17 / 41
第17話 ウソと本物の私の夏休み
しおりを挟む
気持ちをいっそ全部ぶつけられたらスッキリするのに、ウソの私のことをばれるわけにはいかないから、それも叶わない。
「なんでもないよ」
「またそれか?」
「ショウに話すつもりはないもん。私達は友達超えて親友じゃん……私がちゃんと話せるまでちょっと時間ちょうだいよ。全部言える日が来たらちゃんというよ。そんときはさ、『お前なぁ~』って言いながらいつもみたいにちゃんと最後まで怒らずに聞いてね。約束」
いつもの笑顔を浮かべてバシンと鞄で軽く殴って、ゆるまった私の手首をつかんでいた手を振り払って私は走り出した。
「おいっ……」
走って走って走って、息は上がって、心臓の音がうるさく聞こえて、横腹だって痛いし、酸素が足りなくて苦しくて苦しくてしょうがない。
酸素を求めて私の口は、大きく息を吸い込む。
走るのをやめたら楽になるけど、止まってしまったら、苦しいとか止まりたい以外の今は考えたくないことを沢山考えてしまいそうで止まれなかった。
本物の私じゃ、本物のあなたは絶対に手に入らないってことを一番私がわかってるのに、私ときたら
――あなたのことばかり。
ショウはそれ以上特に何も詮索してこなかった。
それを望んだのくせに、通知の来ないスマホをみて、それがさびしいと言う矛盾を私は夏コミにぶつけることにした。
リサ姉からは夏休み入ったらもう衣装の修正もあるし、一回仮で着てもらわないといけないと言われた。
リサ姉もなんか私の様子がおかしいのに気がついたのに、そこは大人、ショウとの仲をいつもは茶化してしつこいくらいにきいてくるのに何も言わない。
いつもだったら、入り浸りでゲーム5本はクリアするぞと二人で燃えた夏休み。
今年は違う。
ユウでは会ってもユウキでは会うつもりはなかった。
まぁ、今からだと閉め切り間に合わないし、もともと本は出すつもりはないというか二重生活のせいで金のなかった本を出すことはできなかったんだけど。
その分ツイッターにイラストと漫画をUPじゃいとオタ活ではじけていた。
相変わらずショウから連絡のこないユウキのスマホ。
こまめに連絡がくるユウのスマホ。
本当の顔がユウだったら、幼馴染でも別の道があったのかなとほんのり思ったりするけど、なるべくそう言うことを考えそうになったらオタ活い勤しむ本物の私。
それにしても、軽い気持ちでレイヤーデビューすることになったけれど採寸を舐めていた。
リサ姉の様子はいつもと違った。そこは有名レイヤー妥協など一切なかった。
ちょっと修正して、衣装をきて、ちょっと修正してまた合わせてみるにすっかり疲れた私は帰り道にコンビニによって甘いものでも買っちゃおう今日は買っちゃおうとコンビニを目指していた。
こういうときに限って、家が近所だとコンビニに立ち寄るだけで会いたくない幼馴染とエンカウントしてしまう悲しい定め。
姿を発見した私はコンビニに入ることなくUターンしたんだけど、見逃してくれるはずもない。
「ユウキ、ポテチもちょうどあるし一狩りいこうぜ?」
そう話しかけられたのだ。
会うつもりがなくても、会ってしまう。ご近所だから活動範囲がガッツリかぶってる……
いつまでも不自然に避けるのは不可能か……ショウにしたらかなりほっといてくれたほうだし。今無視したら家に突撃してきそうだもん……出るまでコースで。
「いいよ。私のタル爆弾が火を吹くぜ」
「お前、毎回タル気に入って準備してくるけど、タルの設置だけビックリするくらい下手だよな。罠はそんなことないのに」
「うるさい、そっちだって捕獲の罠を適当な場所に毎回置くからショウが設置したのにはちっとも引っ掛からないじゃない」
「回復薬節約して笛ばっかり吹いてるやつに言われたくない」
「何よ、その笛のおかげで死なずに済んだことが何回あったと思うの?」
この空気は空気でやっぱり心地よい。
私は久々に、ショウの家にやってきた。
ここに来るのは、ユウで訪問した水着事件依頼。
ショウは私の訪問には何も思ってないけれど、私はものすごい気恥ずかしい気持ちとなっていた。
この部屋であんな下着同然のカッコでいたとか信じられない。
愛用してるから、夏場はあって当然なんだけど、あのかぶったタオルケットも当然ベッドの上に適当にたたまれているし。
ベッドの隅に追いやられた私のクッションを抱えてちょっと悶えてしまう。
よく、この部屋であんなことしたのに寝てるなショウと思ってしまう。
