パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第10話 岩トカゲ討伐

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 夜の森。月明かりの下、岩のような鱗を持つ巨大トカゲが姿を現した。体長三メートル、赤い目がぎらりと光り、地を這う度に岩を砕く。

「ひっ……本当に出た……!」フィオが杖を握る手を震わせる。
「でかいな! だが斬りごたえがありそうだ!」グレンは大剣を構え、笑っている。
「鱗は硬い……だが、隙間は必ずあるはず」セリウスは瓶を取り出し、液体を混ぜ始めた。
「カイルさん、段取りお願いします!」リナが皆の視線を俺に向ける。

 俺は息を吸い込み、叫んだ。

「いいか、狙うのは顎の下! そこは鱗が薄い! フィオ、火で注意を引け! グレンは正面から受け止めろ! セリウスは薬を用意! リナは後方でサポート!」

「おうっ!」
「わ、わかった!」



 まずはフィオが杖を掲げ、呪文を唱える。

「ファイアボルト!」

 火の矢が放たれ、岩トカゲの鼻先に炸裂。爆風に森の枝葉が揺れる。狙いは少し逸れたが、それで十分だった。怒り狂ったトカゲが咆哮し、こちらへ突進してくる。

「ぐはは! 任せろぉ!」

 グレンが正面に立ちはだかり、大剣で受け止めた。金属と岩がぶつかる音が響き、地面に衝撃が走る。トカゲの巨体がグレンを押し潰そうとするが、奴は酒を断っていた分、力が冴えわたっていた。

「ぬおおおっ!」

 気合いで押し返し、大剣を振り下ろす。しかし、鱗は硬く、刃が弾かれた。

「硬ぇ!」

「セリウス!」俺が叫ぶ。

「今です!」

 セリウスが投げた瓶が岩トカゲの頭上で割れ、緑の液体が降り注ぐ。鱗がじゅうじゅうと音を立て、表面がわずかに柔らかくなった。

「弱点を作った! 狙え!」

 俺の合図に、グレンが再び大剣を振るう。今度は刃が鱗に食い込み、血飛沫が上がった。

「やった!」リナが叫ぶ。

 だが岩トカゲは怒り狂い、尾を振り回す。巨木がなぎ倒され、俺たちも吹き飛ばされそうになる。

「フィオ!」

「ま、また!? で、でも……やってみる!」

 フィオは必死に杖を掲げた。

「……ファイアボール!」

 ドン、と火球が炸裂。狙いは少し外れたが、爆風でトカゲの視界が塞がれる。その隙に俺はロープを取り出し、グレンと息を合わせてトカゲの首に絡めた。

「引けぇ!」

「うおおおお!」

 二人で力を込め、トカゲの頭を無理やり持ち上げる。露わになった顎の下――そこが弱点だ。

「今だ、フィオ!」

「い、いけぇぇぇ!」

 炎の矢が放たれ、見事に顎の下へ突き刺さった。轟音と共に火花が散り、岩トカゲが悲鳴を上げて崩れ落ちた。



 静寂が訪れる。俺たちは息を切らし、互いの顔を見合わせた。

「……倒した?」
「倒した!」

 歓声が上がった。グレンは大剣を突き立てて笑い、リナは涙目で拍手し、セリウスは瓶を大事そうに抱え、フィオは杖をぎゅっと握って震えていた。

「やったんだ……私の魔法が、ちゃんと当たった……!」

 フィオの目から涙がこぼれる。俺は彼女の頭を軽く叩いた。

「成功だ。暴発でも失敗でもない。お前の力で仕留めたんだ」



 翌日。酒場に戻ると、昨日俺たちを笑った冒険者たちが目を丸くした。

「ま、まさか……岩トカゲを!?」
「追放者ギルドが……?」

 俺は岩トカゲの角を酒場の床に叩きつけた。

「証拠だ。俺たちは追放者だが、無能じゃない」

 冒険者たちは口を噤み、酒場は静まり返った。やがて、村人たちが拍手を始めた。

「追放者ギルド万歳!」
「よくやってくれた!」

 仲間たちは顔を赤らめ、照れながら笑っていた。

 ――こうして追放者ギルドの名は、谷を越え、周囲の村々に広がっていった。
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