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第10話 岩トカゲ討伐
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夜の森。月明かりの下、岩のような鱗を持つ巨大トカゲが姿を現した。体長三メートル、赤い目がぎらりと光り、地を這う度に岩を砕く。
「ひっ……本当に出た……!」フィオが杖を握る手を震わせる。
「でかいな! だが斬りごたえがありそうだ!」グレンは大剣を構え、笑っている。
「鱗は硬い……だが、隙間は必ずあるはず」セリウスは瓶を取り出し、液体を混ぜ始めた。
「カイルさん、段取りお願いします!」リナが皆の視線を俺に向ける。
俺は息を吸い込み、叫んだ。
「いいか、狙うのは顎の下! そこは鱗が薄い! フィオ、火で注意を引け! グレンは正面から受け止めろ! セリウスは薬を用意! リナは後方でサポート!」
「おうっ!」
「わ、わかった!」
◇
まずはフィオが杖を掲げ、呪文を唱える。
「ファイアボルト!」
火の矢が放たれ、岩トカゲの鼻先に炸裂。爆風に森の枝葉が揺れる。狙いは少し逸れたが、それで十分だった。怒り狂ったトカゲが咆哮し、こちらへ突進してくる。
「ぐはは! 任せろぉ!」
グレンが正面に立ちはだかり、大剣で受け止めた。金属と岩がぶつかる音が響き、地面に衝撃が走る。トカゲの巨体がグレンを押し潰そうとするが、奴は酒を断っていた分、力が冴えわたっていた。
「ぬおおおっ!」
気合いで押し返し、大剣を振り下ろす。しかし、鱗は硬く、刃が弾かれた。
「硬ぇ!」
「セリウス!」俺が叫ぶ。
「今です!」
セリウスが投げた瓶が岩トカゲの頭上で割れ、緑の液体が降り注ぐ。鱗がじゅうじゅうと音を立て、表面がわずかに柔らかくなった。
「弱点を作った! 狙え!」
俺の合図に、グレンが再び大剣を振るう。今度は刃が鱗に食い込み、血飛沫が上がった。
「やった!」リナが叫ぶ。
だが岩トカゲは怒り狂い、尾を振り回す。巨木がなぎ倒され、俺たちも吹き飛ばされそうになる。
「フィオ!」
「ま、また!? で、でも……やってみる!」
フィオは必死に杖を掲げた。
「……ファイアボール!」
ドン、と火球が炸裂。狙いは少し外れたが、爆風でトカゲの視界が塞がれる。その隙に俺はロープを取り出し、グレンと息を合わせてトカゲの首に絡めた。
「引けぇ!」
「うおおおお!」
二人で力を込め、トカゲの頭を無理やり持ち上げる。露わになった顎の下――そこが弱点だ。
「今だ、フィオ!」
「い、いけぇぇぇ!」
炎の矢が放たれ、見事に顎の下へ突き刺さった。轟音と共に火花が散り、岩トカゲが悲鳴を上げて崩れ落ちた。
◇
静寂が訪れる。俺たちは息を切らし、互いの顔を見合わせた。
「……倒した?」
「倒した!」
歓声が上がった。グレンは大剣を突き立てて笑い、リナは涙目で拍手し、セリウスは瓶を大事そうに抱え、フィオは杖をぎゅっと握って震えていた。
「やったんだ……私の魔法が、ちゃんと当たった……!」
フィオの目から涙がこぼれる。俺は彼女の頭を軽く叩いた。
「成功だ。暴発でも失敗でもない。お前の力で仕留めたんだ」
◇
翌日。酒場に戻ると、昨日俺たちを笑った冒険者たちが目を丸くした。
「ま、まさか……岩トカゲを!?」
「追放者ギルドが……?」
俺は岩トカゲの角を酒場の床に叩きつけた。
「証拠だ。俺たちは追放者だが、無能じゃない」
冒険者たちは口を噤み、酒場は静まり返った。やがて、村人たちが拍手を始めた。
「追放者ギルド万歳!」
「よくやってくれた!」