「何やってんの?」
クッションをぎゅーっとしていたらショウがいつの間にかジュースをもってきたようでそう聞かれてしまう。
思いっきり不審な場面を見られた。
「いや、久しぶりの私のクッションちゃんの感触を確かめてた」
適当な言いわけをする。
「それ、気にいってるよな。もう結構ボロボロになってきてるのにお前が使うから捨てれないんだよ」
手早くテーブルにジュースを置きながら、そう言われた。
「勝手に使ってはいないでしょうね」
「使ってないけど、もともと俺が買ったクッションだったんだけど」
「ここまで使い倒したら完全に所有権は私にあるも同然」
「なんだよその意味不明な言いわけ。それよりやるぞ」
電源を入れて、ジュースを一口飲む。
よし、せっかく口頭でごちゃごちゃ言えるんだから、ちょっと難しいやつの討伐にするかな。
うーん。
「この前の公園でのこと、ごめん」
ポソリとショウはそう言ったのだ。
おそらく私が怒ってる理由を考えていたのだと思う、その結果が怒って帰ったあの一件につながったんだと思う。
「怒ってないよ。ただ、イケメンの彼氏作ってやるからみてろよ」
「へーへー、できたらせいぜい見せびらかしにきてくださいよ~」
「信じてないわね」
私には最悪リサ姉という最終兵器がいるんだぞ。
人々が振りかえるような外見なんだぞ。
最終兵器として男ではなく、男装の麗人を選んでしまう。
本物の私が呼べるイケメンがリサ姉しかいないのがちょっとむなしい。
「なんでもないよ」
「またそれか?」
「ショウに話すつもりはないもん。私達は友達超えて親友じゃん……私がちゃんと話せるまでちょっと時間ちょうだいよ。全部言える日が来たらちゃんというよ。そんときはさ、『お前なぁ~』って言いながらいつもみたいにちゃんと最後まで怒らずに聞いてね。約束」
いつもの笑顔を浮かべてバシンと鞄で軽く殴って、ゆるまった私の手首をつかんでいた手を振り払って私は走り出した。
「おいっ……」
走って走って走って、息は上がって、心臓の音がうるさく聞こえて、横腹だって痛いし、酸素が足りなくて苦しくて苦しくてしょうがない。
酸素を求めて私の口は、大きく息を吸い込む。
走るのをやめたら楽になるけど、止まってしまったら、苦しいとか止まりたい以外の今は考えたくないことを沢山考えてしまいそうで止まれなかった。
本物の私じゃ、本物のあなたは絶対に手に入らないってことを一番私がわかってるのに、私ときたら
――あなたのことばかり。
ショウはそれ以上特に何も詮索してこなかった。
それを望んだのくせに、通知の来ないスマホをみて、それがさびしいと言う矛盾を私は夏コミにぶつけることにした。
リサ姉からは夏休み入ったらもう衣装の修正もあるし、一回仮で着てもらわないといけないと言われた。
リサ姉もなんか私の様子がおかしいのに気がついたのに、そこは大人、ショウとの仲をいつもは茶化してしつこいくらいにきいてくるのに何も言わない。
いつもだったら、入り浸りでゲーム5本はクリアするぞと二人で燃えた夏休み。
今年は違う。
ユウでは会ってもユウキでは会うつもりはなかった。
まぁ、今からだと閉め切り間に合わないし、もともと本は出すつもりはないというか二重生活のせいで金のなかった本を出すことはできなかったんだけど。
その分ツイッターにイラストと漫画をUPじゃいとオタ活ではじけていた。
相変わらずショウから連絡のこないユウキのスマホ。
こまめに連絡がくるユウのスマホ。
本当の顔がユウだったら、幼馴染でも別の道があったのかなとほんのり思ったりするけど、なるべくそう言うことを考えそうになったらオタ活い勤しむ本物の私。
それにしても、軽い気持ちでレイヤーデビューすることになったけれど採寸を舐めていた。
リサ姉の様子はいつもと違った。そこは有名レイヤー妥協など一切なかった。
ちょっと修正して、衣装をきて、ちょっと修正してまた合わせてみるにすっかり疲れた私は帰り道にコンビニによって甘いものでも買っちゃおう今日は買っちゃおうとコンビニを目指していた。
こういうときに限って、家が近所だとコンビニに立ち寄るだけで会いたくない幼馴染とエンカウントしてしまう悲しい定め。
姿を発見した私はコンビニに入ることなくUターンしたんだけど、見逃してくれるはずもない。
「ユウキ、ポテチもちょうどあるし一狩りいこうぜ?」
そう話しかけられたのだ。
会うつもりがなくても、会ってしまう。ご近所だから活動範囲がガッツリかぶってる……
