで見せると、いじめっ子達は怯えた表情になり、後退っていった。
「……まぁ、僕がどうこうするのはそれはそれで違うと思いますので、あとはお任せしましょうか」
ただ、シュージはそう言って、強張らせていた雰囲気を柔らかいものにした。
それを見て少し安心したような表情を見せたいじめっ子達だったが、
「……貴方達、これはどういう事かしら?」
「えっ…… さ、サフィナ王女殿下っ……!?」
背後から現れたサフィナの顔を見て、先程よりも顔を青くしていった。
「全く、弱きを守るのが騎士の本懐じゃろうに、弱い者いじめとはのう?」
その横には呆れた顔のシュミットもいた。
まさかの自分達よりも遥かに位の高い者達に見られていたと知ったいじめっ子達は、青を通り越して真っ白に顔の色を変化させていった。
「じき教師達も来るわ。貴方達の親にも当然連絡がいくし、甘い処分なんて私が許さない。覚悟しておく事ね」
サフィナがそう言うと、もうどうしようもない事を悟ったいじめっ子達は、膝から崩れ落ちて深く項垂れるのであった。
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