蒼き風の突騎兵

序章

バスター変形！ 声の主は見知らぬ少年

「野郎ども！　散開しろ！　RBが来やがる！」
　リーダーの男が叫ぶと男の仲間たちは一斉にRBに乗り、エンジンを始動して走り出した。そして思い思いに左右に散り、ヘッドライトで辺りを照らした。
「頭！　敵は一機ですぜ！　たった一機でこっちに突っ込んで来ます！」
「そうか！　そいつも確保しろ！　おい小僧、お前の仲間か？」
　聞かれたハルマンがジャックの顔を思い出したとき、草原に怒声が響いた。
「おうおうおう！　盗賊ども！　死にたくなかったら武器を捨てやがれ！」
　RBで急接近した声の主はヘルメットのバイザーを上げて表情をさらした。
「この俺に見つかったのがてめえらの運の尽きだ。降参するか？　それともいっちょやるか？　俺としてはてめえらを死なない程度に可愛がりたいところだぜ！」
　その叫び声は少年の声だった。ハルマンが少年の顔を見ると、少年はにいっと笑った。
「よっしゃ！　返事が遅いから半殺し決定！　バスター変形！」
　男たちが呆気に取られている間に少年はRBのスロットルを前に押し込んだ。すると少年の体はRBの機体に覆われ、装甲を伴った歩兵の姿になった。
「オラ！　ボディだ！　オラ！　アッパーだ！　オラ！　フックだ！」
　少年は叫びながら白く光る拳をふるい、男たちを次々と殴り倒した。
「やべえぞ！　こいつ突騎兵だ！　ずらかれ野郎ども！」
　あわてたリーダーの男が仲間たちに叫んだが、仲間の大半は少年の拳で倒されていた。
「逃がすかいボケ！　っといかん！　っとっとっと！」
　少年はリーダーを追いかけようとしたが、倒した男たちに足をとられてよろけた。