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頼み
しおりを挟むお手紙って渡すまでが重要だと思う。書けたとしても、渡せなかったら意味ないから。
誰かに渡してもらうのも良いけど、やっぱり、自分の手で渡したいって思うの。その方が、喜ぶ顔を間近で見られるから。
だから、エレは、自分でフォルにお手紙を渡すってゼロに言ったんだけど、渡せてないの。
フォルが帰ってきたのに、お手紙はエレが持っている。エレの元から離れてくれない。
お手紙を渡すのって、こんなにどきどきするものだったんだ。初めてだから知らなかった。
「エレシェフィール?どうかしたの?」
「な、なんでもないの」
「そう?いつも以上に落ち着いていないから、何かあったんじゃない?なんでも相談に乗るよ?」
フォルが優しいの。お手紙を渡せないだけなのに。心配されてる。このままじゃ、勘違いされて心配されたままになっちゃうの。
がんばって、お手紙を渡せれば解決するんだけど。お手紙を渡せば全て解決なんだけど。
それができないからこうやって悩んでいるの。
「お……て……なの」
「おて?おてがしたいの?」
違うの。言えない。お手紙って言うだけなのに。簡単なはずなのに言えない。
「違うの。て……なの」
「て?」
「……ふ……ふぇ」
「……フォル、エレシェフィールが渡したいものがあるんだと。一生懸命頑張ったから、受け取って欲しいって」
ゼロの援護なの。ゼロが援護してくれた。
ここで渡すの。お手紙渡すの。
「ぷ、ぷにゅ。ぷにゅぷにゅにゃぁ」
「手紙を受け取って欲しい?僕のために書いてくれたの?ありがと。僕の可愛いお姫様」
言った本人でさえ理解できない言葉で通じたの。知ってたんじゃないのかなってくらい通じたの。
知っていたんじゃないかなって思うけど、それは考えない事にするの。お手紙受け取ってくれて良かったとだけ考える。
「え、エレは、ゼロで遊ぶ予定あるからー」
お手紙を読まれるの恥ずかしいの。だから、ゼロを言い訳に使って逃げる。
**********
「ぷみゅぅ。ここまで逃げれば良いの」
「手紙読まれるくらい良いだろ。読んでもらえてるんだから」
「エレの前では恥ずかしいの。読んで欲しいけど恥ずかしいの」
エレは、ゼロのお部屋に避難したの。
「ゼロ、部屋の温度高いって言うから……エレシェフィールも一緒だったんだ」
ゼムが来たの。このお部屋の温度は普通だと思う。暑くも寒くもないくらいの温度なの。
「ふみゅ。ゼロはこのお部屋ちょうど良くないの?暑いの?」
「俺らは、極寒地帯がちょうど良いって思う人種だからな。もう少し涼しくしたいって相談してたんだ。エレシェフィールがいる時は、このままで良いが、一人でいる時はな」
エレがいると気を使われるの。エレの事は気にしないで欲しいのに。
こうなったら、エレはとってもあったかぽかぽかなお洋服を着てゼロの部屋にいる事にするの。それならゼロはエレを気にせずにいられると思うから。
「エレは、あったかぽかぽかなお洋服着ておくから、気にしなくて良いの」
「その事だけど、エレシェフィールが寒くないように、この部屋に来る時だけ服を用意してあるんだ。ちゃんと可愛いデザインだから安心して」
可愛いは重要じゃないと思うの。機能性の方が重要だと思う。可愛いデザインで安心は良く分かんないの。
「可愛いなら良いが、ゼムの趣味だからな……」
「オレの趣味じゃないよ。みんなにも聞いて用意したから」
「それなら……良いかもしれねぇが」
「可愛さより機能性なの」
「可愛さだ!」
「可愛さだよ!」
仲良いの。同時に言われた。そんなに可愛さが重要とは思えないんだけど。ゼロとゼムは可愛さがとっても重要みたい。
「ぷにゅ」
「可愛かったら、フォルが喜んで抱き枕にしてくれるかもしれねぇぞ」
「その服可愛いねってフォルに言われたくない?」
抱き枕に喜んで欲しい、可愛い言われたい。
