夕日と白球

北条丈太郎

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白球を追う少年たち

太陽の投球

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 夜空が気付くと、太陽は野球をやっている子供たちに交じって遊んでいた。
 草むらに落ちたボールを拾い、子供たちに投げ返して楽しそうに笑っていた。
「兄ちゃん! 一緒にやる? ライト空いてるから入っていいよ!」
 子供たちの一人が太陽に話しかけると、太陽はボールを握り締めて首を傾げた。
「いいよ僕は。野球、ちゃんとやったことないからルールとかわからないし……」
「ルールなんかいいよ! ボールを捕って投げてくれればいいんだよ! やろうよ!」
 子供たちに言われた太陽は、仕方ないという感じで空いているライトに立った。
「いくぞ兄ちゃん! ライトフライ捕れよ! イージーフライだ!」
 ふわりと上がったボールは立っている太陽の後ろに飛んだ。
 それを見た太陽は後ずさり、ボールを追おうとして足がもつれ、草の上に転んだ。
「キャハハ! 兄ちゃんド素人かよ! いいからボール投げて! バックホーム!」
 転んでいた太陽は顔を真っ赤にして立ち上がり、転がっていたボールを拾った。
「……バックホーム。投げればいいんだな。よし! 投げるぞ!」
 太陽は赤い顔のままボールを持った右手を高く上げ、その長い腕をしならせてボールを投げた。
 風を裂くような音がして、ボールは子供たちが待つホームベースの上空を飛んだ。
 ガラスが割れる音を聞いたとき、夜空は自分が息を忘れていたことに気付いた。
「逃げろ! 逃げるぞみんな! ガラス割ったの兄ちゃんだからな! 俺たち知らね!」
 子供たちは叫びながら方々に散り、空き地に残ったのは太陽だけになった。
「……えっと、僕らも逃げる?」
「……大地、太陽だっけ? お前すごい球投げるな」
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