いつまでも不自然に避けるのは不可能か……ショウにしたらかなりほっといてくれたほうだし。今無視したら家に突撃してきそうだもん……出るまでコースで。
「いいよ。私のタル爆弾が火を吹くぜ」
「お前、毎回タル気に入って準備してくるけど、タルの設置だけビックリするくらい下手だよな。罠はそんなことないのに」
「うるさい、そっちだって捕獲の罠を適当な場所に毎回置くからショウが設置したのにはちっとも引っ掛からないじゃない」
「回復薬節約して笛ばっかり吹いてるやつに言われたくない」
「何よ、その笛のおかげで死なずに済んだことが何回あったと思うの?」
この空気は空気でやっぱり心地よい。
私は久々に、ショウの家にやってきた。
ここに来るのは、ユウで訪問した水着事件依頼。
ショウは私の訪問には何も思ってないけれど、私はものすごい気恥ずかしい気持ちとなっていた。
この部屋であんな下着同然のカッコでいたとか信じられない。
愛用してるから、夏場はあって当然なんだけど、あのかぶったタオルケットも当然ベッドの上に適当にたたまれているし。
ベッドの隅に追いやられた私のクッションを抱えてちょっと悶えてしまう。
よく、この部屋であんなことしたのに寝てるなショウと思ってしまう。
「何やってんの?」
クッションをぎゅーっとしていたらショウがいつの間にかジュースをもってきたようでそう聞かれてしまう。
思いっきり不審な場面を見られた。
「いや、久しぶりの私のクッションちゃんの感触を確かめてた」
適当な言いわけをする。
「それ、気にいってるよな。もう結構ボロボロになってきてるのにお前が使うから捨てれないんだよ」
手早くテーブルにジュースを置きながら、そう言われた。
「勝手に使ってはいないでしょうね」
「使ってないけど、もともと俺が買ったクッションだったんだけど」
「ここまで使い倒したら完全に所有権は私にあるも同然」
「なんだよその意味不明な言いわけ。それよりやるぞ」
電源を入れて、ジュースを一口飲む。
よし、せっかく口頭でごちゃごちゃ言えるんだから、ちょっと難しいやつの討伐にするかな。
うーん。
「この前の公園でのこと、ごめん」
ポソリとショウはそう言ったのだ。
おそらく私が怒ってる理由を考えていたのだと思う、その結果が怒って帰ったあの一件につながったんだと思う。
「怒ってないよ。ただ、イケメンの彼氏作ってやるからみてろよ」
「へーへー、できたらせいぜい見せびらかしにきてくださいよ~」
「信じてないわね」
私には最悪リサ姉という最終兵器がいるんだぞ。
人々が振りかえるような外見なんだぞ。
最終兵器として男ではなく、男装の麗人を選んでしまう。
本物の私が呼べるイケメンがリサ姉しかいないのがちょっとむなしい。
0
あなたにおすすめの小説
寵愛の花嫁は毒を愛でる~いじわる義母の陰謀を華麗にスルーして、最愛の公爵様と幸せになります~
紅葉山参
恋愛
アエナは貧しい子爵家から、国の英雄と名高いルーカス公爵の元へと嫁いだ。彼との政略結婚は、彼の底なしの優しさと、情熱的な寵愛によって、アエナにとってかけがえのない幸福となった。しかし、その幸福を妬み、毎日のように粘着質ないじめを繰り返す者が一人、それは夫の継母であるユーカ夫人である。
「たかが子爵の娘が、公爵家の奥様面など」 ユーカ様はそう言って、私に次から次へと理不尽な嫌がらせを仕掛けてくる。大切な食器を隠したり、ルーカス様に嘘の告げ口をしたり、社交界で恥をかかせようとしたり。
だが、私は決して挫けない。愛する公爵様との穏やかな日々を守るため、そして何より、彼が大切な家族と信じているユーカ様を悲しませないためにも、私はこの毒を静かに受け流すことに決めたのだ。
誰も気づかないほど巧妙に、いじめを優雅にスルーするアエナ。公爵であるあなたに心配をかけまいと、彼女は今日も微笑みを絶やさない。しかし、毒は徐々に、確実に、その濃度を増していく。ついに義母は、アエナの命に関わるような、取り返しのつかない大罪に手を染めてしまう。
愛と策略、そして運命の結末。この溺愛系ヒロインが、華麗なるスルー術で、最愛の公爵様との未来を掴み取る、痛快でロマンティックな物語の幕開けです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
reva
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる