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4章 子供たち
4-2 魔法について
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リィラは近頃、3人の我が子——長子である王女ミューレ、双子の王子リムネロエとヒュレアクラに色々なことを教えていた。主に王族として必要な知識を。
しかし、今日は少し違う。魔法について教えているのである。
轍夜も何となく一緒に聞いていた。相変わらずケットシーは轍夜の頭に乗っている。今はお昼寝中だ。
リムネロエとヒュレアクラは並んでリィラの正面に座っており、ミューレは轍夜の膝の上に座っている。
ミューレの髪はリィラそっくりの藤色だ。一方、リムネロエとヒュレアクラは黒髪である。瞳の色は、ミューレが黒で弟二人は琥珀色だ。
「魔法には、大きく分けて2種類あります。一般魔法と属性魔法です」
リィラが話を始める。
「一般魔法は、転移や異空間収納、その他補助系の魔法など幅広いものです。一方、属性魔法は主に攻撃です」
リムネロエとヒュレアクラは興味深そうに話を聞いているが、ミューレは退屈そうだ。
「属性は6つ存在します。炎、風、水、無、光、闇の6つです」
「ねー、そんなことより遊ぼうよ」
とうとうミューレは我慢できなくなり、声を上げた。
「お姉さま、ちゃんと聞かなきゃ駄目だよ」
リムネロエが言い、ヒュレアクラも「その通り」と言うような目でミューレを見る。
轍夜はミューレの頭をなでながら言う。
「オレもちゃんと聞いてるから、一緒に聞いてような」
ミューレは仕方なさそうに頷いた。
リィラは嘆息し、話を続ける。
「炎、風、水は大体分かるでしょうから省きますね。無属性は岩や鉱物などにまつわる魔法です。光属性は回復魔法、闇属性は呪いで、この2つは適性を持つ人がとても少なく……リムネロエ、どうしました?」
リムネロエが挙手したのだ。
「適性を持つって、どういうこと?」
「属性魔法を使うには、その属性に対する適性が必要なのです。わたくしは光と闇以外の4属性に適性を持っていますし、そういう人は多いです。あなたたちも同じですよ」
それに対し、ミューレが
「どうやって分かったの?」
と尋ねた。
「適性を調べる魔法があるのです。それを使いました」
「それは一般魔法ってことだよね?」
リムネロエが確認する。リィラは微笑んで頷いた。
轍夜はふと思い立ち、口を挟む。
「属性のやつってさ、相性とかあったりする? 水は炎に強い、とかそーゆーの」
「一応ありますが、一般的ではありませんね。確かに、炎属性の魔法を打ち消そうとするなら、水属性の魔法の方が効率が良いです」
その話にリムネロエは興味を示す。
「他の属性は? どうなるの?」
「風属性に対しては炎属性が良いですね。あとは、水属性に対しては風属性が良いはずです」
「へー、3すくみなんだ」
轍夜が呟いた。リィラは驚いたように轍夜を見る。
「随分とすんなり理解するのですね」
「ゲーム的なのなら割と分かる」
轍夜はへらへら笑って答えた。
「あなたが時々口にする、ゲームというものは、一体何なのですか?」
「何って言われてもなー……」
「……まあ良いです。属性に関しては、この話より相乗効果の方が重要なので、説明しますね」
リムネロエとヒュレアクラは真剣な表情でリィラの話を聞く。
「炎属性と風属性を同時に使うと、炎属性が強くなります。水属性と風属性を同時に使うと、風属性が強くなります。そして、水属性と無属性を同時に使うと両方強くなります」
この話は、轍夜には理解できなかった。リムネロエは首を傾げて質問する。
「同時って、全く同じじゃないと駄目? それとも、多少のずれは大丈夫?」
「2つの魔法が触れれば良いので、ずれても問題ありません」
納得した表情を見せるリムネロエとヒュレアクラ。そんな2人を見て、轍夜は呟く。
