(仮)世界の名を持つ姫

碧猫 

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愛姫と王の出会い

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 みんな争っている。なんでこんなに争うの?

 エレには分かんないよ。

 エレ?エレって自分の事なのかな。

 今日は雨。雨に濡れてる。

「むにゅ?だ、誰⁉︎」

 女の子がいるの。可愛い女の子がいるの。あわわなの。混乱なの。

「ふみゃ⁉︎もしかして逃げてきた子?エレと同じ?」

「……うん。君も?この争いがいやで逃げてきた?」

「ふみゅ。エレには理解できないの。だから、理解しなくて良い場所を探していたの。でも、ないの」

「それなら、僕らの家にこない?安全で、君みたいにこの争いがいやっていう子がいっぱいいるから」

「ふみゅ」

 エレは警戒心なんて言葉知りません。知らない人でもついていっちゃうけど、本当はついていっちゃだめなの。知らない人に何か言われてもついていっちゃだめなの。

 でも、ついて行くしかなかったっていうのもあるの。ここは危険な場所だから。少しでも安全な場所へ行くためにも、ついていったの。

      **********

 古いお家。でも、住み心地良さそう。

「そう言えば、名前聞いてなかったね?なんていうの?」

「……知らない。エレだけ知ってるの」

「そうなんだ。僕はフォーリレアシェルス。よろしくね、エレ」

「ふみゅ」

 フォルと出会ってから、エレはとっても楽しかったの。みんなで一緒にらぶってしながらねむねむとか。

 エレがまだ、愛姫に選ばれてなかったから、素直に楽しめたの。

「みゅ。フォルなの。らぶなの」

「……ぎゅぅ?ぎゅぅ?」

「ぎゅぅ」

「……ちゅぅ?ちゅぅ?」

「ちゅぅ」

 エレは、フォルがだいすきで、フォルのこういう頼みはなんでも聞いてあげていたの。
 でも、やってると、頼んできたフォルの方から顔を真っ赤にして逃げちゃうの。

 エレはちょっぴりみゅぅって感じになりながら、いつも、フォルから離れてあげるの。離れたくないのに。みゅぅなのに。

「……エレ?こんなところにいたんだな。また逃げられたのか?」

「また逃げられたの」

「フォルさんも慣れれば、よろしいのに」

「ふみゅ。でも、でも」

 そういうところが可愛いんだよねーで、みんなと意気投合。フォルは可愛いの。とっても可愛いの。

 ゼロとフォルは、特別なの。みんなにとって。

 ゼロは、みんなの希望ひかり。フォルは、みんなのらぶなの。

「……エレ、僕、畑仕事してくるから。イヴィが、上手く育たないって悩んでいるから、見てくる」

「ふみゅ」

 フォルは逃げた後とっても警戒してくるの。エレはただ、フォルがして欲しいからってしてあげているのに。

 警戒して近づいてすらくれない。離れて、壁に隠れている。

「……ねぇ、どうすればフォルがぎゅぅしてくれる?ぎゅぅして欲しい。ぎゅぅしてくれないと寂しいの」

 フォルがいなくなってからの相談。

「慣れるのを待つしかねぇだろ」

「やなの」

 慣れるのを待つなんてやなの。それまでずっと逃げられるなんてやなの。

「エレもお手伝いしに行こうかな?そうしたらぎゅぅってしてくれるかな」

「してくれねぇんじゃねぇか?」

「じゃあ、ゼロで遊ぶの。ゼロ、エレと一緒にあそぼ」

「ああ。一緒に遊んでやる」

 ゼロは、エレのおにぃちゃんなの。とっても頼りになるの。エレのお世話をいっぱいしてくれる。

      **********

「けほっ、けほっ」

 風邪引いたの。やなの。遊べないから。

 でも、ゼロが看病してくれるの。みんな看病してくれるの。だから、寂しくはないの。

「寝るの」

 でも、変なの。風邪を引いた感じとは違うの。

 どう違うのかは分かんないけど、なんとなく違う気がする。

「ぷみゅぅ。おやすみなさい」

 寝たの。

      **********

 ふわふわ。エレが見えるの。

