夕日と白球

北条丈太郎

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白球を追う少年たち

将棋部の山城啓馬

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 ある日の朝、星野夜空のクラスではかなりのざわめきが起きた。
 クラスメイトの山城啓馬は将棋部に所属する色黒のおとなしい少年であった。
 その彼が、神奈川代表として将棋の全国大会に出場するということが発表されたのだった。
 休み時間には彼の周りに男子生徒が集まり、あれやこれやと質問攻めにした。
 そんな光景を女子生徒たちは見守り、ひそひそと話しては微笑んでいた。
 放課後、山城啓馬は部室に行くと言ってさっと教室を去ったが、夜空は思わず後を追った。
「なあなあ山城! ちょっと俺に将棋を教えてくれよ! ちょっとでいいんだ!」
「……お前、確か野球部の新米だろ? 練習しねえと上達しねえぞ!」
 夜空は強く言われたが山城を追いかけ、将棋部が部室として使用している教室に入った。
「……ここが将棋部? すげえ! 賞状がいっぱいだな! あ! あれは!」
 夜空は教室の奥にある棚に飾られた賞状を見て驚き、さらに意外なものを見つけた。
「こ、これってアベシンのサイン入りポスターじゃんか! 俺大ファンなんだよ!」
 飾られていたのはプロ野球ガイアンツの四番キャッチャー阿部慎太郎のポスターであった。
「うるせえな星野! アベシンのファンなら野球の練習行け! ここは将棋部なんだよ!」
「待てよ山城! お前もアベシンのファンだろ! お前、野球やってただろ?」
 山城は夜空を無視したが、興奮気味の夜空は無視されたことを無視して話し続けた。
「俺とキャッチボールしてくれ! お前は背が高いからすごい球投げるだろ?」
「おい星野、俺は左投のピッチャーだったんだぞ。俺の球が捕れるのか?」
 夜空に押し切られた山城はグラウンドの隅で夜空を座らせ、左腕を振って一球投げた。
「ううっ! 捕れねえ! 角度がすげえ! すまん! もう一球頼む!」
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