「頭良すぎねー?」
「お父さまが頭悪いだけよ」
ミューレは辛らつに言った。
「何おう、ミューレだって分かってねーくせにー」
轍夜はミューレの頭をくしゃくしゃとなでる。
「わ、わたしは良いの、子供なんだから」
「ぼくたちの方が年下なの忘れてない?」
リムネロエが呆れたように言う。
「何よ、1つしか違わないじゃない。可愛くない弟ね」
ミューレは口を尖らせた。
丁度その時、ケットシーが起きた。
「何かもめているにゃー?」
「ケットシー。リムネロエがわたしをいじめるの!」
「いじめてないよね⁉」
ミューレの言葉をリムネロエは否定した。
「ちゃんと説明しろにゃー」
これには轍夜が答える。
「リムネロエとヒュレアクラが頭良すぎるのか、オレがバカだからそう見えるのか、ってゆー話をしてたらミューレがわけ分かんねーこと言い出した」
「なるほどにゃー。ミューレでも、7歳にしては賢い方にゃー。リムネロエとヒュレアクラはとんでもなく賢いにゃー。きっとリィラに似たのにゃー」
ケットシーは面白そうにしっぽを揺らす。ミューレは不満そうに
「わたしはお父さまに似ちゃったのね」
と言った。
「いや、オレよりはマシだろ、多分」
「そうにゃー。テツヤよりはよっぽど賢いにゃー」
「そうそう、お父さまは掛け算すら出来ないのよ! わたしは頑張って出来るようになったのに!」
ミューレの言葉に轍夜は反論する。
「いや、掛け算くらい出来るって!」
「7×6は?」
「えっと、47!」
「ほら、出来てない!」
「ずりーぞ、わざわざ難しいやつ出してー」
轍夜はケラケラ笑いながら言った。
リィラは嘆息する。
「ミューレ、テツヤをバカにするのはやめなさい。リムネロエはそんなことしていないでしょう?」
「お母さまは、またそうやってリムネロエと比べる!」
反抗的な態度を取るミューレの頭を、轍夜は再びくしゃくしゃとなでた。
「しょうがねーなぁ。オレをバカにするのは許可してやるぜ。その代わり、リィラの言うことちゃんと聞けよ?」
「……分かったわ」
ミューレは急に素直になって、轍夜の足にまとわりついた。
しかし、今日は少し違う。魔法について教えているのである。
轍夜も何となく一緒に聞いていた。相変わらずケットシーは轍夜の頭に乗っている。今はお昼寝中だ。
リムネロエとヒュレアクラは並んでリィラの正面に座っており、ミューレは轍夜の膝の上に座っている。
ミューレの髪はリィラそっくりの藤色だ。一方、リムネロエとヒュレアクラは黒髪である。瞳の色は、ミューレが黒で弟二人は琥珀色だ。
「魔法には、大きく分けて2種類あります。一般魔法と属性魔法です」
リィラが話を始める。
「一般魔法は、転移や異空間収納、その他補助系の魔法など幅広いものです。一方、属性魔法は主に攻撃です」
リムネロエとヒュレアクラは興味深そうに話を聞いているが、ミューレは退屈そうだ。
「属性は6つ存在します。炎、風、水、無、光、闇の6つです」
「ねー、そんなことより遊ぼうよ」
とうとうミューレは我慢できなくなり、声を上げた。
「お姉さま、ちゃんと聞かなきゃ駄目だよ」
リムネロエが言い、ヒュレアクラも「その通り」と言うような目でミューレを見る。
轍夜はミューレの頭をなでながら言う。
「オレもちゃんと聞いてるから、一緒に聞いてような」
ミューレは仕方なさそうに頷いた。
リィラは嘆息し、話を続ける。
「炎、風、水は大体分かるでしょうから省きますね。無属性は岩や鉱物などにまつわる魔法です。光属性は回復魔法、闇属性は呪いで、この2つは適性を持つ人がとても少なく……リムネロエ、どうしました?」
リムネロエが挙手したのだ。
「適性を持つって、どういうこと?」
「属性魔法を使うには、その属性に対する適性が必要なのです。わたくしは光と闇以外の4属性に適性を持っていますし、そういう人は多いです。あなたたちも同じですよ」
それに対し、ミューレが
「どうやって分かったの?」
と尋ねた。
