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1984年(昭和59年)11月25日(日曜日)
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暖かなベッドの中で微かに目覚めてうっすらと目を開けると窓の外に寒気に包まれた街を冷たく覆っていた闇が次第に青く染まり白み始めているのがみえた。
目覚めたばかりの温かい泥の様な意識の中でやがて昨夜に起こった出来事が思い出されて、はっきりと目が覚めた。
目覚まし時計を見るとまだ6時になってはいなかった。
ベッドに入ったまま、薄暗い部屋の中で隣の部屋との間を隔てている壁の方に意識を集中して耳を澄ませてみたけれども、壁の向こうからは何の気配も物音も無かった。
恐らく福沢加奈という名の昨夜出会ったばかりの未来少女はまだ眠っているのだろう。
思いも掛けず遭遇する事になった、余りに現実離れし過ぎた出来事からは一晩が経ち、もうすぐ夜が明けようとしているけれどもまだそれは紛れもない現実の出来事として今もまだ続いている。
いずれベッドから脱け出しドアを開いて部屋の外に出ていけば、やがて目を覚まして隣の部屋から出て来た彼女と顔を合わせる事になり、挨拶を交わす事になる。
その後の今日一日の始まりを、そしてその後の時間を彼女と一体どの様に過ごせばいいのだろう。
今の僕には、まず取り合えず彼女と2人で朝食を摂るという事位しか思い浮かばない。
その後の事は今の所、全くの白紙状態だ。
けれども現在の彼女が置かれている容易ではない状況を考えると、今日一日を何もせずに気楽にのんびりと過ごしたり、気晴らしに2人で何処かに遊びに出掛けるという訳にはいかないだろう。
仮に今日一日、彼女の今の状況に何の変化も進展も無く(今の所、変化や進展がある見込みは全く無い)彼女にとって残酷で悲惨な一日のまま終わる事になってしまったとしても(今の所そうなる可能性の方が遥かに高い)今晩も行く場所の無い彼女をウチに泊めて束の間の忘却の眠りに就かせてあげる事位は出来る。
しかし火曜日になれば母がこの家に帰って来る。
その時母に彼女は実は訳あってこの時代に来てしまった未来人で等と話せる訳がない。
そんな事をすれば母を意味もなく混乱させ、いずれは周囲で大騒動が起こる事になってしまう。
僕はベッドの中から薄暗い天井をぼんやりと眺めた。
今のままでは彼女の正体を何時までも隠し続ける事は僕の力では、どう考えても困難になって来る。
今後、彼女がこのまま1984年の世界に留まって行き続けるしか無いとなると一体どうなってしまうのだろう。
天井を睨みながら、この時代で一番最初に彼女とコンタクトする事になってしまった僕は一体どうすればいいのかを考えてみたけどさっぱり見当が付かなかった。
何はともあれ昨夜の出来事の続きのままに、今日これから新たな一日が始まろうとしていた。
目覚めたばかりの温かい泥の様な意識の中でやがて昨夜に起こった出来事が思い出されて、はっきりと目が覚めた。
目覚まし時計を見るとまだ6時になってはいなかった。
ベッドに入ったまま、薄暗い部屋の中で隣の部屋との間を隔てている壁の方に意識を集中して耳を澄ませてみたけれども、壁の向こうからは何の気配も物音も無かった。
恐らく福沢加奈という名の昨夜出会ったばかりの未来少女はまだ眠っているのだろう。
思いも掛けず遭遇する事になった、余りに現実離れし過ぎた出来事からは一晩が経ち、もうすぐ夜が明けようとしているけれどもまだそれは紛れもない現実の出来事として今もまだ続いている。
いずれベッドから脱け出しドアを開いて部屋の外に出ていけば、やがて目を覚まして隣の部屋から出て来た彼女と顔を合わせる事になり、挨拶を交わす事になる。
その後の今日一日の始まりを、そしてその後の時間を彼女と一体どの様に過ごせばいいのだろう。
今の僕には、まず取り合えず彼女と2人で朝食を摂るという事位しか思い浮かばない。
その後の事は今の所、全くの白紙状態だ。
けれども現在の彼女が置かれている容易ではない状況を考えると、今日一日を何もせずに気楽にのんびりと過ごしたり、気晴らしに2人で何処かに遊びに出掛けるという訳にはいかないだろう。
仮に今日一日、彼女の今の状況に何の変化も進展も無く(今の所、変化や進展がある見込みは全く無い)彼女にとって残酷で悲惨な一日のまま終わる事になってしまったとしても(今の所そうなる可能性の方が遥かに高い)今晩も行く場所の無い彼女をウチに泊めて束の間の忘却の眠りに就かせてあげる事位は出来る。
しかし火曜日になれば母がこの家に帰って来る。
その時母に彼女は実は訳あってこの時代に来てしまった未来人で等と話せる訳がない。
そんな事をすれば母を意味もなく混乱させ、いずれは周囲で大騒動が起こる事になってしまう。
僕はベッドの中から薄暗い天井をぼんやりと眺めた。
今のままでは彼女の正体を何時までも隠し続ける事は僕の力では、どう考えても困難になって来る。
今後、彼女がこのまま1984年の世界に留まって行き続けるしか無いとなると一体どうなってしまうのだろう。
天井を睨みながら、この時代で一番最初に彼女とコンタクトする事になってしまった僕は一体どうすればいいのかを考えてみたけどさっぱり見当が付かなかった。
何はともあれ昨夜の出来事の続きのままに、今日これから新たな一日が始まろうとしていた。
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