パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第30話 死闘、仲間たちの力

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 谷を揺るがす戦いはすでに半日続いていた。落石と火矢で先陣を崩したものの、王都軍は次から次へと押し寄せ、谷の入り口は血と煙に覆われていた。

「くっ……まだ来るか!」俺は剣を振るい、迫る兵を弾き返す。
「ははっ、こんなに戦えるなんて最高だぜ!」グレンは大剣を振り回し、敵兵をまとめて吹き飛ばす。

 だが数の差は圧倒的。柵は何度も破られ、村人たちは疲労で膝をつき始めていた。



「セリウス!」
「分かっています!」

 セリウスが瓶を投げると、地面から紫の煙が噴き出した。吸い込んだ兵士たちが咳き込み、体を痺れさせて倒れていく。

「致死性はない。だが数分は動けないはずです!」

 その隙を逃さず、グレンが突っ込み、敵を一気に切り伏せた。



 別の場所では、リナが必死に大鍋をかき混ぜていた。

「立って! これを飲んで! まだ戦える!」

 疲弊した村人がスープを口にし、再び立ち上がって槍を握る。その後ろでエレナとミーナが傷の手当てを続けていた。

「次! 包帯はこっち!」
「薬草茶を飲んでください!」

 彼女たちの手で何人もの命が繋ぎ止められ、前線に戻っていった。



 だが敵の魔導士たちが一斉に詠唱を始める。雷撃、氷の矢、炎の弾丸が降り注ぎ、柵が一部吹き飛んだ。

「今度はこっちか……!」俺が剣を構えたその時。

「わ、私がやる!」

 フィオが前に飛び出した。

「――フレイムストーム!」

 杖から放たれた炎の嵐が敵陣を飲み込み、魔導士たちを次々と焼き払った。暴発の危険を恐れず、彼女は自分の限界を超えていた。

「大丈夫……もう暴発なんかじゃない……!」

 その姿に仲間も村人も息を呑んだ。



 ロディとマリアは後方で声を張り上げていた。

「恐れるな! 俺たちは一つだ!」
「へ、下手でも一緒に歌うから!」

 二人の歌声が響き、怯えていた子どもや村人が勇気を取り戻していく。



 そして谷の中央では、ガンツが鍛冶場から飛び出してきた。

「こいつを見やがれ!」

 彼が抱えていたのは、鉄くずを集めて作った巨大な鉄槌。振り下ろすたびに地面が揺れ、敵兵を吹き飛ばす。

「俺は王都の派手な鍛冶師じゃねぇ! だが、壊れねぇ武器を作るのは得意なんだ!」

 その姿に村人たちが奮い立ち、歓声を上げた。



 戦場は混沌の極みだった。叫び、泣き声、歌、爆発音が入り混じる。
 それでも――仲間たちは一人も折れていなかった。

 俺は剣を掲げ、声を張り上げた。
「俺たちは追放者だ! だがここは俺たちの国! ――絶対に渡さない!」

 仲間と村人が応じるように雄叫びを上げ、再び前に出た。



 だがその時。敵の奥から、黒い鎧を纏った騎士が進み出てきた。周囲の兵が道を開け、その存在感だけで空気が張り詰める。

「……来たか」俺は息を呑んだ。

 ――王都の英雄、“黒鉄の騎士”ドラン。
 かつて俺が王都にいた頃、何度も名を聞いた最強の戦士が、いま谷へと歩みを進めてきていた。
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