「適性を調べる魔法があるのです。それを使いました」
「それは一般魔法ってことだよね?」
リムネロエが確認する。リィラは微笑んで頷いた。
轍夜はふと思い立ち、口を挟む。
「属性のやつってさ、相性とかあったりする? 水は炎に強い、とかそーゆーの」
「一応ありますが、一般的ではありませんね。確かに、炎属性の魔法を打ち消そうとするなら、水属性の魔法の方が効率が良いです」
その話にリムネロエは興味を示す。
「他の属性は? どうなるの?」
「風属性に対しては炎属性が良いですね。あとは、水属性に対しては風属性が良いはずです」
「へー、3すくみなんだ」
轍夜が呟いた。リィラは驚いたように轍夜を見る。
「随分とすんなり理解するのですね」
「ゲーム的なのなら割と分かる」
轍夜はへらへら笑って答えた。
「あなたが時々口にする、ゲームというものは、一体何なのですか?」
「何って言われてもなー……」
「……まあ良いです。属性に関しては、この話より相乗効果の方が重要なので、説明しますね」
リムネロエとヒュレアクラは真剣な表情でリィラの話を聞く。
「炎属性と風属性を同時に使うと、炎属性が強くなります。水属性と風属性を同時に使うと、風属性が強くなります。そして、水属性と無属性を同時に使うと両方強くなります」
この話は、轍夜には理解できなかった。リムネロエは首を傾げて質問する。
「同時って、全く同じじゃないと駄目? それとも、多少のずれは大丈夫?」
「2つの魔法が触れれば良いので、ずれても問題ありません」
納得した表情を見せるリムネロエとヒュレアクラ。そんな2人を見て、轍夜は呟く。
「頭良すぎねー?」
「お父さまが頭悪いだけよ」
ミューレは辛らつに言った。
「何おう、ミューレだって分かってねーくせにー」
轍夜はミューレの頭をくしゃくしゃとなでる。
「わ、わたしは良いの、子供なんだから」
「ぼくたちの方が年下なの忘れてない?」
リムネロエが呆れたように言う。
「何よ、1つしか違わないじゃない。可愛くない弟ね」
ミューレは口を尖らせた。
丁度その時、ケットシーが起きた。
「何かもめているにゃー?」
「ケットシー。リムネロエがわたしをいじめるの!」
「いじめてないよね⁉」
ミューレの言葉をリムネロエは否定した。
「ちゃんと説明しろにゃー」
これには轍夜が答える。
「リムネロエとヒュレアクラが頭良すぎるのか、オレがバカだからそう見えるのか、ってゆー話をしてたらミューレがわけ分かんねーこと言い出した」
「なるほどにゃー。ミューレでも、7歳にしては賢い方にゃー。リムネロエとヒュレアクラはとんでもなく賢いにゃー。きっとリィラに似たのにゃー」
ケットシーは面白そうにしっぽを揺らす。ミューレは不満そうに
「わたしはお父さまに似ちゃったのね」
と言った。
「いや、オレよりはマシだろ、多分」
「そうにゃー。テツヤよりはよっぽど賢いにゃー」
「そうそう、お父さまは掛け算すら出来ないのよ! わたしは頑張って出来るようになったのに!」
ミューレの言葉に轍夜は反論する。
「いや、掛け算くらい出来るって!」
「7×6は?」
「えっと、47!」
「ほら、出来てない!」
「ずりーぞ、わざわざ難しいやつ出してー」
轍夜はケラケラ笑いながら言った。
リィラは嘆息する。
「ミューレ、テツヤをバカにするのはやめなさい。リムネロエはそんなことしていないでしょう?」
「お母さまは、またそうやってリムネロエと比べる!」
反抗的な態度を取るミューレの頭を、轍夜は再びくしゃくしゃとなでた。
「しょうがねーなぁ。オレをバカにするのは許可してやるぜ。その代わり、リィラの言うことちゃんと聞けよ?」
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ミューレは急に素直になって、轍夜の足にまとわりついた。
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