古屋さんバイト辞めるって

四宮 あか

文字の大きさ
31 / 41
私と事件

第4話 いいなぁ~

しおりを挟む
「いってきたよ~」
 ピザを食べ始めてすぐに、麗奈が皆が気になっている500円のお試しエステの話を始めた。
「「「どうだった?」」」
 皆関心があったようで、思わずどうだったと同時に口に出してしまった。


「本当に500円だったし。しつこい勧誘もなかった」
 麗奈はちゃんと私たちが一番ききたかったことを言い切った。
「それで、エステ自体はどんな感じなの?」
 これからエステに行くことを控えている私は、先にエステを体験してしまった麗奈に実際エステってどうなの? と気になって仕方なかった。
「まず、最初は担当になってくれる人から挨拶をうけて、それからカウンセリングを受けたの。といってもほとんど雑談みたいな感じだけど。エステに使う化粧水のパッチテストをしてそれで異常がなかったら。個室の施術室に移動して開始って感じ」
 麗奈は実際にどうだったかを話し始めた。


 顔にスチームを当ててもらって、それが気持ちよかったこと。
 メイクを落としてもらってから、顔にオイルを塗ってもらってマッサージしてもらったこと。
 緊張していたけれど、施術しているお姉さんと大学のことや出身はここなの? とか雑談をしながらエステをうけたこと。
 お姉さんが話しやすかったから、よかったとか。

 その後、今のお肌の状態、未来の肌の状態をみることができる器械でこの辺にシミができやすよねって話をしたこと。
 一応形だけだからってことで、エステの契約コースについて規約だからって説明と、化粧品も取り扱っていることと化粧品のサンプルをもらったこと。
 無理強いはしないけれど、やっぱり若い間からやることで全然肌が違うよって話をしたそうだ。

「500円で受けたんだけど。通常だったら、1万2千円はもらう施術なんだって。月に1回で1年間通うのだと通常144000円かかるんだけど。12回コースの契約をしてもらえると、12万になってお得だからまた考えてみてって言われた。全然勧誘もしつこくなかったし。よかったよ」
 あまり仲良くない子から言われたら、違ったけれど。
 いつメンである麗奈から言われる言葉は説得力があって、安心感がぜんぜん違った。
 本当に500円なんだ。
 それに勧誘平気だったよ~っていうってことは平気なんだと思う。
 だって、本当は勧誘をしつこくしてくるのを嘘ついたところで、実際は勧誘がしつこくて嫌な思いをしたとなると、仲いいメンバーだと困るもんね。



「12万かぁ。でも1月当たり1万ってなると出せないことはないけど。やっぱりエステはそれなりにするんだね」
 朋ちゃんがうーんっと悩みだす。
 1万は大きいけれど、ちょっとお洋服を買ったりご飯を食べたりするのを我慢すれば捻出できない額じゃない。

「そうなんだよね、でも若い間からケアしたほうがいいって聞くし。後、シミができやすい場所をみるのしたら、私結構頬とかにでてきそうでさ」
 シミとか考えたことがなかったけれど、お母さんは頬に少しシミがいくつかあるし。
 娘の私もできやすいのかもしれない。

「私のお母さんシミをファンデーションでいつも隠してるんだ。私もできやすいのかな……」
 朋ちゃんもどうやら私と同じことを思ったようだ。
「エステで販売している化粧水は6000円らしくて。そこまでは流石に無理そうだけど、月に1度くらいならなぁってちょっと実は思ってる。サークルの子もすでに12回コースで契約してるし。友達を紹介すれば、紹介した子が入らなくても、1度につき1回コースとは別に500円でまた施術を受けれるみたいだし、そうすれば月に1回以上上手くいけば通えるのかもって……」


「契約しなくていいなら、1回500円なら私いってみてもいいよ」
「えっ、白雪ホント!?」
「私も別に1回500円ならいってもいいよ!」
「実来もありがとう」
「あっ、麗奈ごめん。私たぶん先に声かけてきた子がなんで!? ってなりそうだから。行くにしてもそっちからになるかも。ごめん」
 朋ちゃんは先に別の子から声をかけられた手前、人間関係とかもあるんだろうけれど。後から誘われた子と行くのはちょっと厳しいカモとハッキリ先にいってきた。
「むしろこっちが助かるし」


 麗奈はどうやら、同じサークルの人たちのように、この調子なら12回コースを契約して、友達を月に1~2人とか誘えばいいかなと前向きのようだ。

「じゃぁ、白雪ちゃんで次が私ね!」
 白雪ちゃんが先にいいよって言ったこともあって、いつでもよかった私はそういった。
「じゃぁ順番に声かけるね~」


 そんな感じでピザパーティーは終わった。


 後日麗奈は『12回コース契約しました。お金きついけど頑張る~』とグループに連絡してきた。
『最初白雪からってことだったんだけど、一応勧誘があるから、20歳になってからじゃないとごめんなさいっていわれちゃって。実来がもう20歳だから実来からでもいい? 白雪は20歳になったらすぐ誘うから!m(__)m』
『コースの契約とかあるとそういうのあるんだね、了解実来からでいいよ~』
 白雪ちゃんもそれならしょうがないよねってことで、20歳になっている私から噂のエステにいくことになった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...