パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第27話 迫る嵐の兆し

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 谷に集う追放者はついに五十名を超えた。朝になれば畑から土煙が上がり、昼には鍛冶場から金槌の音が響き、夜は焚き火と歌声が絶えない。
 ――追放者ギルドは、もはや一つの村ではなく、小さな共同体、いや「国」と呼ぶべき規模になりつつあった。



 しかし平穏は長くは続かない。

「カイルさん! 行商人からの知らせです!」エレナが駆け込んできた。
「王都近郊の街に、兵士が大勢集結しているそうです!」

 広場にざわめきが走る。

「数は?」
「千を超えるとか……」

 リナが青ざめた。
「千!? そんなの相手にできない!」

 セリウスは冷静に眼鏡を押し上げる。
「経済封鎖で潰せなかった我々を、力で排除するつもりでしょう。合理的な判断です」

 フィオが杖を抱きしめ、震えながら呟く。
「また……燃やさなきゃいけないのかな」

 グレンは逆に笑った。
「面白ぇ! 戦だ戦! 酒の代わりに血が沸いてきた!」

 俺は全員を見回し、深く息を吸った。
「……戦になるのは避けられない。だが、正面からぶつかれば全滅だ。段取りを立てるぞ」



 夜、ギルドハウスに仲間と長老たちを集め、会議を開いた。

「まずは防御を徹底する。柵と見張り台だけでは足りない。谷に落石用の仕掛けを作り、罠を張り巡らせる」

 ガンツが頷く。
「任せろ。岩を削り出し、いつでも落とせるようにしてやる!」

「次に、情報を集める。ロディ、君の歌で近隣の村に知らせを広めてくれ。味方になれなくても、王都の暴虐を知ってもらうことが重要だ」

「承知した。歌は武器になる」ロディが竪琴を弾き、静かに答えた。

「ミーナ、セリウス。薬と保存食の備蓄を倍に増やせ。戦が長引けば物資が鍵になる」

「……徹夜で調合します」
「私も薬草を総動員します!」

「リナ、エレナ。避難所を準備しろ。子どもや老人を守る場所が必要だ」

「はい!」二人は同時に頷いた。



 会議が終わると、俺は外に出て夜空を仰いだ。旗が闇の中で揺れている。

「……王都は本気だ。次は“物語の邪魔”どころではない。俺たちを消し去るために来る」

 リナが隣に立ち、そっと呟いた。
「怖いです……でも、カイルさんがいるなら……」

 俺は剣の柄を握り、静かに言った。
「段取りを間違えなければ、必ず守れる。……俺たちの国を」



 その頃、王都の作戦室。

「兵はすでに整っております。辺境に巣食う追放者どもなど、一掃は容易」
「ふん。ならば早急に動け。物語の主役は王都の勇者たちで十分だ。追放者に舞台は与えぬ」

 玉座の間に重苦しい笑いが響いた。



 谷に再び嵐が迫ろうとしていた。
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