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1章 結成と追放
1-2 邪神討伐隊
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この国では様々なことが”占い”で決められる。ノーシュたち6人が邪神討伐隊に選ばれたのも、占いの結果だ。選出に当たって重視されたのは、身体能力に優れ武芸に秀でていること、責任感が強いこと、そして若いことである。
邪神は王都から西南西の、遠い辺境の地にいる。そこへ至るのに適切なルートも占われており、3つのルートが地図に示されていた。
フィリーは聖職者から受け取った地図を広げ、皆に見せる。
「……丸で囲ってあるのは遺跡ね。遺跡に寄れってことかしら」
丸で囲われている場所は18か所ある。よく見ると、3つのルートそれぞれで6個の遺跡を通るようになっていた。
フィリーの呟きに、地図を渡した聖職者が答える。
「各遺跡の最奥に置かれた石板に触れると、邪神を倒すのに有用な力が手に入る。神々の計らいだ。……神の加護とでも呼ぶべきか」
これが下界に干渉できる精一杯だったらしい。直接力を与えるのは過干渉だが、遺跡の最奥に到達するという「試練」を経て、且つどんな力か予め分からないなら大丈夫、ということだ。
「あー、報酬の」
ジャンが納得したように声を上げた。
使者を通じて事前に説明されていたのだ。邪神を倒すことで国から出るのは報奨金のみだが、道中で得られる神の加護も報酬として持ったままで良い、と。
因みに、「望むなら騎士団へ試験無しで入団できる」という報酬もあるのだが、6人とも事前説明の段階で断っていた。
聖職者は説明を続ける。
「若さが重視されるのはそこが理由だ。神の加護の恩恵は、若ければ若いほど受けやすい。20歳未満なら差異は無いが」そこで言葉を区切り、真剣な表情になる。「遺跡には、邪神が分霊を送っているらしい。神々の目論見に気付いたのだろう。邪神に近付くほど強い分霊が待っているに違いない。充分気を付けるように」
邪神の力は近ければ強く、遠ければ弱く働く。分霊の強さもそれに比例すると考えられた。
「どのルートで行こうか」
隊長が、地図を見つめながら尋ねた。
「これ」「これで良くね?」
ノーシュとジャンが同時に一つのルートを指さす。最も距離が短い、南回りのルートだ。
他の皆も異論が無かったので、あっさりとそのルートに決まった。
奥から聖職者が何人も出てきて、邪神討伐隊の6人にバッグパックを渡していく。そこには旅費や水、保存食などが入っていた。
バッグパックを受け取り終えた6人は、ぞろぞろと教会を出て行った。
3日近くかけて着いた最初の遺跡を、邪神討伐隊は協力して進んでいく。
フィリーは遺跡に潜り慣れており、罠の場所を察することが出来た。
「そこ、危ないわ」
斜め前を指さして言うフィリーに、ノーシュが応じる。
「分かってる」
ノーシュもまた、遺跡には何度か入ったことがあった。フィリーほどではないが、罠の位置が分かる。
もっとも、罠にかかったところで対処できてしまう6人だ。罠の察知は、遺跡を進むのが速くなるくらいのメリットしか無い。
駆け抜けざま剣を振るうと、壁に描かれた魔法陣に傷がついた。これで、この罠の無効化は完了だ。
ノーシュの手際の良さに、フィリーが
「やるじゃない」
と感心したように言う。それから目を瞬かせ、首を傾げた。
「ノーシュ、その剣に何か……」
「ん?」
「いえ、何でもないわ。きっと気のせいね」
2人が罠の対処をしている傍ら、他4人は害獣を倒していた。
古い遺跡ほど、多くの害獣が湧いている。害獣は、視界を悪くする霧や有害物質を所構わずまき散らしたり、人に気付けば襲いかかったりする、厄介な存在だ。虫も動物もまとめて「害獣」と呼ばれる。
害獣は見つけ次第狩るのが遺跡を進むうえでの定石である。
「そりゃあ!」
声と共に、アレアは振りかぶった斧を害獣に叩きつけた。
毛虫を巨大にしたような姿のその害獣は、珍妙な声を上げながら暴れ狂う。動きと共に、体の毛が揺れ束なり伸びて、目の前の人間を狙った。
そこに鞭が絡みつき、アレアに迫った毛の束を、害獣の体ごと縛り付ける。
「随分長い鞭だな」
隊長が呟きながら、大剣を奔らせ害獣の側面を裂いた。反対側ではジャンが槍を突き立てている。
害獣はしばらく痙攣していたが、6人が先に進んで角を曲がる頃には絶命していた。
「さっきのは大きかったなあ」
ジャンが呟きながら槍を突き上げた。天井にとまっていた害獣が貫かれ、ぽとりと落ちる。
「そうね。ちらっとしか見てないけど、あんな大きいのは珍しいわよ」
フィリーは言って、双剣を抜きざま後ろへ突き出す。背後に接近していた害獣が胸を斬り裂かれて斃れた。
「そりゃ良かった。あーしの一撃を食らっても動けるやつばかりだと、厄介極まりないからねえ」
アレアが笑いながら、壁に潜って機を伺っていた害獣を斧で殴りつけた。壁が大きくへこみ、害獣はぺしゃんこになっている。
「さすがに皆強いな」
隊長は言ってから、大剣を振るった。飛んでいた害獣4匹がまとめて両断される。
その横から鞭が伸び、遠くの害獣の首を絞め殺した。レイスは怯えた表情のまま鞭を引き戻す。
害獣を恐れているのではない。5人もの人が近くにいることに、未だに慣れていないのだ。
そんなレイスを心配しつつ、ノーシュは少し先行して罠を無効化していった。時折、後方からフィリーが指示を飛ばしてくれる。そのほとんどが気付けていなかった分かりにくい罠だったので、ありがたかった。
こうして最奥に着いた6人を、邪神の分霊が待ち受けていた。
邪神は王都から西南西の、遠い辺境の地にいる。そこへ至るのに適切なルートも占われており、3つのルートが地図に示されていた。
フィリーは聖職者から受け取った地図を広げ、皆に見せる。
「……丸で囲ってあるのは遺跡ね。遺跡に寄れってことかしら」
丸で囲われている場所は18か所ある。よく見ると、3つのルートそれぞれで6個の遺跡を通るようになっていた。
フィリーの呟きに、地図を渡した聖職者が答える。
「各遺跡の最奥に置かれた石板に触れると、邪神を倒すのに有用な力が手に入る。神々の計らいだ。……神の加護とでも呼ぶべきか」
これが下界に干渉できる精一杯だったらしい。直接力を与えるのは過干渉だが、遺跡の最奥に到達するという「試練」を経て、且つどんな力か予め分からないなら大丈夫、ということだ。
「あー、報酬の」
ジャンが納得したように声を上げた。
使者を通じて事前に説明されていたのだ。邪神を倒すことで国から出るのは報奨金のみだが、道中で得られる神の加護も報酬として持ったままで良い、と。
因みに、「望むなら騎士団へ試験無しで入団できる」という報酬もあるのだが、6人とも事前説明の段階で断っていた。
聖職者は説明を続ける。
「若さが重視されるのはそこが理由だ。神の加護の恩恵は、若ければ若いほど受けやすい。20歳未満なら差異は無いが」そこで言葉を区切り、真剣な表情になる。「遺跡には、邪神が分霊を送っているらしい。神々の目論見に気付いたのだろう。邪神に近付くほど強い分霊が待っているに違いない。充分気を付けるように」
邪神の力は近ければ強く、遠ければ弱く働く。分霊の強さもそれに比例すると考えられた。
「どのルートで行こうか」
隊長が、地図を見つめながら尋ねた。
「これ」「これで良くね?」
ノーシュとジャンが同時に一つのルートを指さす。最も距離が短い、南回りのルートだ。
他の皆も異論が無かったので、あっさりとそのルートに決まった。
奥から聖職者が何人も出てきて、邪神討伐隊の6人にバッグパックを渡していく。そこには旅費や水、保存食などが入っていた。
バッグパックを受け取り終えた6人は、ぞろぞろと教会を出て行った。
3日近くかけて着いた最初の遺跡を、邪神討伐隊は協力して進んでいく。
フィリーは遺跡に潜り慣れており、罠の場所を察することが出来た。
「そこ、危ないわ」
斜め前を指さして言うフィリーに、ノーシュが応じる。
「分かってる」
ノーシュもまた、遺跡には何度か入ったことがあった。フィリーほどではないが、罠の位置が分かる。
もっとも、罠にかかったところで対処できてしまう6人だ。罠の察知は、遺跡を進むのが速くなるくらいのメリットしか無い。
駆け抜けざま剣を振るうと、壁に描かれた魔法陣に傷がついた。これで、この罠の無効化は完了だ。
ノーシュの手際の良さに、フィリーが
「やるじゃない」
と感心したように言う。それから目を瞬かせ、首を傾げた。
「ノーシュ、その剣に何か……」
「ん?」
「いえ、何でもないわ。きっと気のせいね」
2人が罠の対処をしている傍ら、他4人は害獣を倒していた。
古い遺跡ほど、多くの害獣が湧いている。害獣は、視界を悪くする霧や有害物質を所構わずまき散らしたり、人に気付けば襲いかかったりする、厄介な存在だ。虫も動物もまとめて「害獣」と呼ばれる。
害獣は見つけ次第狩るのが遺跡を進むうえでの定石である。
「そりゃあ!」
声と共に、アレアは振りかぶった斧を害獣に叩きつけた。
毛虫を巨大にしたような姿のその害獣は、珍妙な声を上げながら暴れ狂う。動きと共に、体の毛が揺れ束なり伸びて、目の前の人間を狙った。
そこに鞭が絡みつき、アレアに迫った毛の束を、害獣の体ごと縛り付ける。
「随分長い鞭だな」
隊長が呟きながら、大剣を奔らせ害獣の側面を裂いた。反対側ではジャンが槍を突き立てている。
害獣はしばらく痙攣していたが、6人が先に進んで角を曲がる頃には絶命していた。
「さっきのは大きかったなあ」
ジャンが呟きながら槍を突き上げた。天井にとまっていた害獣が貫かれ、ぽとりと落ちる。
「そうね。ちらっとしか見てないけど、あんな大きいのは珍しいわよ」
フィリーは言って、双剣を抜きざま後ろへ突き出す。背後に接近していた害獣が胸を斬り裂かれて斃れた。
「そりゃ良かった。あーしの一撃を食らっても動けるやつばかりだと、厄介極まりないからねえ」
アレアが笑いながら、壁に潜って機を伺っていた害獣を斧で殴りつけた。壁が大きくへこみ、害獣はぺしゃんこになっている。
「さすがに皆強いな」
隊長は言ってから、大剣を振るった。飛んでいた害獣4匹がまとめて両断される。
その横から鞭が伸び、遠くの害獣の首を絞め殺した。レイスは怯えた表情のまま鞭を引き戻す。
害獣を恐れているのではない。5人もの人が近くにいることに、未だに慣れていないのだ。
そんなレイスを心配しつつ、ノーシュは少し先行して罠を無効化していった。時折、後方からフィリーが指示を飛ばしてくれる。そのほとんどが気付けていなかった分かりにくい罠だったので、ありがたかった。
こうして最奥に着いた6人を、邪神の分霊が待ち受けていた。
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