栞の魚と人魚姫

月兎もえ

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婚約パーティー

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婚約パーティーが始まった。王子と美しい婚約者の結婚を、皆んなは心から喜んでいるようだった。
そんな中、人魚姫のダンスが始まった。足には突き刺さる痛みがあるはずなのに、そんな素振りを一切見せず、まるで妖精のような、軽やかなダンスを披露した。見ている人たちは、拍手や声を出すのを忘れ、ただただ、見惚れていた。私は王子と隣に座る婚約者を見た。二人も人魚姫に魅入っていた。このダンスを毎日見ていた王子は幸せ者だな。それなのに、どうして人魚姫を選ばなかったのだろう。私は怒りすら覚えた。
パーティーが終わり、夜も更けて、静かな波の音だけが聞こえた。


さぁ、決行だ。
「人魚姫、さぁ、行きましょう。」私はハッキリと、強い口調で言った。
『みちる・・』人魚姫は、穏やかな目をしていた。
『もう、いいの。王子と婚約者は幸せに結ばれて、私は泡になるの。』人魚姫なら、そう言うと思っていた。お話だからではなく、この子だから。
「また諦めるんですか!?」私は叫んだ。
『違うわ。そうじゃないの。』人魚姫は優しく、微笑んだ。
『前の私は諦めてばかりだったわね。叶わない夢なら近づかない方がいい。その方が傷つかない。そう思っていたわ。でもね、王子に恋をしてから、前に進む勇気を持つことができたの。』
私は悲痛な声で言った。
「だったら!だったら、勇気を持ってこの剣を使いましょう!前に進みましょう。」人魚姫は首を振った。
「どうして?あんな王子のために?確かに、純粋で優しいけれど、反対に言えば無神経で頭だって、何か悪そう!実際命を助けたのだって人魚姫だし、人魚姫に命を捧げてもおかしくないよ!あんな王子のために泡になることない!」人魚姫は私を抱きしめた。
『みちる・・。ありがとう。でもね、私は王子が好きなの。確かに彼はみちるが言うような所があると思う。でもね、すごく、すごく好きなの。幸せになってもらいたい。そのためには、あの婚約者と一緒になることが一番いいと思う。あの賢くて真の強く、優しい方なら、王子を支えてくれる。私には敵わないわ。』それにね、と人魚姫は続けようとしたが、驚きと共にその言葉は消えた。私が人魚姫の持っている剣を奪ったからだ。私は重い剣を足でしっかり持って、王子の元へ向かった。私が人魚姫を助ける!人魚姫は痛がりながらも、必死で私を追いかけた。
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