夕日と白球

北条丈太郎

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白球を追う少年たち

バスケ上手の鬼塚

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 星野夜空はバスケットボールが苦手だった。
 体育の授業でバスケをやる日はいつも控えに回って生徒たちのプレーをぼんやり見ていた。
 野球部に入部したばかりの山城啓馬はその身長を生かし、バスケでは活躍していた。
「ケーマ! パス! そっから打て!」
 山城啓馬にパスしながら指示を出したのは鬼塚秀樹という背の低い生徒であった。
 夜空は鬼塚秀樹の動きを注意深く見ていた。常に俊敏かつ的確なプレーをしていた。
「おいオニギリ! お前のパスは攻めすぎなんだよ。疲れるから勘弁してくれよ」
 ハーフタイムの際、山城は息を切らしながら鬼塚に文句を言っていた。
「ケーマは手を抜きすぎなんだよ。野球部に入ったんなら体力つけろって!」
 そのとき鬼塚は座っている夜空を見て笑い、立ち上がれというように手で促した。
「おい星野よう、お前バスケのときいつもサボってるな。お前も真面目にやれよ」
 言われた夜空は仕方なく立ち上がり、自分より少し背の低い鬼塚をじっと見た。
「お前と違ってバスケ苦手なんだよ。野球の授業なら真面目にやるよ」
「……おお、そういやお前がケーマを野球部に入れたんだよな。お前上手いの?」
 鬼塚はオニギリと呼ばれる丸っこい顔には似合わぬ目つきでじろりと夜空をにらんだ。
 挑発されたと感じた夜空はにらみ返し、思わず右こぶしを握った。
「やめとけ星野! オニギリはケンカめちゃくちゃ強いぞ! お前じゃ勝てねえよ!」
 ふたりの間にさっと入った山城が夜空の背中を叩き、険悪な雰囲気は収まった。
「鬼塚! お前は運動神経いいみたいだけど野球はできるか? 見せてくれ!」
「……まあ、お前よりはできるだろ。見せてやるよ」
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