可愛いはとっても重要だったのかもしれない。
「可愛いなの!」
「うん。早速着てみる?」
「ぷにゅ」
上着タイプなの。簡単に着脱できる。お部屋のお外でもこれなら大丈夫なの。
しかも、ふりふりレースが可愛い。
「可愛いなの?」
「可愛いよ」
「ぷにゅ。フォルに見せびらかし行ってくる」
早速フォルに見せびらかすの。フォルがどんな反応するのか楽しみ。
**********
「エレだよ」
「エレシェフィール?帰ってきてくれたんだ」
「ぷにゅ。お手紙読んだ頃だと思うから帰ってきたの。ついでに、お洋服を見せびらかしにきたの」
エレの可愛いお洋服姿を見ればきっと喜んで抱き枕にしてくれるの。
「……エレシェフィール、こっちきて」
「ふみゅ」
フォルに呼ばれたら、どこへでも行っちゃうエレなの。
「ここ座って」
ふみゃ⁉︎
お洋服可愛くしたら、フォルからお膝ちょこんとお座り催促が来たの。
やっぱり、可愛いお洋服はとっても重要。
「ふみゅ」
フォルのお膝にちょこんとお座り。
「……可愛い」
ぷみゃ⁉︎
後ろからのぎゅぅまできた。
可愛いお洋服でずっと過ごしていれば、ずっとこんな感じにやってくれるのかもしれない。
ゼロに頼んで、とっても可愛いお洋服だけにしてもらおうかな。
「エレシェフィール、君に言わないといけない事があるんだ」
「みゅ?」
「でも、フィルに取られるみたいで、言いたくない。エレシェフィールの事を見込んで言っているのは分かってるけど」
なんだろう。気になるけど、それ以上にフォルが可愛いの。
「……今、遠くにいても連絡できるようにとか、色々と便利なものがあって良いんじゃないかって話が出てるんだ。それを作るのに、君の力を借りたい」
「分かったの。エレができるならがんばるの」
「でも、僕は一人で簡単にできるから、エレシェフィールはフィルにあげないとなんだ。エレシェフィールは僕のなのに」
ぷにゅ。やきもちでいつもは言わなさそうな事言ってるの。
「エレシェフィール、フィルのとこへ行く前に、僕のものと証明するちゅやって。いつものやって」
「ふみゅ。ちゅなの」
ちゅってしてあげるの。フォルのほっぺに。
これで満足してくれたのかな。エレは、満足なの。
「……これ持ち帰りたい」
「フィルのところ行かないとだからむりなの。でも、エレはフォルのだから、帰ってくるの。待っていれば帰ってくるから」
「……なぁ、ちょっとフィルの手伝いするだけだよな?離れるわけじゃねぇよな?部屋も向かいだし。なんでそんな長い間会えない二人みたいな事になってんだ?毎日会えるのに」
それは気持ちの問題なの。ゼロが呆れてるの。
フォルは、エレを独り占めできないのが寂しいんだと思う。フィルに取られちゃうんじゃって不安なんだと思うの。
だから、エレはフォル一筋なのって伝えておかないと。
「うん。僕のエレシェフィール。らぶ」
「らぶ。ところで、お手伝いって何をするの?エレができるって言うけど、エレよりフィルの方がいっぱいできる事多いよ?」
「設計図を描いて欲しいんだ。フィルはその、そういう作業は得意じゃないらしくて。君はそういうのは教えればできそうだから、手伝って欲しいんだ」
絵を描くのはできるけど、そんな、設計図なんてなると、できるか分かんないの。ちょっぴり不安があるの。お役に立てなかったらって。
「ちなみに、君に任せるっていうのは、僕が言ったんだ。君は学ばせれば、そういうのもできるって思って」
「ふみゅ。できるの。フォルができるって思ってくれていたなら、エレはできる気がするの」
「うん。じゃあ、フィルのものになる前に、描き方とかは教えるよ」
「ふみゅ」
フォルができるって言ってくれているなら、エレはフォルを信じてやるだけなの。自分を信じてやるよりも、とっても、できそうって思うの。
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