古屋さんバイト辞めるって

四宮 あか

文字の大きさ
41 / 41
エピローグ

エピローグ

 エステ事件のごたごたは、やはり金額が大きいこと。
 実際に契約した子が多くいること。
 エステを紹介した相手が、繋がりが深い人物ということもあり、簡単にどうこうなるものではなさそうだった。

 大学からの注意喚起のメールは、私が通っている大学だけではなく、近隣の大学、専門学校、短大なんかに同時期に学校側からあったらしく。
 大学が注意を促したことを皮切りに、今まで水面下でごたついていたことが。

 学校側が注意をするような事態だと自覚した子が大勢出たようで、問題が一気に表面化してきた。
 大学のいつメンは幸いこのこととは無関係で蚊帳の外で周りの様子を大変だね~と見守るだけだったけれど。

 私のバイト先はちがった。
 実際に紹介した子、紹介されてエステにいって契約をした子がいて、紹介されて契約した子が更に自分の仲いい子に紹介してそっちともトラブルになってと。
 エステの契約をしていない私に、双方が自分は確かに加害者かもしれないが、被害者でもあるみたいなことを主張してものすごくめんどいことになった。

 麗奈が言っていたように、クーリングオフは無理でも解約を……と思っても。
 解約金がかかるそうで。解約したところで戻ってくるお金はかなり少ないものになる。
 二桁万円の金額はあまりにも大学生には大きく。
 かつ仲いい子が紹介したことでしっちゃかめっちゃかで、バイト先の空気はかなりギスギスとしたものに変わるのに時間はかからなかった。



 楽しいバイト先だったけれど、エステトラブルはどういう風に解決するのかの目途はちっともたっていない。
 私は何かを言われたりすることはなかったけれど。
 バイト先の空気は当然悪くなり、かつよくなる見通しのない状況。


 もしかしたら、このバイト先ももしかしたら…… 
 案の定、私の嫌な予感は見事的中した。
 まぁ、前の職場で言うヨッシー先輩のようなムードメーカーの中心人物の能力の高い男の子がバイト先にやめると申し出たのだ。
 まぁ、表向きは資格試験に集中ってことだけど。
 すでに同じパターンを経験していた私は、これは建前だとすぐにわかった。

 男の子が今回やめるんじゃないかってことは予想していた。
 今回のエステのごたごたに巻き込まれたのは女子だからだ。


 エステ契約に巻き込まれなかった私ですら、このバイトの子に紹介してしまった加害者、そして紹介してもらった被害者の両方の立場から、あれこれちょっとした愚痴を聞いたし。
 バイト先の中心人物で気さくで話しやすい男の子ってならば、その子に恋愛的な目的もあって悩みを相談したい子が隙あらば相談っていうテイで悩みや愚痴をぶつけているのだろうなと思っていたから。


 この子が辞めたら、次の話しやすい子、話しかけたい子が次の愚痴の犠牲になるだろう。
 そしたら、しんどくなった子はきっとバイト先をやめるだろう……
 私はこっそり求人を探し出した。


 まぁ、この辺り一帯の20歳以上の大学生がターゲットになっていたみたいだから。
 どこも似たような状況かもしれないけど……と前とは違う状況にちょっとため息がでる。


 そして、私はもうバイト辞めるなら会うこともないだろうと。
 このバイト先での人気者の残念ながらバイトをやめる予定の西君に話かけた。
 私は西君にエステの愚痴を言わないこともあって、最近は西君とちょっと話すことが増えていた。
 だからこそ、西君とこれっきりは惜しいかもと思ったのだ。
「ここだけの話し、実は私もこのバイトやめる予定なの」
 私がそういうと西君のぱっちりとした二重の大きな瞳が驚きでさらに見開かれた。
「石井さんも資格? それとも勉強忙しくなりそうな感じ?」
「うーん、表向きはね。本当はちょっとエステのことかな。もう相談や愚痴を聞きたくなくて……だから別のとこさがそうかなと思って。あっ、これ皆には内緒ね」
 そういって私は愛想笑いして、意図的に西君に本音を漏らした。
「……実は俺も」
 ちょっと間があってから西君はそう言った。


「やっぱり。西君私より大変そうだったから辞めるんじゃないかって思ってたの。今どこもこんな感じかもだし。もしいいバイト先あったらお互い教えあわない?」
「いいよ」

 こうして、私は西君と初めてプライベートの連絡先を交換した。
 リリコちゃんと、ヨッシー先輩のようになるかはわからないけど。


 今度は辞める人を複雑な気持ちで見送ってまったりしない。
 私は合わせてうまく生きていく。
 そして、あわよくばを狙うのだ。
 
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。