(仮)世界の名を持つ姫

碧猫 

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新しいお家

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 みんなのぬいぐるみをもらって、一緒に暮らすお家へきたの。

 お部屋に、お洋服とか置いて、フォルのお部屋に行ったの。

「フォル、まだ小型龍孵化しない」

「うん。いつになるんだろうね」

「ふみゅ。いつになったら、孵化するんだろう」

 孵化しないのを気に病む事はなくても、どんな小型龍か早く見たくて、いつ孵化するか気になっちゃう。

 早く孵化できるように、エレは、フォルと一緒にいる時間を増やす事にしたの。フォルが逃げたら、時間減っちゃうけど。

「フォル、おてて繋ぐの」

「うん。良いよ」

 でも、エレが逃げてる事はあっても、フォルが逃げる事はない気がするの。

「片付け、できてる?」

「できてない。エレ、ゼロにお片付け禁止って言われてるから」

 後でゼロがやってくれる事になってるの。エレにはやらせたくないって。

 ゼロは過保護なんだと思うの。

「そうなんだ」

「フォルはもう終わってそうなの」

「うん。君がきてくれるって言っていたから。汚い部屋を見せるわけにはいかないからね」

 そういえば、イヴィもお部屋きれい。毎日お掃除大変そうなのに。お部屋広いから。

 アディは、逆に散らかってる。イヴィが時々お片付けに来るらしいの。自分では、お片付けしないらしいの。

「エレは気にしないの」

「君が気にしなくても、見せられないものとかあるから、気になるよ」

 見せられないもの。聞いた事あるの。うふふな本を、ベッドの下に隠しておくとかって。

 もしかして、フォルは、そういう本を隠すために、お片付けしてるのかも。

「エレ、魅力ないの……」

「……見せたくないものって、加護の調整に使っている道具とかだよ?僕は、君以外興味ないから」

「本当?」

「うん。ほんとだよ。君の事を……ぼ、僕、用が」

「逃げるの禁止なのー!エレもどきどきなんだから!」

 フォルが逃げる時に使う言い訳分かるの。いつも同じだから。

「……好き、だから」

「ふみゅ。エレもすきなの」

 小型龍を孵化させるには、それじゃだめって、エレもフォルも知ってるの。でも、お互いのペースで良いって事になったの。

 だから、焦らないの。エレもフォルも、素直になれるまで、ゆっくりなの。

 ゼロに言われて、記憶を見て、エレがフォルに恋してるって気づいたけど。素直にそれを言えるのは、まだまだ先になる予感。

「らぶしてるところ悪いんだが、昼飯だ。お前が一緒につってたんだから、こい」

「お世話係が来ちゃったの。フォル、一緒に行こ」

 ゼロにお呼ばれされたら、エレは行かないといけないの。ゼロは、親切心で、エレを呼んでくれているから。ちょっぴり、タイミングに悪意があるって気がしても、気にしない事にするの。

 もうちょっと後でも良かったって思うのに。ちゅぅの後でも良かったって思うのに。

      **********

 お昼を食べたエレは、またまたフォルのお部屋に居座るの。エレのお部屋のお片付けで、エレはお部屋に入れないから。

 入ると、ゼロにぽぃされちゃう。

 お昼の時に宣言されたの。お片付けするから、入ってくればぽぃだって。

「お部屋から追い出されたエレなの」

「そうだね。部屋に戻りたい?」

「別に良いの。エレはフォルのお部屋にいるから」

 エレは、フォルのお部屋に居座る方がすきだから。

「ぴきゅぅ。お勉強むじゅかちい。魔法の研究むじゅかちい。まだエレの魔法の特性が分かんないの」

「手伝おうか?」

「手伝うの」

 エレは、フォルに手伝ってもらわないと、魔法の研究進められないの。

 エレ一人だとむじゅかちすぎる。

「気づいたのは……十分すぎるんだけど」

「でも、エレだけの魔法を作れてないから、まだ研究の必要があるの」

「……そうだな……完成度の高さが比例してくるようにはなるだろうけど、君だけの世界を創るとかは?完成度が高ければ高いほど、その世界はって、これ以上は自分で考えた方が良いかな」

 答えは教えてくれないの。答えを知りたいのに。

 ……エレは、お花畑すきなの。優しい音がすきなの。争いはきらいなの。

「……エレのお歌の世界では、優しくて、争いがない世界が良いの。フォル、そういうのもできるの?」

「できるんじゃないのかな。君なら。それと、君は気軽に魔力を譲渡しちゃだめだよ?君の魔力は、縁があるから」

「みゅ?」

 またまた理解不能なの。エレの理解力じゃ理解できなかった。まだ、魔法のお勉強が足りないというか、魔力のお勉強もしないといけないのかも。

「縁を呼び寄せるんだ。君が望まない限り、そんな効果はないけど。それでも、かなり珍しい魔力だから、気軽に譲渡するのはお勧めしない」

「みゅにゃぁ?にゃぁ?エレに理解できるように説明するの」

「自然の魔力と体内にある魔力は、違うって事も知らないのか」

「ふぇ?じゃあ、自然の魔力を吸収できないの」

 エレの頭には、百個くらいハテナが浮かんでるの。このハテナを減らすには、フォルの丁寧な説明が必要なの。

「体内で、魔力が変化するんだ。その変化した魔力が、君のは特に珍しいって事。僕らも珍しいと思うけど、君の場合、縁を呼び寄せるなんて効果は、見ないからね」

 エレは理解を諦めたの。

 遊ぼうかな。フォルで遊ぼうかな。

「ぺにゃふにゃ。ぷにゃふにゃ」

 フォルのほっぺは、触り心地が良いの。ずっと触っていたいの。

 フォルのほっぺつんつんがエレの趣味なの。

「何してんの?」

「フォルのほっぺすきなの」

「……仕返し」

「ぷきゃ」

 仕返しされたの。つんつんされたの。エレのほっぺをつんつん。

「可愛い」

「ふみゅふにゅ。楽しいの」

「うん。そうだね。あっ、エレシェフィール、そろそろ片付け終わってるんじゃないかな?一緒に行ってみない?」

 自然と一緒のお誘いなの。これは、断る事なんてできないの。

「ふみゅふみゅ。一緒にいくの」

 フォルと一緒に行くの。エレのお部屋は、ゼロとフォルのお隣さん。間に挟まれてるから、行き来が楽なの。

 お向かいさんは、フィルのお部屋。そのお隣が、ゼムのお部屋。

 エレのお世話は、完璧になるように仕向けられてるの。

      **********

 エレのお部屋がとってもきれいになってる。

 エレは、かなり散らかしていたのに。お洋服とか、ベッドの上にそのままぽぃしてたのに。全部片付いてる。

 エレのお部屋じゃないみたい。

 しかも、可愛いの。お部屋がとっても可愛くしてくれているの。

 ぬいぐるみも、きれいに飾られてるの。すごいきれいなの。

「エレのお部屋違うの」

「お前の部屋だ」

 ゼロ、ちょっぴり自慢げ。

「ふかぁするの。フォルも一緒にふかぁしよ」

 ベッドにダーイブ。

 ふかぁ。

 このダーイブってした時の、程よい沈み具合。さすがは、ゼロのおすすめなの。

「エレのふかなの」

「ふかしたのか?」

「ふかしたの」

「卵割られる前に探さねぇと」

 ふか?
 孵化?

 違うの!

 ゼロがいじわるなの。とっても楽しそうなの。

「ぷしゅぅ。いじわゼロなの。エレのありがとが消えそうなの。エレはお昼寝を希望するの」

「僕、この後、フィルに話があるから。ゼロ、一緒にいてあげて」

「ああ。だが、その前に」

 ふみゃ。

 寝るお洋服着替えさせられたの。夜じゃないのに。

 ……これ、昼用って書いてある場所に置いてあったの。なんだろう。昼用って。

「生地にこだわった、エレシェフィール昼寝服だ。気温も考慮してあるから、寝てる時に暑くて寝苦しいって事はねぇだろ」

 考えられすぎなの。考えられているの度合いが違うの。

 すべすべ。とっても良いの。

「デザインも可愛いね。ぎゅぅって……」

 自分で言っておきながら、顔を真っ赤にするフォル可愛いの。

「僕フィルに会いに行くから……でも、夜は一緒に寝る、から」

 逃げたの。しかも、止められない言い訳で逃げたの。

「……フォルが逃げる」

「お前が記憶戻って、全部バレたからだろ。ああいう性格だって」

「ふみゅ。可愛いからありなの。それに、エレは、素のフォルすきなの。がんばってたフォルもすきなの」

「そうだな。それより寝なくて良いのか?」

「寝るの」

 おやすみなさいなの。夕方まで起きるつもりないの。

 でも、ゼロに起こされそう。
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