夕日と白球

北条丈太郎

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新たなる野球部

対決! 高校球児

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 その日、小船中学のグラウンドにやってきたのは高校生たちであった。身に着けたユニフォームは野球部のものであり、手に下げたバッグも野球部のものであった。
 タンピンから聞いていた夜空は彼らを出迎えたが、まずは体の大きさに驚いた。
「おい君。キャプテンの丹下はいるかい? 呼んどいて出迎えもなしってのはよくねえな。練習試合をやってくれっつうから来たんだぜ」
 高校生たちが夜空を見下ろしながら言ったとき、タンピンが現れてぺこぺこと頭を下げた。
「すみませんOBの皆さん。今日は一つお願いします!」
「まあいいけどよ。それより丹下。例の約束は守ってくれよ。破ったらコレだぞてめえ!」
 高校生の一人が拳を振り上げると、タンピンは何度も頭を下げた。そして夜空にも頭を下げさせた。そしてタンピンは夜空を連れて部室へ行った。
「……約束って何ですかキャプテン。気になるんで教えてくださいよ」
 夜空がタンピンに聞くと、タンピンは気まずそうに答えた。
「いやなあ、あのごつい奴がさあ、お前の姉ちゃんに惚れてるんだと。それでな、練習試合をやる代わりに想子さんとデートさせてくれって言うからな。まあ頼むわ夜空」
 ……そして練習試合が始まった。
 高校生たちは本気を出している感じではなかった。ただ、塁に出たランナーは隙を見て走りまくった。盗塁、エンドラン。小船ナインは高校生の走力に対応できず、いいように点を取られた。
 ただ、太陽が本気で投げた直球の威力には高校生たちも目を見張っていた。
 試合後、タンピンは部員たちを集めてミーティングを開いた。
「そういうわけで機動力に対応する特訓をやる。試合まで時間がねえから厳しくいくぞ!」
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