聖なる獣・英雄譚

碧猫 

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1章 聖星族の少女との出会い

11話 映像の真実

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「まぁ、こんな感じであの子も信じられる子がいたんだ。これがあの暴走に繋がってる。御巫姫の件は、その後失敗の原因は自我だとか言い出してあの子の自我を奪う儀式を勝手に始めていた。その儀式は途中で中止されて、その時あの子が暴走した」
「……」
「フォル、エレの暴走原因を自分で話せるか?」
 
「うん。儀式を知って無理やり中止させたからその反動がきて、それを見たエレが全部自分のせいって責任感じちゃって……元々精神状態がかなり悪かったからっていうのはあるけど……」
「こういう事だ。あれはエレは何も悪くない。当然、フォルも。あんな状態になるまで何もできなかった我々の責任だ」

 あの映像の真実を知った彼は怒りを覚えた。当然それは少女にではない。引き金を引いた黄金蝶の少年でも。

 ――当時五歳で今だってまだ十歳だぞ。どうしてこんな子供がここまで責任を感じる必要がある。どうして、誰も守ってやれなかった。
 どうして、あの子は今もずっと怯えて暮らさなければならない。

 やり場のない怒りを抑えて、彼は少女に不器用な笑顔を向けた。

「今までずっと頑張ってきたんだな、エレ」
「ふぇ、ふにゅにゅ、お兄ちゃん笑顔下手。悲しいじゃなくて面白いが勝っちゃった」

 そう言って少女は指で涙を拭いながら笑った。暴走の話を始めた時から少女はずっと黄金蝶の少年に隠れて泣いていた。それを彼は気づいていた。

「エレ、無理に泣き止まなくて良い」
「ありがとギューにぃ。でも、無理じゃないの。お兄ちゃんは笑顔頑張ったんだからエレも笑顔なの。笑顔は鏡だってゼロが教えてくれたの」
「あれ、エレがずっと泣いていて笑って欲しくて言っただけなんだが。無理に笑顔になれって事じゃ」
「笑顔は鏡なの。それずっと信じてたからエレ笑えるの……だから、そんな事言うのや」
「……鏡つぅんならもっと不器用さをださねぇと。ほら、あのお兄さんちゃんと見ろ。笑顔か分かんねぇだろ」

 御巫の少年に言われて少女がじっと彼を見つめた。

「……難しいの」

 ――そこは真似しなくて良いだろ。

「逆にお兄さんを笑わせれば良いんじゃない?」
「ぷにゅ、面白い顔」

 そう言って少女はぷくぅと頬を膨らませた。

「ふにゃ⁉︎笑ってくれない!みゅぅぅ、こうなったらエレの必殺にゃんにゃん攻撃なのー!にゃぁんにゃぁん」
「クスッ」
「ふにゃぁ!エレの勝ちー」

 彼は少女が猫の鳴き真似をしながら黄金蝶の少年に戯れつく姿が可愛すぎて思わず笑ってしまった。
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