失われた賢人島の宝

碧猫 

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後日談

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 師匠とマークル意外と仲良くやってる。
 これなら復縁も近いのかな。

「おい、二ギア遅い」

 前言撤回、全然仲良くない。仲良く見えていたけど言動が仲良くない。

 これは水作戦だね。

 雨降ってるー、傘一つしかないー。ってなれば、二人で一つの傘を使うでしょ。そうすれば距離が近くなって仲が深まるかもしれないって思うでしょ。

「アチェ、傘置いてきた」
「うん。ありがとう。それじゃあ早速やってこー」

 雨を降らせるのは島の装置でできる。今日はその装置を遠隔操作する道具を持ってきてもらった。

 これで雨を降らせるんだ。

「アチェ、濡れるから傘」
「ありがとう」

 元々優しかったけど、恋人になってからこういう気遣いを良くしてくれるようになったの。

 今はまだ別々に暮らしているけど、ゆくゆくはマークルじゃなくてノービィンと暮らす予定なんだ。

 マークルは師匠と一緒に暮らすかもしれないからね。

「あっ」

 ……嘘でしょ。まさかの傘使わない。ずぶ濡れ状態。

 えっ、これじゃあ風邪ひいちゃうよ。

 こうなったら作戦変更。

 マークル達に傘を一本だけ渡す。

「師匠、マークル。これ使って。濡れていると風邪ひいちゃうよ」
「……アチェが心配するから使って」
「おい、二ギア使って良いぞ」
「マークルの方こそ使えば良いさ」

 なんでこうなるの。そうだ、良い事思いついた。

 ちょっと雨の水をお借りして

「グス、どっちかしか使わないで片方風邪ひいちゃうなんていや。二人で一緒に使って欲しい」

 嘘泣き戦法。これだったら二人一緒に入ってくれる気がする。

「分かった。入るから泣かんでくれ」
「二ギア、二人で入るならもう少し近くに寄れ」
「分かってるさ」

 あっ、こ、これは。

 男性が女性を気遣い、自分の肩を濡らしながらも女性の方は全身濡れないようにするというあれ。

 何も言わずにこういう事ができるなんて少し見直したわ。

 でも、これって気づかれないと意味ないんだよね。

「……マークル、肩濡れてる」
「傘が狭いから多少は濡れるだろう」
「だったらこうすれば良いさ」

 マークルナイス!
 あのおかげで距離が近くなった。

 二人とも入るようにって師匠がマークルに密着した。

 しかも腕をぎゅって。これはもう作戦成功と言っても良いのではないでしょうか。

 成功だよね。

 あとは収穫物を摂ってくるだけ。

 これはもう何もしなくとも、復縁までまっしぐらなんじゃないのかな。

「じゃあ、わたし達は後ろで待機しているから」

 るんるんなところを見せないように走って後ろに戻った。
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