バディ·セプターズ!

よなが月

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1st Lap 期待と不安の一年生

超絶速いヒーロー

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―五年前の結城市

『ギジャァァァァア!』

五年前、ロールアウトしたばかりのセプト·SB-00Hヘクトールに悪性のウィルスが入り込んだ事でAIが暴走し、結果的に組織を離反した事件が起きた。

その際、街もついでの感覚で全面的に焼き払われ、多数の死者が出た。

「いいか、雷人……お前がお母さんと楓真ふうまを守れ」

「お父さんはどうするの?お父さんも一緒に逃げようよ」

「お前も知ってるだろ、お父さんが警察官だって事。だからね、こういう時はお父さんが率先して誰かを守らなくちゃいけないんだよ」

「でもお父さんが死んじゃったら悲しむ人はいっぱいいるよ、だから行こうよ!」 

「……雷人、お前にこれをあげよう。これはお父さんのあるお友達がくれた物だ。必ずお前を守ってくれるし、お前が次に何をやればいいのか教えてくれるはずだ。それじゃあ、行ってくるよ!」

雷人の父は一言そう残すと雷人に青い宝石のような玉を渡して火の海の中へ入っていった。

―そして、現代 サイバースペース

『ハッ、ヤッ……セヤァアッ!』

サイバースペースと呼ばれる仮想空間では青色のロボットと赤色のマントを付けたロボットが無数のウィルス体と戦っていた。

『アーキレス、だいぶ腕を上げたみたいじゃないか』

『へへっ、オレだってやる時はやりますよ、アレス先輩!』

『しかし妙だな……アンヴェイダーの襲撃を聞きつけリンポスエリアから飛んできてみたが、何だこの敵達は』

『確かに……ザコ敵にしては超絶弱過ぎますね。まさかとは思いますが、取り巻き……なんて可能性は?』

『有り得なくもない話だな……!?アーキレス、下がれ!』

『え……うわぁああっ!』

二人目掛けて何処からか極太のビーム砲が飛んできた。アーキレスは何とか交わしたが、周りの建物の溶解っぷりからその威力を知ると、彼は少し足が竦んでしまった。

『俺に弟子入りしたならこれ位で動じてんじゃねぇ!』

『す、すいません先輩……』

『よし、俺は今の砲撃が何処からのものか調べる……お前はセプトとしてリアルワールドに出てきやがった化け物を追いかけろ!頼んだぞ!』

『はい、アレス先輩!』

アーキレスは青い光の玉になってサイバースペースから姿を消した。

―レーシングスタジアム

『グギャァァア!』

スタジアムでは大方避難が終わったが、なんと雷人の駆るマキシムと化け物が交戦していた。

『俺の……皆の大切な場所を荒らすんじゃねぇ!離れろぉー!』

雷人のマキシムは踵のホイールを回転させてスタジアムを縦横無尽に駆け回りながら蹴り技を何回も繰り出していた。

しかし軍事用のセプトでは無かったことがディスアドバンテージとなってしまい、中々相手を怯ませられるほどのダメージは入らなかった。

『ギシャァァアッ!』

化け物は咆哮しながら鱗のように小さな物を飛ばしてきた。なんとそれらは全て当たった場所で炸裂した。

『ぐっ……鮫みたいな見た目してこんな芸当までやってみせるなんて……!?』

満身創痍の彼を更に追い込むように化け物は口に溜め込んだ高熱のレーザーを発射した。

しかし、その一撃はによって防がれた。

『え……何が起きたんだ……この一瞬で』

呆然と立ち尽くす雷人の目の前に姿を現したのは誰がどう見てもセプトに見える謎のロボットだった。

どことなくシュッとしたスタイルで、如何にも素早く動きそうな外見をしたそのセプトは雷人のマキシムに手を差し伸べ、そして引っ張り上げた。

『助けてくれたのか……?』

セプトらしきロボは何も返事をする事はなく、そのまま化け物の方を向くなり戦闘態勢を取った。

『何が何だか分かんないけど……とにかくそういう事でいいんだな!』

またしてもセプトらしきロボは返事することなく化け物への攻撃を再開した。

その戦闘スタイルは極端なインファイトという感じで次々と大胆に技を繰り出し続けていた。

そして雷人のマキシムもそれに合わせるようにキックやパンチを出した。

『グガァァァァァアッ……』

マキシムのモニターに高熱源反応の注意表示がされ、それに併せて警告音がコクピット内に響いた。

『……!?』

敵の危険な攻撃が来ることを感じたのか、セプトらしきロボは咄嗟にマキシムの前に立ち、Aの形をしたバリアを張った。

その次の瞬間に相手から極太のビーム砲が発射され、バリアに勢いよくぶつかってバチバチと火花が上がった。

『……!』

『そんな事してたらエネルギーが無くなっちゃうぞ!』

『心配無い……この位……なっ!』

バリアの形状の関係からかビーム砲が勝ってしまい、セプトらしきロボと雷人のマキシムはそのままレーザーの餌食となった。

―謎の空間

『……い、おい!おいっ!』

「うわぁっ……って、誰?」

雷人の目の前には先程まで共に戦っていたはずのセプトらしきロボがいた。しかもかなり砕けた喋り方で雷人の事を心配していた。

『良かった……お前が死んだってなったらオレ超絶落ち込むところだったぜ……いや、そんな事はどうでもいっか。とにかく今はあの化け物を倒す……そのためにはお前の力が必要なんだ!』

「えっ、ちょっと待って……俺の力がいるってどういうこと!?っていうか君何者?」

『そういう細かい事は後回しだ!いいか……何が何でもあの化け物を倒すぞ!』

「……分かった。今は君の事を信じるよ!それで街の皆が守れるんなら、俺は迷わずやる!」

雷人は謎のロボからの問いかけに間髪入れずに答え、彼と拳を重ねた。

『超絶話の分かる奴で助かったぜ……さぁ、反撃開始だっ!』

青白い光に包まれ、一人と一機の意識は再び現実へと戻った。

―その後

レーザーの直撃で起きた黒煙を引き裂くような閃光の後に姿を現したのはマキシムのように足にローラーの付いた未知のセプトだった。

『待たせたな、化け物……第二レースを始めようぜ!』

そのセプトはなんとマキシムよりも遥かに素早く、そして何よりも手足のように自在に動かせるほどに馴染んだ。

『お前のバトルスタイルがそのまま俺のムーブになる……期待してるぜ、相棒!』

『あぁ!レーサーでブレイクダンサーな俺の奇想天外な力……お前にぶつけてやるぜぇ!うおおおおおおっ!』

そのセプトは目を光らせながら先程よりも更に早く加速した。
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