65 / 70
第六十五話 決戦前夜
しおりを挟む
視察の旅を終え、王都へ戻る頃には「自由の令嬢」という呼び名は国の隅々にまで響き渡っていた。
だが同時に、最後の影が動き始めていた。
――「王太子派残党の最終集会」
その報せは重く、国全体をざわめかせた。
◇
「クラリッサ様。残党が郊外の古城に集結しております」
家臣の報告に、父は眉をひそめる。
「やはり最後の足掻きか。……だが、侮ってはならぬ」
母は蒼白な顔でわたしの手を握り、震える声で言った。
「どうか……どうか気をつけて」
わたしは白いハンカチを胸に押し当て、静かに頷いた。
「ええ。俯きません。檻には戻りません」
◇
夜。新居の寝室。
「兄上は退いた。だが、彼を信じている残党がまだいる」
レオンハルトの声は低く、険しかった。
「彼らは“檻こそ秩序”と信じている。……最後の策を仕掛けてくるだろう」
「ならばわたしたちも、最後の答えを示す時なのですね」
「そうだ」
彼は強くわたしの手を握り、真剣に見つめてきた。
「クラリッサ。君が俯かない限り、民は必ず自由を選ぶ。だから、どうか一緒に立ってほしい」
「レオン。わたしは檻には戻りません。必ずあなたと共に立ちます」
温もりが指先から胸へと広がり、不安よりも誇りが勝っていった。
◇
翌日、広場に人々が集まり始めた。
「残党が決起するらしい」
「クラリッサ嬢はどうするのか」
「必ず立ってくれるはずだ」
人々の視線はすでに、わたしの選択に注がれていた。
◇
「……決戦前夜か」
窓から月を眺めるレオンハルトが呟いた。
わたしは隣に並び、白いハンカチを掲げた。
「ええ。けれど、俯きません」
彼は静かに微笑み、わたしを抱き寄せる。
「君と共に、未来を掴もう」
「はい。檻には戻りません」
◇
――悪役令嬢クラリッサは、国の未来を決める最後の戦いを前に。
――俯かず、愛する夫と共に立つ誓いを固めた。
だが同時に、最後の影が動き始めていた。
――「王太子派残党の最終集会」
その報せは重く、国全体をざわめかせた。
◇
「クラリッサ様。残党が郊外の古城に集結しております」
家臣の報告に、父は眉をひそめる。
「やはり最後の足掻きか。……だが、侮ってはならぬ」
母は蒼白な顔でわたしの手を握り、震える声で言った。
「どうか……どうか気をつけて」
わたしは白いハンカチを胸に押し当て、静かに頷いた。
「ええ。俯きません。檻には戻りません」
◇
夜。新居の寝室。
「兄上は退いた。だが、彼を信じている残党がまだいる」
レオンハルトの声は低く、険しかった。
「彼らは“檻こそ秩序”と信じている。……最後の策を仕掛けてくるだろう」
「ならばわたしたちも、最後の答えを示す時なのですね」
「そうだ」
彼は強くわたしの手を握り、真剣に見つめてきた。
「クラリッサ。君が俯かない限り、民は必ず自由を選ぶ。だから、どうか一緒に立ってほしい」
「レオン。わたしは檻には戻りません。必ずあなたと共に立ちます」
温もりが指先から胸へと広がり、不安よりも誇りが勝っていった。
◇
翌日、広場に人々が集まり始めた。
「残党が決起するらしい」
「クラリッサ嬢はどうするのか」
「必ず立ってくれるはずだ」
人々の視線はすでに、わたしの選択に注がれていた。
◇
「……決戦前夜か」
窓から月を眺めるレオンハルトが呟いた。
わたしは隣に並び、白いハンカチを掲げた。
「ええ。けれど、俯きません」
彼は静かに微笑み、わたしを抱き寄せる。
「君と共に、未来を掴もう」
「はい。檻には戻りません」
◇
――悪役令嬢クラリッサは、国の未来を決める最後の戦いを前に。
――俯かず、愛する夫と共に立つ誓いを固めた。
10
あなたにおすすめの小説
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
これって私の断罪じゃなくて公開プロポーズですか!?
桃瀬ももな
恋愛
「カタリーナ・フォン・シュバルツ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
卒業パーティーの最中、第一王子アルフォンスから非情な宣告を突きつけられた公爵令嬢カタリーナ。
生まれつきの鋭い目つきと、緊張すると顔が強張る不器用さゆえに「悪役令嬢」として孤立していた彼女は、ついに訪れた「お決まりの断罪劇」に絶望……するかと思いきや。
(……あれ? 殿下、いま小さく「よっしゃあ!」ってガッツポーズしませんでした!?)
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる