聖なる獣・英雄譚

碧猫 

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1章 聖星族の少女との出会い

15話 証拠探し

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 朝になってリビングへ向かうと、エレ達が先に来て待っていた。

「お兄ちゃんやっと来たの」
「エレが珍しく寝坊しなかった」
「珍しくないの」

 寝坊常習犯のエレが珍しく寝坊せずに待っていた。

「済まない。遅くなって」
「気にしなくて良いの。エレもいつも遅いから。今日は早く起きれた。フォル、褒めて褒めて」
「うん。僕とゼロで起こしていたからね」
「むにゅぅ、早く危険区域行くの」

 言い負けそうになったエレが転移魔法を使おうとした。

「待った待った」
「待って待って」
「むにゃ?」

 エレがゼロとフォルに止められて転移魔法を使うのを止めた。

「エレが使ったら変な場所にしか行かないからだめだって」
「何回も言ってんだからやろうとすんな」
「むにゅぅ。ギューにぃ、近くまで転移魔法使って」

 エレは場所を知っているギュレーヴォに頼んで転移魔法を使おうと使ってもらった。

       ******

 ついた先は、獣道の山。

「ここからは徒歩なの。やだけど」
「我慢しろ」
「ゼロもやでしょ?」
「やだけど」
「やなの」

 エレとゼロが手を繋いで先頭を歩く。

「先頭は危険ではないか?真ん中の方が」

 護衛を何度かやっているため、先頭と最後尾は危険という認識がある。だが、エレ達は気にせず歩いていた。

「大丈夫だよ。ゼロいるから」
「エレの事くらいなら俺が守れるから大丈夫だ」
「ゼロとエレが一緒になったら防御魔法すっごいの使えるもんね」
「使えるもんね」

 エレとゼロは何かあった時に身を守る術だけはあるとたかを括って先頭を堂々と歩いていた。

 だが、そんな楽観的に考えていては後で後悔するという事をすぐに身をもって知る事となった。

「ふきゃあぁぁ⁉︎」
「みゃぁぁぁぁ⁉︎」

 植物の茎がウネウネと動いている。先頭でそれを目視してしまったエレとゼロは悲鳴をあげて逃げた。

「おい、そっちは」
「きゃぅん?」
「みゃぅん?」

 エレとゼロが逃げた先は獣用の罠がある場所。

「きゃぅん⁉︎」
「みゃぅん⁉︎」

 二人して見事に罠に引っかかった。

 網に引っかかって出れないエレとゼロが抱きしめあっている。

「はぁ、ほんとになにも考えてないんだから」

 フォルが風魔法で網を吊っている紐を切った。

「みゃぁ」
「にゃぁ」

 ボトンッと下に落ちたエレとゼロがフォルに抱きついた。

「気をつけなよ」
「ふにゃふにゃ」
「ぷにゃぷにゃ」

 そんなこんなで何度もエレとゼロが罠に引っかかりながらも、なんとか目的地まで辿り着いた。

 二人はたとえ真ん中にいようと罠に引っかかりまくっていた。

「ふにゅぅ。やっとついたの」
「ここは?」
「綺麗な場所でしょ?エレのお気に入り」

 綺麗な湖。エレはその中に入った。

「お兄ちゃんも入って」

 エレの後に続いて全員湖の中に入る。

「ふにゅぅ。ここが証拠だよ」
「どういう事だ?ここになにが」

 湖に眠る建物の側に姫の写真が落ちている。

「ここは聖星族が守っている場所。昔、神獣達と一緒に過ごした場所の一つなんだ。今は湖の中に沈んでいるけど、結界でこうして話す事ができるの」

 エレがドヤ顔で説明した。

「これ覚えるまで何年かかったか」
「ゼロ意地悪なの」
「ここにお兄ちゃんが知りたい事がいっぱいあると思う。だから、ゆっくり探して」
「フォル、エレがフォルのお嫁さんでゼロがペットで遊ぼ」
「なんで俺ペットなんだよ」
「良いよ。ゼロ、ペットなんだからちゃんと飼い主の面倒見てよ」
「逆だろ」

 彼が証拠を探すのを待っている間、暇なエレ達は遊んでいた。

 彼は写真以外にも何か証拠となるものがないか調べた。

 ――写真では証拠として薄いからな。できればもっと確証が持てるようなものが欲しいのだが。

「これお兄ちゃんにもってったら喜ぶかも」

 エレが箱を持って彼の元へ来た。

「これ箱の中身きっと使えるよ」
「感謝する」
「みゅぅ、感謝はなでなででなの」

 頭を撫でて欲しがっているエレの頭を撫でてから彼は箱の中身を確認した。

 箱の中身は封筒が入っていた。

 その封筒に書かれていた名は姫の名だ。

 ――これは何か関係があるんだろうが、流石に開けるのは抵抗があるな。

「あっ、これってお兄さんその封筒貸して」
「ああ」

 フォルに封筒を渡すと、封筒の中身を確認していた。

「やっぱり、そうだ」
「なんなんだ?」
「仕事の依頼書。開けてないからやっていたかは怪しいけど」

 ――依頼書をそのままにしておくとは。だが、これは良い情報源となってくれるかもしれない。
 まともな会話ができて話してくれる人物ならだが。
 全員が全員なんでもかんでも話してくれる親切な人なんて事はないからな。
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