蒼き風の突騎兵

北条丈太郎

文字の大きさ
上 下
9 / 64
序章

赤い短髪のターク

しおりを挟む
「……俺としたことがドジったぜ。ところでお前は誰だ? 盗賊の仲間か? いや待てよ? 逃げないってことは盗賊じゃねえな。おい、顔見せろよ」
 言いながら少年はヘルメットを脱いだ。現れたのはいかにもやんちゃ小僧という顔だった。黒い瞳はきょろきょろと落ち着きがなく、短く刈り込まれた短髪は燃えるように赤かった。その顔を見たハルマンは息を吐いてヘルメットを脱いだ。
「お? 子供じゃねえか。っつうか女か? ユキノに似てやがる」
 少年はハルマンに顔を近づけ、値踏みするようにハルマンの顔を見た。
「名前は? 男か? 女か? そのマシンはお前のか? 割とイカスじゃねえか」
「……ハルマン・ソルツだ」
 ハルマンはそれだけを言い、ハルマンのVTを見つめている少年を見た。
「そうか。俺はタークだ。ターク・ムラグモだ。タークでいいぞハルマン」
 タークと名乗った少年がハルマンに握手を求めたのでハルマンは応じた。
「おうりゃ! 勝負だハルマン! 俺が勝ったらお前は俺の手下だ!」
 タークは握手に応じたハルマンの手をひねり、ハルマンを投げ飛ばした。
「モースで勝負だ。立てよハルマン。俺は強いぞ。お前も男なら俺と戦え!」
 一方的に投げられたハルマンは怒り、立ち上がってタークに頭突きを入れた。
「やってやるよターク! 売られたケンカは買う主義だ! 来いよ!」
「痛えじゃねえかこの野郎! 面白えぞハルマン! 俺のモースを見せてやらあ!」
 タークは自分を覆っていた装甲を外し、ライダースーツのみの姿になってハルマンに飛びかかった。ハルマンも応戦したが、腕っぷしはタークが一枚上だった。
しおりを挟む

処理中です...