仲間たちは顔を赤らめ、照れながら笑っていた。
――こうして追放者ギルドの名は、谷を越え、周囲の村々に広がっていった。
「ひっ……本当に出た……!」フィオが杖を握る手を震わせる。
「でかいな! だが斬りごたえがありそうだ!」グレンは大剣を構え、笑っている。
「鱗は硬い……だが、隙間は必ずあるはず」セリウスは瓶を取り出し、液体を混ぜ始めた。
「カイルさん、段取りお願いします!」リナが皆の視線を俺に向ける。
俺は息を吸い込み、叫んだ。
「いいか、狙うのは顎の下! そこは鱗が薄い! フィオ、火で注意を引け! グレンは正面から受け止めろ! セリウスは薬を用意! リナは後方でサポート!」
「おうっ!」
「わ、わかった!」
◇
まずはフィオが杖を掲げ、呪文を唱える。
「ファイアボルト!」
火の矢が放たれ、岩トカゲの鼻先に炸裂。爆風に森の枝葉が揺れる。狙いは少し逸れたが、それで十分だった。怒り狂ったトカゲが咆哮し、こちらへ突進してくる。
「ぐはは! 任せろぉ!」
グレンが正面に立ちはだかり、大剣で受け止めた。金属と岩がぶつかる音が響き、地面に衝撃が走る。トカゲの巨体がグレンを押し潰そうとするが、奴は酒を断っていた分、力が冴えわたっていた。
「ぬおおおっ!」
気合いで押し返し、大剣を振り下ろす。しかし、鱗は硬く、刃が弾かれた。
「硬ぇ!」
「セリウス!」俺が叫ぶ。
「今です!」
セリウスが投げた瓶が岩トカゲの頭上で割れ、緑の液体が降り注ぐ。鱗がじゅうじゅうと音を立て、表面がわずかに柔らかくなった。
「弱点を作った! 狙え!」
俺の合図に、グレンが再び大剣を振るう。今度は刃が鱗に食い込み、血飛沫が上がった。
「やった!」リナが叫ぶ。
だが岩トカゲは怒り狂い、尾を振り回す。巨木がなぎ倒され、俺たちも吹き飛ばされそうになる。
「フィオ!」
「ま、また!? で、でも……やってみる!」
フィオは必死に杖を掲げた。
「……ファイアボール!」
ドン、と火球が炸裂。狙いは少し外れたが、爆風でトカゲの視界が塞がれる。その隙に俺はロープを取り出し、グレンと息を合わせてトカゲの首に絡めた。
「引けぇ!」
「うおおおお!」
二人で力を込め、トカゲの頭を無理やり持ち上げる。露わになった顎の下――そこが弱点だ。
「今だ、フィオ!」
「い、いけぇぇぇ!」
炎の矢が放たれ、見事に顎の下へ突き刺さった。轟音と共に火花が散り、岩トカゲが悲鳴を上げて崩れ落ちた。
◇
静寂が訪れる。俺たちは息を切らし、互いの顔を見合わせた。
「……倒した?」
「倒した!」
歓声が上がった。グレンは大剣を突き立てて笑い、リナは涙目で拍手し、セリウスは瓶を大事そうに抱え、フィオは杖をぎゅっと握って震えていた。
「やったんだ……私の魔法が、ちゃんと当たった……!」
フィオの目から涙がこぼれる。俺は彼女の頭を軽く叩いた。
「成功だ。暴発でも失敗でもない。お前の力で仕留めたんだ」
◇
翌日。酒場に戻ると、昨日俺たちを笑った冒険者たちが目を丸くした。
「ま、まさか……岩トカゲを!?」
「追放者ギルドが……?」
俺は岩トカゲの角を酒場の床に叩きつけた。
「証拠だ。俺たちは追放者だが、無能じゃない」
冒険者たちは口を噤み、酒場は静まり返った。やがて、村人たちが拍手を始めた。
「追放者ギルド万歳!」
「よくやってくれた!」
仲間たちは顔を赤らめ、照れながら笑っていた。
――こうして追放者ギルドの名は、谷を越え、周囲の村々に広がっていった。
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