古屋さんバイト辞めるって

四宮 あか

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私と恋

第6話 ヨッシー先輩はどんな人

 ぐるぐるしたまま、いつの間にか私は電気を消さずに寝落ちしたようだ。
 綺麗になろうと頑張ろうとしてすぐ、夜更かし+ストレス+明るい部屋で就寝のコンボをきめてしまった。
 手をグーにするとはっきりとむくんでいるのがわかるし。


 自分一人で抱えるのがつらいし。
 結局のところ、モヤモヤしていることや、モヤモヤしている原因もわかったけれど。
 自分がどうしたいのかがわからない。

 どうしたいのかがわからないから、なんていうかゴールがない。
 ゴールがあれば、問題解決のために少しずつでも動けばいいんだろうけれど。
 何をどうしたいのか自分自身ハッキリしてないのは原因ってことまでわかるけれど、これ以上一人で悩んでも自分の気持なのに、私ってこうしたかったんだ! と理解するビジョンが見えない。


 そういうときは古屋さんだ!


 あまり愚痴っぽいことをいって、友達として整理されたくない。
 愚痴っぽい話だけにならないように、別の話もすることにしてと。



 これまでの私だったら、勢いに任せて私の気持ちを一方的に甘えられる子に送信したけれど。
 ちょっとだけ成長している私は、愚痴るにしてもできるだけ簡潔に。
 愚痴以外の話しもちゃんとして、ちょっとずつうまいこと話しをしてみようと作戦をねることにした。

 最初は恋バナって感じでしようと作戦を練った私は早速古屋さんに連絡した。
『『さのさの』で前働いていた、私の好きだった人がたまたま通りかかったカフェで働いているのみつけちゃいました!』
『なんて声かけたの!? 漫画みたいだね。私恋バナ好きだし。ちょっと事情聴取しようか~( ̄ー ̄)』
 SNSでちょっと聞いてもらえたらラッキーと思っていたのに、思いのほか古屋さんが食いついてくれて、ガッツポーズをした。


 今回のことは、私から頼んだわけではなく、古屋さんからいってきたことで。
 恋バナの結果として、私のどうしようもでちゃうし、何かアドバイスを少しでももらえたらラッキーだ。
 トントンと今日大学が終わってからちょっと大学の近くでお茶でもってことになった。



 って、てっきりカフェでと思ったけれど。
 指定されたところは、校内の一角にある建物の陰でちょうど日陰になる、昼食時はわりと人気のベンチだった。
 放課後ってこともあり、昼とはちがい沢山あるベンチの中で、わりと校舎から遠めってこともあって、座っている人は誰もいないし、人もあまり通らなかった。


「はい、お茶と紅茶とどっちがすき?」
 そして目の前に出されたのは、大学の自動販売機に売っているペットボトルに入った飲み物だった。
「じゃぁ、こっち。あっ、お金払うね」
 特にどっちが好きというわけではないけれど、ただでもらうわけにもいかずに私は鞄から慌てて財布を取り出す。
「私が勝手に買ったやつだからいいよ。ただ、恋バナはグッと掘り下げるね」


 私は早速ヨッシー先輩がどんな人か、酔っ払いのテーブルを変わるよ~ってしてくれたことをきっかけに好きになったこと。
 そして以前は古屋さんには言わなかった、店長が変わってから最初に資格試験を理由にバイトをやめたアルバイトのムードメーカーで中心人物だったのがそのヨッシー先輩であることを告げた。


「私が勤める前に、そんな高スペックの人がいたんだ」
 わっと楽しそうに古屋さんは笑った。
 そう、話しを聞くだけで目の前にいるミルクティー色の髪を緩く巻いて、きれい目なカットソーとスッキリとしたパンツ姿の綺麗な古屋さんがいいきるほど、ヨッシー先輩はかっこいい人物だった。
「店長が変わって一番最初にやめちゃいましたけど」
 先輩がさっさと『さのさの』をやめて、今は別の店で手馴れたように働いているのを知ってしまった私はちょっと複雑でそういった。


「あ~そういうもん、そういうもん」
 私が複雑な気持ちだというのに、あっさりと古屋さんはそういうものだと言ったのだ。
「そういうものな……の?」
「これまでの学校生活でも、高身長でさらに顔もそれなりに整っていて、要領よくて自然と人の中心になれる人ならきっと中心人物だったと思うよ」
「た、確かに……」
 古屋さんの言葉はすごく説得力があって私はすんなりと納得してしまった。


「人気ある子って、どうしてもその子と友達になりたい。親しくなりたいって人が現れる。寄ってくる子の中には、自分は仲良くしたくないなって人も当然いる。石井ちゃんも相手は友達になりたそうだけれど、私は……って子いなかった?」
「いたいた」
 クラスで明らかに浮いている子とか、はっきりとした虐めのターゲットってわけじゃないけれど。一緒にいたら自分も標的になったらどうしようと思う子とか……
 ヨッシー先輩に寄ってきた人とは質が違うカモだけれど、私も友達になりたそうだけれど、私はなりたくないってのは経験しているし。
 なんなら断れなくて、他のグループから揉めて出されるような子をグループにいれてトラブルになることも経験済みだもん。


「人気者になればなるほど、友達になりたくて寄ってくる人が多くなる。そうなると当然、この人とどこまで仲良くするかとか、この人とはうまく友達にならないでおこうとか、そういう線引きを自然とすることを小さい間から経験しているっていえばいいのかな」
 古屋さんはそういって、ストレートティーを飲みながら話を続けた。


 現に私は皆が入っているグループで繋がっていたから、グループのメンバーで遊ぶときは入れてもらえて、雑談なんかもしていたけれど。
 プライベートでの連絡先交換はしていなかった。
 私としては、連絡先交換したいなと思っていたし。
 何回か複数人だけれど遊びに行ってそれなりに話したから、ヨッシー先輩から連絡先の交換を言ってくれたらいいのにとチラッチラしていた。
 でも、私の立ち位置は先輩と仲良くなれたから個人での連絡先までもう一歩の子ではなく、プライベートでつながっていないのでバイトをやめてしまえば連絡を取らなくなる子だった。

「あぁ……ちょっとわかる」
 というか、目の前にいる古屋さんもそうじゃん。
 店長に古屋さんが辞めないように引き留めろと言われたけれど、私はかつて古屋さんとはバイトの連絡をするグループでしか繋がっていなくて。
 個別でつながるようになったのは、バイトをやめてからだ。

 私はバイト先では話しかけられればそれなりに雑談するし、バイトメンバーで遊びに行く話がでれば面白そうなら行く。
 ただ、バイトっていう繋がりがなくなればバイトのグループから抜けてそれっきりになるような子だったのだ。




 なんていうか、ヨッシー先輩だけじゃなくて。
 一緒にいたら面白いとか、ためになるとか、成長できるとか、一緒にいたいと思われる人は、むやみやたらに友達を増やさないようにしいてるのかもと古屋さんの話しで気が付いた。


 私もいつメンの麗奈、白雪ちゃん、朋ちゃんに見限られて一度グループ移動をされたことを自覚した後から。
 うーんと思われたら、喧嘩とかしていなくても、やんわりと距離をおいてちょっと挨拶程度にされることをすでに知ってしまったし。
 古屋さんには特にどうやって話すか事前に考えたり、ちょっと愚痴っぽくなるかなってことは言葉を選ぶようにしていて、見切られないように考えてるんだから、他の人も私と基準はちがっても仲良くなる基準があるのだと思う。

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