おためし勇者と魔王見習いの旅

北条丈太郎

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旅は道連れ

勇者の道はここから

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 小魔王と呼ばれるロビンがオラム西方の洞窟に住み着き、ラクマ王国のユーキ王女を幽閉しているという噂はラクマ王国周辺に知れ渡った。
 そのころラクマ王国の領内や城下町などを旅していたケンたちの耳にもその噂は届いた。
 ケンたちにとってはロビンもユーキもよく知る名前であったため、その噂を放っておくわけにはいかなかった。特にタランはケンに強く主張した。
「王子、ユーキ王女を助けに行きましょう。勇者とはそういう正義をなす者です。ロビンが相手ならば私たちだけでもなんとか戦えるでしょう。そうですねライナ?」
 タランに聞かれたライナは武器屋で購入した皮の手甲を腕に装着しながらその具合を確かめていた。そしてタランを見たとき、少し眉をしかめた。
「う~ん、腰を痛めたミストの具合が気になるね。並の魔物たちならアタシの格闘術だけでぶっ飛ばせるけど魔人とかが出てきたらミストの魔術にも頼りたいとこだよ。タランだって戦闘は得意じゃないし、マラインもそうだろ?」
 ライナの言うことにタランもマラインもうなずいた。だがケンはオダン棒を構え、全員に向かって言った。
「ユーキを助けに行こう。勇者とかはどうでもいいけど、あのユーキがあのロビンにおとなしく捕まっているところを見てみたい。洞窟も見たい」
 のんきに笑うケンの姿に呆れたタランたちは思わず笑い、宿屋へ向かった。
一休みした翌日、ケンたちは近くの街で温泉療養を始めたミストを訪ねた。
「……王子が助けに行くというならお前たちはそれを手伝いなさい。ワシも腰が良くなったら追いかけるわい」
 そして数日後、ケンたちは地図を手に洞窟前までたどり着いた。だが一同は目の前に建っている城のような建物を見て仰天した。
「……これが洞窟? 地図通りの場所に来たのに城がある!」
 あまりに驚いたタランは懐から記録書を取り出してページをめくった。
「急ぐぞタラン! もう面白いことが始まってるかもしれない」
 城のような建物には生き物の口のような穴があり、そこへケンは走った。
「おーいユーキ! おーいロビン! 僕だ! ケンが来たぞ!」
 ケンが叫ぶとケンの声が暗闇に響いた。
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