二つの世界を彷徨う銀の姫

十八の世界 水族館

……休みだからと言って水族館に来たは良いが、嘘と言われてもまだ信じていたのだろう。シェフィがめちゃくちゃ悲しそうに水槽の小魚達を眺めている。

見ているとこっちまで胸が締め付けられる。

「はぁ……サメ……」
「ジシェン、こうなれば作戦変更だ」

昨晩、私はジシェンと一緒に作戦を立てていた。

水族館ってこんな場所なんだと楽しんでくれれば、館内を楽しく回って喫茶店へ行く。

だが、もしサメはいない事にガッカリして全く楽しめていないようであれば館内を回る時間を減らしてグッズ売り場に行きサメのぬいぐるみをプレゼントする。

水族館ではこの二つが私達の建てた作戦だ。

「シェフィル、こっちにクジラがいるぞ」
「……サメ」
「あっちにはイルカがいる」
「……サメ」

サメ以外興味ないというのが見え見えだな。

「シェフィ、向こうで買い物行きたいのだが一緒にいってくれないか？」
「うん。プシェのお願いなら聞く」

これであとはサメのぬいぐるみを渡すだけだ。

確かグッズ売り場は向こうだった気がするんだが……

「ここだ」

一度しか地図を見る時間が無かったが、間違えていなくて良かった。

それにしてもここのグッズ売り場は広いな。

えっと、サメのぬいぐるみは……なんだと⁉︎
いろんなサイズや模様や色がある⁉︎

サメって感じのぬいぐるみを選べば良いだろうか。
サイズは一番大きいのにしよう。多少値が張ろうが普段色々と世話になっているからな。そのくらいは喜んで買おう。

しかし、ここでは別行動しているが二人は何をしているんだろうか。

とりあえず、サメのぬいぐるみを買いに行こう。

……これ、ジシェンに渡したら喜びそうだな。
昨日、話していた時にクラゲが好きと言っていたんだ。

だからこのクラゲのイヤリングは喜びそうだ。ついでに買っておこう。

　　　　　　＊＊＊＊＊＊

……結構高かったな。だが、二人が気にいるならそれで良いだろう。

「プシェ、これプレゼント」
「オプシェ、これ気に入りそうだと思って買っておいた」

私がジシェンに好きだと言ったヒトデのぬいぐるみとクラゲのクッション。

「ありがとう。私からも二人にプレゼントだ」
「嬉しい。ありがとう、プシェ。ジシェのも嬉しかったけどプシェの方も嬉しい」

相変わらず可愛いな。これで男とは思えん。

「ありがとう。大事にする」

そういえば、シェフィが私にクッションをくれたという事はジシェンにも何か渡しているんだろう。

シェフィを喜ばせる作戦が、プレゼント交換になってしまったな。
だが、シェフィが楽しそうだから作戦は成功として良いだろうな。