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第七十話 幸せの行方
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――季節は春へ。
雪に閉ざされていた王都の街並みは花で彩られ、広場では子どもたちが歌い、商人たちの声が陽気に響き渡っていた。かつて断罪と怒号に包まれたこの国は、今や「自由」という名の新しい息吹に満ちている。
「クラリッサ様、学び舎に子どもがあふれております!」
「市場の税が軽くなり、皆が笑顔です!」
民の声は力強く、希望に満ちていた。その光景を見つめながら、わたしは胸に白いハンカチを押し当てた。檻に囚われていた日々は遠い記憶となり、今は旗印として誇らしく輝いている。
◇
王宮の広間では、国の未来を定める議会が開かれていた。
「王位継承権を剥奪された前王太子は修道院にて過ごすこと」
「新たな秩序は“自由を基盤とする”と宣言すること」
重臣たちの合意が次々と決まっていく。
かつてわたしを悪役と断じた者たちでさえ、今は「自由の令嬢」を国の象徴として認めていた。
◇
夜。新居の庭園で、春の花々に囲まれながらレオンハルトと並んで歩く。
「……信じられませんわ」
「何が?」
「かつて断罪され、檻に閉じ込められそうになったわたしが、今は国の象徴と呼ばれているなんて」
レオンハルトは立ち止まり、真剣な瞳でわたしを見つめた。
「君が俯かなかったからだ。檻を拒み続けた勇気が、人々を動かしたんだ」
「……でも、本当に強かったのは」
「君自身だ」
彼はわたしの手を取り、指先に口づけを落とした。
◇
「クラリッサ」
月明かりの下で、レオンハルトは改めて言った。
「君はもう“悪役令嬢”ではない。私の妻であり、この国の光だ。そして、これからは共に未来を歩む伴侶だ」
胸が熱くなり、涙が滲む。
「レオン……わたしは檻には戻りません。あなたと共に、この国と、そして幸せを選び続けます」
彼の腕が優しくわたしを抱き寄せ、温もりが心を包んだ。
◇
――自由を拒む檻は、もうどこにもない。
――断罪も布告も、刃も、すべて乗り越えた。
悪役令嬢クラリッサは、最愛の夫と共に国の未来を担い、そして――ヒロインより先に、誰よりも早く幸せを掴んだのだった。
【完】
雪に閉ざされていた王都の街並みは花で彩られ、広場では子どもたちが歌い、商人たちの声が陽気に響き渡っていた。かつて断罪と怒号に包まれたこの国は、今や「自由」という名の新しい息吹に満ちている。
「クラリッサ様、学び舎に子どもがあふれております!」
「市場の税が軽くなり、皆が笑顔です!」
民の声は力強く、希望に満ちていた。その光景を見つめながら、わたしは胸に白いハンカチを押し当てた。檻に囚われていた日々は遠い記憶となり、今は旗印として誇らしく輝いている。
◇
王宮の広間では、国の未来を定める議会が開かれていた。
「王位継承権を剥奪された前王太子は修道院にて過ごすこと」
「新たな秩序は“自由を基盤とする”と宣言すること」
重臣たちの合意が次々と決まっていく。
かつてわたしを悪役と断じた者たちでさえ、今は「自由の令嬢」を国の象徴として認めていた。
◇
夜。新居の庭園で、春の花々に囲まれながらレオンハルトと並んで歩く。
「……信じられませんわ」
「何が?」
「かつて断罪され、檻に閉じ込められそうになったわたしが、今は国の象徴と呼ばれているなんて」
レオンハルトは立ち止まり、真剣な瞳でわたしを見つめた。
「君が俯かなかったからだ。檻を拒み続けた勇気が、人々を動かしたんだ」
「……でも、本当に強かったのは」
「君自身だ」
彼はわたしの手を取り、指先に口づけを落とした。
◇
「クラリッサ」
月明かりの下で、レオンハルトは改めて言った。
「君はもう“悪役令嬢”ではない。私の妻であり、この国の光だ。そして、これからは共に未来を歩む伴侶だ」
胸が熱くなり、涙が滲む。
「レオン……わたしは檻には戻りません。あなたと共に、この国と、そして幸せを選び続けます」
彼の腕が優しくわたしを抱き寄せ、温もりが心を包んだ。
◇
――自由を拒む檻は、もうどこにもない。
――断罪も布告も、刃も、すべて乗り越えた。
悪役令嬢クラリッサは、最愛の夫と共に国の未来を担い、そして――ヒロインより先に、誰よりも早く幸せを掴んだのだった。
【完】
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