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第15話 信頼の芽と近づく心
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翌日、朝の光に照らされた城は静かで、昨夜の出来事が嘘のように穏やかに見えた。けれど私は忘れていなかった。貴族の娘たちが投げた言葉の刃も、アレクがそれを跳ね除けてくれた力強さも。
――守られるだけではなく、自分で立たなくては。
胸にその思いを抱き、私は小さな行動を選んだ。
◇
午前、厨房を訪ねると料理人たちが大鍋をかき回し、次々とパンを焼いていた。私は勇気を出して声をかける。
「薬草を加えれば、体を温めるスープになります。もし許されるなら……試させていただけませんか」
年配の料理長が腕を組み、しばらく考え込む。周囲の目が私に集まる。やがて彼はうなずいた。
「よかろう。ただし味を損なったら叱るぞ」
緊張で手が震えそうになったが、私は祈るような気持ちで薬草を刻み、鍋に入れた。香りがふわりと広がり、スープの色が柔らかに変わる。味見をした料理長が目を見開いた。
「……悪くない。いや、むしろ旨い。体が温まるな」
周囲から驚きの声が上がり、やがて笑顔に変わった。胸がじんわりと熱を帯び、足元が確かなものになる。
◇
昼過ぎ、庭園でマリアンヌと会った。彼女は嬉しそうに駆け寄ってきて、両手を握る。
「セリーナ! 厨房の噂を聞いたわ。皆、あなたを見直している。お兄様もきっと喜ぶわ」
「……まだ始めたばかりです。けれど、誰かの役に立てるのなら」
私がそう言うと、王女は微笑んで頷いた。
「ええ、その気持ちが一番大事。お兄様の隣に立つ人は、きっとそうでなくちゃ」
彼女の言葉に胸が温かくなる。支えてくれる人がここにいる。その事実が心を強くしてくれる。
◇
夕刻、私は執務室を訪ねた。アレクは机に書類を広げ、険しい表情をしていた。けれど私を見ると、その顔が驚くほど柔らかくなる。
「来てくれたのか。今日はどう過ごした?」
「厨房を手伝いました。薬草を加えたスープを作ったのです。皆に喜んでもらえて……少しだけ、自分にできることがあると思えました」
彼は立ち上がり、ゆっくりと私のもとへ歩み寄る。瞳に光が宿り、声が低く響く。
「セリーナ。君は俺の誇りだ。誰が何を言おうと、君は確かにこの城で必要とされている」
その言葉に胸が震える。守られているだけではなく、認められている――そう思えた瞬間だった。
「……ありがとうございます。けれど、私ができるのは本当に小さなことです」
「小さなことでも、人の心を動かす。君が証明している」
彼の手が伸び、そっと私の頬に触れた。温かさが広がり、視界が滲む。
◇
夜、部屋に戻り、窓から星を見上げる。胸に残るのは、彼の手の温もりと、誇りだと言ってくれた声。
――私にも、この城で果たせる役目がある。
そう信じられたとき、心の中で灯った光はもう小さく揺れるだけのものではなく、確かな炎となっていた。
――守られるだけではなく、自分で立たなくては。
胸にその思いを抱き、私は小さな行動を選んだ。
◇
午前、厨房を訪ねると料理人たちが大鍋をかき回し、次々とパンを焼いていた。私は勇気を出して声をかける。
「薬草を加えれば、体を温めるスープになります。もし許されるなら……試させていただけませんか」
年配の料理長が腕を組み、しばらく考え込む。周囲の目が私に集まる。やがて彼はうなずいた。
「よかろう。ただし味を損なったら叱るぞ」
緊張で手が震えそうになったが、私は祈るような気持ちで薬草を刻み、鍋に入れた。香りがふわりと広がり、スープの色が柔らかに変わる。味見をした料理長が目を見開いた。
「……悪くない。いや、むしろ旨い。体が温まるな」
周囲から驚きの声が上がり、やがて笑顔に変わった。胸がじんわりと熱を帯び、足元が確かなものになる。
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昼過ぎ、庭園でマリアンヌと会った。彼女は嬉しそうに駆け寄ってきて、両手を握る。
「セリーナ! 厨房の噂を聞いたわ。皆、あなたを見直している。お兄様もきっと喜ぶわ」
「……まだ始めたばかりです。けれど、誰かの役に立てるのなら」
私がそう言うと、王女は微笑んで頷いた。
「ええ、その気持ちが一番大事。お兄様の隣に立つ人は、きっとそうでなくちゃ」
彼女の言葉に胸が温かくなる。支えてくれる人がここにいる。その事実が心を強くしてくれる。
◇
夕刻、私は執務室を訪ねた。アレクは机に書類を広げ、険しい表情をしていた。けれど私を見ると、その顔が驚くほど柔らかくなる。
「来てくれたのか。今日はどう過ごした?」
「厨房を手伝いました。薬草を加えたスープを作ったのです。皆に喜んでもらえて……少しだけ、自分にできることがあると思えました」
彼は立ち上がり、ゆっくりと私のもとへ歩み寄る。瞳に光が宿り、声が低く響く。
「セリーナ。君は俺の誇りだ。誰が何を言おうと、君は確かにこの城で必要とされている」
その言葉に胸が震える。守られているだけではなく、認められている――そう思えた瞬間だった。
「……ありがとうございます。けれど、私ができるのは本当に小さなことです」
「小さなことでも、人の心を動かす。君が証明している」
彼の手が伸び、そっと私の頬に触れた。温かさが広がり、視界が滲む。
◇
夜、部屋に戻り、窓から星を見上げる。胸に残るのは、彼の手の温もりと、誇りだと言ってくれた声。
――私にも、この城で果たせる役目がある。
そう信じられたとき、心の中で灯った光はもう小さく揺れるだけのものではなく、確かな炎となっていた。
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