「やっと見つめけました。エレシェフィール」

「エレシェフィール?それって、世界の」

「ええ。あなた達と共にいる姫。彼女は、愛を持っております。その姫に選ばれるのは当然かと」

 愛姫に選ばれた瞬間なの。エレはこんなの知らない。記憶あっても知らないってなると思うの。フォルがずっとエレをぎゅぅしている。

 警戒フォル可愛い。

「守ってあげなさい。その姫は、あなた達にとって大切な存在になります」

「……エレは、愛姫は、俺らと一緒にいるから選ばれたのか?それとも、初めから選ばれていたのか?」

「初めからです。初めから、全て決まっておりました。ですが、どう出会い、どんな関係を築くのか。それは、あなた達が選ぶ事です」

 エレは、フォル達と出会ったのは、自分達で選んだものなの。

「……エレ……らぶできなくなる?」

「そんな事はございません。エレシェフィールを自由に愛してあげてください」

「ぷみゅ?……すや」

 エレは寝てるの。相変わらずぐっすり寝てるの。

「では、見ております。あなた達の行く末を」

 消えたの。声が消えたの。

「……ぎゅぅ」

 フォルがエレをぎゅぅして喜んでる。とっても喜んでるの。

 フォル、そんなにエレの事がだいすきなのかな。エレも、フォルのその気持ちに応えてあげたいの。

「……信じるのか?この話」

「うん。嘘じゃないと思うから。君らも、エレの特殊さを実感してるんじゃないの?だから、エレをどこにも出さないようにしていた。違う?」

「ああ。その通りだ」

 エレの特殊さってなんだろう。前にお話していた魔法と関係があるのかな。フォルに聞けば分かるのかな。

「……すゃ」

「布団脱ぐな!」

 ゼロ、エレのお世話いっぱいなの。エレが暑くてお布団脱いだら、速攻で着せてくるの。

 ……エレ、ゼロに謝るの。早くぎゅぅして謝るの。

「ぷみゅぅ?にゃぅ?みゃぅ?フォル?みゃにゃ?みにゃ⁉︎」

 エレが起きたら、エレの視点に変わったの。なんだったんだろう。今のあれは。

「……エレ……ぎゅぅ」

「フォルが逃げてないの⁉︎これは夢な気がする」

「夢じゃないよ。もっとぎゅぅして良い?」

「ふにゅ」

 ぎゅぅしてる気がするけど、ぎゅぅするの。

「ぷみゅ?なんだか、みんな変なの。おかしなの……おかし……欲しいの」

「エレ、クッキー作った。あげる」

「えっ⁉︎ぼ、僕がエレを餌付けする!」

 餌付けって言ってるの。エレ、もしかして、ゼロにお世話されてたんじゃなくて、餌付けされてたのかも。

 でも、そんな事は良いとして、クッキーは食べさせてもらう。

「美味しいの……フォルとゼロも……二人は特別にエレが食べさせてあげるの」

 クッキーを作ってくれたお礼と、食べさせてくれたお礼。

「ふみゅ。そういえば、エレ元気なの。不思議なの。さっきまでぷにゅぅってしていたのに。ゼロがきっとエレにぷにゅぷにゅしていたから元気になったんだと思うの。ゼロらぶ」

「……あ、ああ。ぷにゅぷにゅなんてできるわけねぇんだが……できて、ふにゅふにゅくらい」

「元気になってくれて良かった。エレ、暇だったら一緒に遊ぼうよ」

「ふみゅ」

 エレはフォルと遊ぶのが好きだけど、フォルは、こうして誘ってくれる事少ないの。いつも逃げるから。

 でも、逃げた時は他のみんなが代わりに遊んでくれるから、エレは寂しくはないの。フォルも、遠くでじっと見ているから、いなくなっちゃうわけじゃないから。

「フォルが逃げないでいてくれるのらぶ」

「えっ……ご、ごめん!用事思い出した!」

 また顔を真っ赤にして逃げたの。せっかく遊んでくれると思ったのに。

「余計な事言ったな。気づいてなかったのに」

「むすぅ。ゼロ、代わりに遊んで。イヴィも」

「ええ……いつになればエレはフォルを気遣うを覚えるのでしょうか」

「覚えねぇんじゃねぇか?つぅか、理由気づいてねぇだろ」

「……エレ、フォル追いかけてくる」

 フォルと一緒が良いから、フォル追いかけるの。
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