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第二十話 余波と誓い
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断罪の舞踏会から一夜明けても、王都の空気は冷めることを知らなかった。
――クラリッサ嬢は檻を拒み、第二王子殿下と共に歩むと宣言した。
――王太子殿下は怒りを露わにし、硝子の微笑が崩れた。
――公爵家は王家に弓を引いたも同然。
街の噂は炎のように燃え広がり、屋敷の門前にまで押し寄せていた。
「お嬢様……!」
メアリが新聞を抱えて駆け込んでくる。
「大見出しに……!」
広げられた紙には大きな文字が踊っていた。
――“悪役令嬢、第二王子に誓う”
胸の奥が震えた。わたしが選んだ言葉が、国中に響いている。
◇
父の執務室は重苦しい空気に包まれていた。机には使者からの文書が積み重なり、父の眉間には深い皺が刻まれている。
「クラリッサ……お前の選択は公爵家をも巻き込んでいる」
「……承知しております」
「王太子殿下の怒りは凄まじい。だが、第二王子殿下が公然と支えを示したことで、もはや一方的に切り捨てることもできぬ。王家内部は混乱している」
父の声は重い。だが、その眼差しの奥には誇りの色が見えた。
「……それでも、お前は後悔していないのだな」
「はい。檻には戻りません」
わたしの答えに、父は深く息を吐き、ゆっくりと頷いた。
◇
その日の夕刻、庭園に出るとレオンハルトが待っていた。冬の風が外套を揺らし、彼の瞳は真摯に輝いている。
「クラリッサ。……よく耐えましたね」
「殿下……」
「いいえ、もう“殿下”ではなく“レオン”と呼んでください」
彼はそう言ってわたしの手を取った。その手は温かく、力強い。
「あなたがあの場で檻を拒んだ瞬間、わたしは決めました。どれほど兄上が怒ろうとも、あなたを守り抜くと」
「レオン……でも、王家と敵対することになるかもしれません」
「構わない。檻に閉じ込める愛なら不要だ。あなたと共にあることが、わたしにとっての誇りだ」
胸が熱くなる。わたしは彼の瞳を見返し、静かに言った。
「わたしも誓います。もう決して檻には戻らない。……あなたと共に、自由を選ぶと」
冬の空に雪が舞い落ちる。白い花弁のような雪片が、二人の誓いを祝福するかのように輝いていた。
◇
夜、寝室の机に白いハンカチと写しの地図を広げる。あの日からずっと手元にある、小さな灯火。
「……もう逃げはしない」
囁いた声は、雪明かりに溶けていった。
――悪役令嬢クラリッサは、断罪の舞台を越えた。
――そして、幸せを掴むために、真の戦いを始めようとしていた。
――クラリッサ嬢は檻を拒み、第二王子殿下と共に歩むと宣言した。
――王太子殿下は怒りを露わにし、硝子の微笑が崩れた。
――公爵家は王家に弓を引いたも同然。
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「お嬢様……!」
メアリが新聞を抱えて駆け込んでくる。
「大見出しに……!」
広げられた紙には大きな文字が踊っていた。
――“悪役令嬢、第二王子に誓う”
胸の奥が震えた。わたしが選んだ言葉が、国中に響いている。
◇
父の執務室は重苦しい空気に包まれていた。机には使者からの文書が積み重なり、父の眉間には深い皺が刻まれている。
「クラリッサ……お前の選択は公爵家をも巻き込んでいる」
「……承知しております」
「王太子殿下の怒りは凄まじい。だが、第二王子殿下が公然と支えを示したことで、もはや一方的に切り捨てることもできぬ。王家内部は混乱している」
父の声は重い。だが、その眼差しの奥には誇りの色が見えた。
「……それでも、お前は後悔していないのだな」
「はい。檻には戻りません」
わたしの答えに、父は深く息を吐き、ゆっくりと頷いた。
◇
その日の夕刻、庭園に出るとレオンハルトが待っていた。冬の風が外套を揺らし、彼の瞳は真摯に輝いている。
「クラリッサ。……よく耐えましたね」
「殿下……」
「いいえ、もう“殿下”ではなく“レオン”と呼んでください」
彼はそう言ってわたしの手を取った。その手は温かく、力強い。
「あなたがあの場で檻を拒んだ瞬間、わたしは決めました。どれほど兄上が怒ろうとも、あなたを守り抜くと」
「レオン……でも、王家と敵対することになるかもしれません」
「構わない。檻に閉じ込める愛なら不要だ。あなたと共にあることが、わたしにとっての誇りだ」
胸が熱くなる。わたしは彼の瞳を見返し、静かに言った。
「わたしも誓います。もう決して檻には戻らない。……あなたと共に、自由を選ぶと」
冬の空に雪が舞い落ちる。白い花弁のような雪片が、二人の誓いを祝福するかのように輝いていた。
◇
夜、寝室の机に白いハンカチと写しの地図を広げる。あの日からずっと手元にある、小さな灯火。
「……もう逃げはしない」
囁いた声は、雪明かりに溶けていった。
――悪役令嬢クラリッサは、断罪の舞台を越えた。
――そして、幸せを掴むために、真の戦いを始めようとしていた。
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