(仮)世界の名を持つ姫

碧猫 

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お手紙

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 今日は、みんな忙しいみたいだから、夜までエレ一人。

 エレは、フォルがいないと寂しいけど、がんばって我慢するの。エレを褒めて欲しいの。

「りゅりゅ、エレを褒めて」

「なんでですか。褒める事ありませんよね?」

「一人でお留守番がんばってる。みんないないのに、我慢してる。本当は、とっても寂しいのに。褒めなくても良いから、今日は側にいて欲しいの。寂しいから」

「それは良いですが……ちゃんと帰ってくるまで、お留守番できたら褒めてあげます。りゅりゅと一緒だったとしても、お留守番できたって事ですから」

 お留守番できたら褒めてくれるみたいなの。りゅりゅはエレに甘いの。

「フォル……早く会いたいの。会って、ぷにゃぷにゃぎゅぅってしたいの。フォルだいすきだから」

「本当にだいすきですよね。エレシェフィール様ってフォーリレアシェルス様の事ばかりです。フォーリレアシェルス様にだけは色々とお許しになっているようですし」

 それは当然なの。フォルはエレの初恋の人なんだから。今もずっとだいすきな人なんだから。

 早く、帰ってきて欲しい。帰ってきて、エレをぎゅぅして欲しい。

「ぬいぐるみで我慢するの」

 みんなのぬいぐるみをベッドに置いたの。こうすれば少しは寂しさもなくなるって思って。

 最近は、みんなといる事が多かったから、寂しいが多くなっちゃったの。

「ぷみゅぅ。りゅりゅ、文字の練習しておかないとなの。文字だけは、こっそり練習して、きれいな文字を書いてみんなをびっくりさせるの」

 お勉強はきらいだけど、文字の練習だけは自分からするの。エレの文字がきれいだってびっくりしてもらうために。

「はいです。エレシェフィール様、中々上達しないので、そろそろ上達して欲しいのですが」

「エレはこれでも上達してるの。ちゃんと読み書きできるようになっているんだから、上達しているの」

「そこから上達してないじゃないですか。独創的な文字ばかり書いて。なんですか?文字を生み出したいのですか?それでしたら、エレシェフィール様の字はとても素晴らしいと思いますが」

 りゅりゅがいつもより冷たい。エレに教えるのがいやになってきてるのかも。

 りゅりゅに教えてもらえないなら、みんなに内緒にしてもらって、ゼロに教わろうかな。

「ぴゅぅ。ゼロに教わってくるの」

「待ってください。りゅりゅが教えます。りゅりゅの特権を奪わないでください。ちょっといじわるしたくなった事は謝りますから」

 いじわるって認めたの。それなら、許してあげても良いかも。いじわるって認めたから。

「ぷみゅ。分かったの。教えてもらうの」

「はいです。ですが、このまま何もせずにいても上達しないのは事実。なので、今日はフォーリレアシェルス様にお手紙を書いてみましょう。日頃の感謝とか、どれだけ好きかとか。なんでも良いです。お手紙を書けさえすれば」

 フォルにお手紙。エレの文字じゃ読めないかもしれないの。がんばって丁寧に書かないと。

 文字のお手本をちゃんと見ながら、でも、そうしたら書く内容を忘れちゃいそう。

 書く内容を、別の紙に書いてから、お手本を見ながらがんばってお手紙を書くのが良いのかも。それだめってりゅりゅ行ってないから。何か言われたら、言ってないのでどうにかするの。

「お手紙書くの」

 書く内容は、感謝なの。いつもとっても優しくしてくれるフォルに感謝のお手紙なの。それに、だいすきももっと伝えたいの。直接言えない事でも、お手紙なら伝えられるかもしれないから。

 大まかな内容はこの二つで決まりにして、文章を考えていくの。

      **********

 半分くらい書けたの。いつもよりもとっても上手に書けているの。

「エレシェフィール、みんながエレシェフィールが心配だから早く帰って面倒見てやれって言われて帰ってきた」

 ふみゃ⁉︎

「しゃぁー!しゃぁー!」

 ゼロなの!

 ゼロが来たの!

 エレの秘密のお手紙を見られるの。それはだめなの。

「ゼーシェミロアール様、エレシェフィール様の書いてる手紙見てください。文字の練習だけで良いと言っているりゅりゅからはちょっと言いずらい事でして」

「ん?何が言いずらい……エレシェフィール、それだと何を伝えたいか伝わらない」

 りゅりゅが見た事ないくらい激しく同意してる。尻尾から上がふるふる上下に動いてる。

「そんな事言うなら、ゼロが一緒に考えれば良いと思うの。エレは文字の練習だけしかしていないんだから。これも文字の練習のためなんだから。いつの間にかこんなに上手になってるってみんなをびっくりさせるために」

「文字以外の事も考えろ。って、言ったところで、聞かねぇだろうな」

 その通りなの。エレがそんな事聞くわけないの。

「エレはそんな事聞かないの。だから、ゼロが教えれば良いと思うの」

「……」

 ゼロが何か言いたそうにしているの。でも何も言わないの。何も言わないから、エレは何も気にしなくて良いって事だと思うの。

「フォルが喜んでくれるようなお手紙にするの。がんばるの。エレが書いたって分かんないくらい上手な文字でお手紙書くの」

「内容もエレシェフィールが書いたとは思えないような内容だろうがな」

「そこは気にしないの」

 お手紙を上手な文字で書いて、エレの想いを伝えるのが重要なの。フォルに喜んでもらうの。

「……フォルはエレシェフィールが手紙を書いてくれた事実だけで大喜びだろうな」

「ぴみゅ?そうなの?」

「他でもないエレシェフィール相手なら」

「ふみゅぅ。それはエレも嬉しいの。エレのお手紙で喜ぶフォルがエレは嬉しいんだと思うの」

 それを考えただけでも嬉しいの。きらきらでふわふわなの。とっても不思議なの。渡してもいないのに、考えただけでこんなに嬉しいってなるなんて。魔法なの。きっと魔法なの。

「ゼロ、エレのためにも、お手紙一緒に書くの」

「分かったから、とりあえずその謎の動きやめろ」

 嬉しいから、嬉しいが分かるぷにゅ舞してたのに。

 両手で頭の上に耳を作って、上下左右に揺れるの。エレのぷにゅ舞なの。

「止めたの。エレのぷにゅ舞が気に入らなかったみたいだから」

「気にいる気に入らないじゃなくて、それやってたら書けねぇだろ。両手塞がって」

「ふみゃ⁉︎ごめんなさいなの。エレは、ゼロがお気に目なさないから止めさせたと思ってたの」

 ゼロは、エレがお手紙を書くのに書けないから止めさせてくれたもよう。エレの勘違いが生まれてた可能性高。

 エレは、ゼロにうるるんな瞳を向けるの。

「気にしなくて良……エレシェフィール、寝癖」

「ふみゅ。ゼロがなんとかしてくれる予感」

 そう言っておけば、エレに過保護でとっても甘々なゼロはなんとかしようって思ってなんとかしてくれる予感。

 じっと見つめておくのがコツ。

「……寝癖くらい自分で直せ」

 って言いながらもやってくれるのがゼロなの。

「ゼロに髪を触られるのは全然気にならない。ゼロだけ不思議なの……ふみゃ⁉︎エレはきっと、ゼロを、特別だと思っているのかも⁉︎ゼロは、エレのお世話をいっぱいするゼロだって思っているからなのかも」

「……」

「寝癖まだ直ってない?どのくらいかかるの?エレ動きたい。動き回りたい」

「……」

 まだ終わんないのかな。どれくらい酷い寝癖だったんだろう。

 早く終わって欲しい。動かしたい。

「お手紙書きたいの。エレお手紙書いて、フォルを喜ばせたいの」

「……」

「……まだなの?」

「……できた」

「ふみゅ……ふにゃ⁉︎」

 なんか違うの。エレの髪が、二つに結ばれてるの。これはツインテール。寝癖を直しているだけでこうはならない。

 流石のエレも、そのくらいの知識はあるから。騙されないの。

「ツインテールなの!」

「可愛いだろ?」

「……ふみゅ。またやって欲しいの」

「ああ。いつでもやってやる」

 可愛いに負けた。

「じゃあ、手紙書くか」

「ふみゅ」

 ツインテールのおかげで、髪が邪魔にならずにお手紙書けたの。これは便利なのかも。
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