34 / 70
第34話 追放者連合を求めて
しおりを挟む
黒鉄の騎士ドランを討った日の勝利は、谷に新たな希望をもたらした。
だが同時に、王都が必ず報復に動くことを誰もが悟っていた。
「次は数千、いや万単位で来る……」
セリウスの分析に、村人たちは息を呑んだ。
「カイルさん、どうするの?」リナが問う。
「俺たちだけじゃ防げない。……周りの追放者を集める。今こそ“連合”を作る時だ」
◇
翌日。俺たちは数人の仲間を連れて谷を出発した。目指すのは近隣の村や、森に潜む追放者たち。
最初に訪れたのは山間の小村。そこには、病気がちな者や、無能扱いされた老人が隠れ住んでいた。
「俺たちに戦えっていうのか?」老人が言った。
「違う。戦えなくてもいい。食料を分け合い、避難所を作ってくれれば、それが支援になる」
静かな沈黙のあと、老人は頷いた。
「……分かった。王都に居場所を奪われた身だ。お前たちと共にあろう」
◇
次に向かったのは森の奥。そこには盗賊崩れと噂される追放者の一団がいた。
粗末な鎧に汚れた剣を持ち、最初は敵意を剥き出しにしていた。
「俺たちを仲間に? 笑わせるな。どうせ利用して捨てるんだろう」
「違う」俺は剣を収め、正面から告げた。
「俺たちは追放された者同士だ。肩書も物語も関係ない。……ただ生きるために力を貸してくれ」
沈黙の後、リーダー格の男がふっと笑った。
「お前……嘘じゃねぇな。いいだろう、王都に殴られるなら一緒に殴られてやる」
◇
最後に訪れたのは荒野の廃教会。そこには元聖職者たちが集まっていた。
「“奇跡が足りない”と見捨てられた者たちです」ロディが説明する。
彼らは最初こそ戸惑っていたが、ミーナとエレナが膝をつき、真剣に頭を下げた。
「怪我人や病人を救える人が必要です。どうか力を貸してください」
年老いた神官はしばし考え、やがて微笑んだ。
「奇跡はここにあったのだな。……お前たちの旗の下に加わろう」
◇
数日後、谷に戻ると、そこには新たに数十名の追放者が集まっていた。老人、子ども、盗賊崩れ、元聖職者、元騎士――多種多様だ。
グレンが豪快に笑った。
「おいおい! どんだけ増えるんだよ! もう国どころか軍隊だぞ!」
リナは目を潤ませて呟いた。
「みんな……居場所を探してたんだね」
セリウスは帳簿をめくり、静かに頷いた。
「数は力。だが管理が必要だ。だが――これで抗える」
◇
その夜。焚き火の前に立ち、俺は皆に向かって声を張り上げた。
「俺たちは追放された。無能と笑われ、物語から弾かれた。だが今、こうして一つに集まった。――これはもう、ただのギルドじゃない」
旗が風に翻り、皆の視線が集まる。
「ここに、“追放者連合”を宣言する!」
歓声が爆発し、夜空を揺るがした。
◇
その頃、王都。
「……奴らは仲間を集めているようです」報告に将軍が頭を下げる。
「追放者連合だと? 愚か者どもが……」
王は玉座で怒りを露わにした。
「ならば余は“聖戦”と称して討つまでだ! 追放者どもに、王国の恐ろしさを思い知らせてやれ!」
◇
谷の夜空に翻る旗は、もはや一つの村の象徴ではなかった。
――それは、追放者すべての希望の象徴となりつつあった。
だが同時に、王都が必ず報復に動くことを誰もが悟っていた。
「次は数千、いや万単位で来る……」
セリウスの分析に、村人たちは息を呑んだ。
「カイルさん、どうするの?」リナが問う。
「俺たちだけじゃ防げない。……周りの追放者を集める。今こそ“連合”を作る時だ」
◇
翌日。俺たちは数人の仲間を連れて谷を出発した。目指すのは近隣の村や、森に潜む追放者たち。
最初に訪れたのは山間の小村。そこには、病気がちな者や、無能扱いされた老人が隠れ住んでいた。
「俺たちに戦えっていうのか?」老人が言った。
「違う。戦えなくてもいい。食料を分け合い、避難所を作ってくれれば、それが支援になる」
静かな沈黙のあと、老人は頷いた。
「……分かった。王都に居場所を奪われた身だ。お前たちと共にあろう」
◇
次に向かったのは森の奥。そこには盗賊崩れと噂される追放者の一団がいた。
粗末な鎧に汚れた剣を持ち、最初は敵意を剥き出しにしていた。
「俺たちを仲間に? 笑わせるな。どうせ利用して捨てるんだろう」
「違う」俺は剣を収め、正面から告げた。
「俺たちは追放された者同士だ。肩書も物語も関係ない。……ただ生きるために力を貸してくれ」
沈黙の後、リーダー格の男がふっと笑った。
「お前……嘘じゃねぇな。いいだろう、王都に殴られるなら一緒に殴られてやる」
◇
最後に訪れたのは荒野の廃教会。そこには元聖職者たちが集まっていた。
「“奇跡が足りない”と見捨てられた者たちです」ロディが説明する。
彼らは最初こそ戸惑っていたが、ミーナとエレナが膝をつき、真剣に頭を下げた。
「怪我人や病人を救える人が必要です。どうか力を貸してください」
年老いた神官はしばし考え、やがて微笑んだ。
「奇跡はここにあったのだな。……お前たちの旗の下に加わろう」
◇
数日後、谷に戻ると、そこには新たに数十名の追放者が集まっていた。老人、子ども、盗賊崩れ、元聖職者、元騎士――多種多様だ。
グレンが豪快に笑った。
「おいおい! どんだけ増えるんだよ! もう国どころか軍隊だぞ!」
リナは目を潤ませて呟いた。
「みんな……居場所を探してたんだね」
セリウスは帳簿をめくり、静かに頷いた。
「数は力。だが管理が必要だ。だが――これで抗える」
◇
その夜。焚き火の前に立ち、俺は皆に向かって声を張り上げた。
「俺たちは追放された。無能と笑われ、物語から弾かれた。だが今、こうして一つに集まった。――これはもう、ただのギルドじゃない」
旗が風に翻り、皆の視線が集まる。
「ここに、“追放者連合”を宣言する!」
歓声が爆発し、夜空を揺るがした。
◇
その頃、王都。
「……奴らは仲間を集めているようです」報告に将軍が頭を下げる。
「追放者連合だと? 愚か者どもが……」
王は玉座で怒りを露わにした。
「ならば余は“聖戦”と称して討つまでだ! 追放者どもに、王国の恐ろしさを思い知らせてやれ!」
◇
谷の夜空に翻る旗は、もはや一つの村の象徴ではなかった。
――それは、追放者すべての希望の象徴となりつつあった。
37
あなたにおすすめの小説
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。
しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。
全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。
超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!?
万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。
一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。
「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」
――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。
これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる