パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第8話 追放者ギルド、初依頼

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 追放者ギルド旗揚げの翌朝。広場に新しく掲げられた旗が朝日に照らされ、白布の紋章が風に揺れていた。鍋と剣と杖とフラスコ――いびつだが誇らしい印。

「なんだか本当に“ギルド”って感じがするな」
 リナが感慨深げに見上げる。
「盛り上がるなぁ! 乾杯したい気分だ!」
 グレンは水をジョッキに注ぎ、ぐびぐび飲んだ。
「これで依頼が舞い込めば、いよいよ本物ですね」
 セリウスは冷静に眼鏡を押し上げた。

 そこへ、村の農夫が駆け込んでくる。

「おおい! 追放者ギルドさん! 頼む、畑を荒らす害獣を退治してくれ!」

 広場がざわめいた。初依頼だ。



 話を聞けば、夜な夜な森から現れる大ネズミが作物を食い荒らしているという。罠では捕まらず、犬でも追い払えない。農夫たちは手を焼いていた。

「よし、我らの初依頼だな」俺は言った。「段取りはこうだ――」

 作戦を練る。
・昼間のうちにネズミの通り道を調べる(足跡・糞・食い荒らしの痕)。
・夕方、セリウスが調合した“匂い餌”を仕掛け、特定の畝へ誘導。
・フィオが火球で逃げ道を塞ぐ。
・グレンが前線で薙ぎ払い、リナは後方支援。
・俺が全体の指揮と罠の調整を担当。

「段取り完璧すぎて、ネズミが可哀想に思えてきます」セリウスがぼそり。
「盛り上がらなくていい。俺たちの仕事は“被害ゼロ”だ」



 日が暮れ、夜。月明かりに照らされた畑の中、俺たちは身を潜めた。仕掛けた餌が揺れ、地面を這う気配が近づく。

「来た……!」リナが小声で叫ぶ。

 闇の中から、体長一メートルを超える大ネズミの群れが現れた。赤い目を光らせ、畑へ突進してくる。

「フィオ!」
「え、えいっ!」

 少女の杖から火球が飛び、逃げ道を塞ぐように燃え上がる。ネズミが驚いて散開するが、そこにグレンが大剣を振り下ろす。

「うおおおっ!」

 鈍い衝撃と共に数匹が倒れ、残りは罠に足を取られて転げ回る。俺はすかさず合図を飛ばした。

「リナ、煙を!」
「はい!」

 リナが香草を燃やした煙を焚き、ネズミたちを混乱させる。その隙にセリウスが瓶を投げた。瓶が割れ、中から白い粉が舞い上がる。

「これは……?」
「筋肉を麻痺させる煙です。無害ですが、動きが鈍ります」

 ネズミたちは痙攣し、次々と動けなくなった。

「今だ、グレン!」
「任せろぉぉ!」

 大剣が振り下ろされ、最後のネズミが沈んだ。



 戦いはあっけなく終わった。被害ゼロ。畑は守られた。

「すごい……! 本当に守ってくれた!」農夫が涙を流して頭を下げる。
「さすが追放者ギルド!」村人たちが口々に叫んだ。

 仲間たちも笑顔だった。リナは「やっと役に立てた」と胸を張り、フィオは「暴発しなかった!」と跳ねて喜んでいた。セリウスは静かに満足げに頷き、グレンは「酒! いや、水で乾杯だ!」と叫んでいた。

 俺は旗を見上げた。
「これが俺たちの初依頼。追放者ギルドはここに正式に始まった」

 旗は夜風に揺れ、月明かりに輝いていた。
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