星空に咲く花畑

セイカ

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13話 星空に咲く花畑 後編 護也視点

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辰支くんの手を取り、まずは、彼に目を閉じてもらうように頼む。辰支くんは渋々了承して目を閉じる。俺は彼の手を引いて、足元に気をつけながら、木々がいい感じに円を描くように生い茂っている場所の真ん中へと彼を連れてくる。

「開けていいよ」

と俺が目を開けるように言うと、辰支くんはゆっくりと目を開ける。

「うわぁ~!」

辰支くんは予想通りにいい反応をしてくれた。
メガネをかけておらず、オールバックにしているため、その瞳がよく見える。
今の表情が1番輝いているように感じた。

今俺たちの周りには花が咲き誇っている。と言っても、作り物の花畑だけど。
さすがに冬の夜に咲く花が見つからなかったため、雑貨屋さんに売ってある偽物の花を買い、それを円形に植えていった。
人が全く来ない場所に俺たち2人だけは凄く嬉しい。そして、

「上を見て」

と俺が上を指すと辰支くんも俺の指の先を見てみると、凄く感動の表情をした。
満天の星空だ。
今回、運良く綺麗に晴れ、空気も澄んでいるので凄く綺麗に見える。

彼の願いのひとつ、星花に囲まれること。
これで少しはいい方向にいけばいいなと思っていたところ突然、

「天では星、地には花、集まることでできることが増える。故に集まろう。助け合おう。天に輝く星空のように。地に咲き誇る花のように。助け合おう。繋がろう。そうすれば、良き大切さに気づけるでしょう。」

と辰支くんが歌った。綺麗な声だった。
歌詞も凄く綺麗なものだった。

「ごめんなさい。もし星花に囲まれたらこの歌を歌いたいと思ってたので…」

辰支くんはおそらく無意識に歌ってしまったのだろう。恥ずかしそうにしている。こんな顔を見るのは初めてで嬉しい。

「いい歌だね。集まることで気づけるものが増えるって意味なんだね」

俺がそう言うと、辰支くんは

「はい、ですが、これにはもう一つ意味があるのです。祖母から聞いた話です。」

どうやら、この歌は辰支くんが母方のおばあちゃんによく聞かせてもらった歌だったらしい。母親にも歌ってもらったことがあるらしい。そして、その歌は、勿論"集まることでできることが増える。"という意味もあるが、もう一つ意味がある。
俺が何って聞いてみると、

「それは、集まることでできることが増える。つまり、"一人一人が違う強さを持っている"ということです。」

と辰支くんが懐かしそうに言った。もっと詳しく聞くと、一人一人にはそれぞれ違くても"必ず美しさがある"。星と花のように一つだけでも美しいように1人の人間にも美しさがあるという意味もあるらしい。
勿論、いい意味での話だが。
ある意味考えさせられる歌だなと思う。

「ところで、辰支くんは今日メガネとかはどうしたの?」

俺が1番気になったことを聞くと、辰支くんがビクッとして、少し黙ってから、

「実は、僕は、これが本当の姿なんです…メガネや前髪は、顔を隠すためにしているんです…僕は不細工ですからね…」

と悲しげな表情で話してくれた。過去にお前は醜いと他人に言われたため、顔を隠すようになったらしい。前髪も昔オールバックがおかしいと言われたから下ろしたらしい。

俺はそれを言っていた人間の方がおかしいと思う。
悪い意味で自分達が普通だと決めつけている人間は大抵変だと思う。
多分悪い例は言わなくても分かるだろう。
逆に良い意味の普通もあるが、わざわざ言う必要はないだろう。

「君は綺麗だよ。とても。醜いことなんてない!それに、俺は、君に救われた。君の優しい心に何度も助けられた。だから……
俺は君のことが大好きだ!どれだけ違う人格だろうと今まで助けてくれた姿は偽りじゃないだろ?」

俺が必死な思いでそう言い、辰支くんを見ると、、
彼は泣いていた。
小さな涙が頬を伝っていた。

「え?!ごめん!そんなに嫌だった?!」

と慌てて俺が謝ると、辰支くんは「違う!」と否定した。

「なんでだか分からないんです…
自分はもう感情がなくなっているはずなのに、今の言葉は間違いなく嬉しいと思ったんです…」

辰支くんが涙を拭きながら話すが、1度流れ始めたら止まらなかったみたいで拭いても拭いても涙が溢れてくる。
今まで感情がなくなってしまい、泣けなくなってしまったらしいから、その分の涙が溢れているのだろう。
泣きながらだが、辰支くんが必死に話を続ける。

「それに、あなたには酷いことばかりもしました。実は、僕は貴方に何度か嘘をついていたんです…」

嘘と言われたが、俺は特に気にしなかった。
誰だって嘘をつく。内容によるが、それが人を傷つけず、必要な嘘なら仕方がないと思ったからである。

「どんなこと?」

俺が聞くと、辰支くんは少し深呼吸をして、先程より落ち着いたようで、ゆっくりと話し出す。

それは、思いもよらない嘘だった。

「僕は、初めてお会いしたあの夜に、星を見に行ったのではなく、死のうととしていたのです…」




辰支くんは暗い表情でそう言った。



俺はその言葉に驚きを隠せず、固まってしまった。
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