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13話 星空に咲く花畑 後編 辰支視点
しおりを挟む自分はあの日、星空が綺麗に見えたあの日、公園の近くの見晴らしの良い場所から飛び降り自殺をしようとしていた。
もうあまりにも疲れすぎていた。
生の実感はなく、ただ、同じ毎日を過ごす。
人と関わりたくなくても人のいない場所はない。
この間、仕事先で理不尽に怒鳴られてしまった。
本当についてないな…
その時はそう思った。だが、残酷なことにその苦しさが生の実感を与えてくる。
自分には特殊な恐怖症がいくつかある。その中のうち、自分以外にも持っているかもしれない恐怖症が怒声恐怖症。
怒鳴られてしまったら一時的に頭がパニック状態になり、思考など全てが停止してしまう。
あとは聴覚過敏。唐突に大きな音やうるさい音を聞くと、頭痛など、しんどくなってくる。
うつ病もあり、言われていることが全て批判に聞こえてきてしまう。
今までも疲れきってはいたが、いわゆる空元気というやつで頑張ってきた。しかしもう本当に限界だった。
死んだらどうなるのだろうかなどと考えて、1番に思ったのは、自分は間違いなく地獄行きだなと。
今まで、辛い思いをしてきたが、最近それは、ただの被害妄想の内なのかなと考えてしまうようになってきた。
今までの出来事は現実で事実だが、自分が苦しいと思うのは、ただの被害妄想なのかと考えるようになった。
何故こう考えるのかというと、誰だったか自分が辛いことを話したら、
「そんなの皆一緒、君だけじゃない」
と言われた。
そんなことぐらい分かっている。
なのに、なんだかその言葉は自分を責めているようにも聞こえた。
お前の辛さは単なる被害妄想なのだと。
そういうふうに考えるようになったら、もう分からなくなり、自分は辛いと言うことさえ許されないのかと思った。
そう思い、もう、いいよねと考えてしまう。そろそろ眠りたかった。永遠に。
だから、飛び降りて死のうと思った。激痛を覚悟で。
そして、飛び降りようとする前に最後に星を見たくて、夜空を見上げた。
空を見上げたのはいつぶりだろうか…
そう考えながら見ると、流れ星が一つ流れた。
とても感動した。最後にいいものを見れたと思ったが、流れ星が流れて行った先に綺麗な大きな星が光り輝いている。
なんだろうと思い、じっと見ていると、流れ星がまた一つ、その星の方へと流れた。
まるであの星に吸い込まれているようだ。自分は、その星が気になり、気づけば、自殺をやめて、その場から離れ、星の方向へと走って行く。
すると、1度入ったら出るのが大変だという公園の木々の前に着く。
これ以上進むのはダメだと思ったが、今も見えているあの星に少しでも近づきたくて、そのまま木々の中に入って行ってしまう。
木々の中からでも見えるあの星が気になって仕方がなかった。
自分はまるであの星を追いかけている。
追いかけたところで距離が変わらないことも、届かないことも分かっている。
でも、何故か星の方へと走ってしまう。
走っている途中、同じ方向に流れ星が流れていくのが見えた。
自分もあんなふうにすぐに消えてなくなれればいいのに……
そう思いながら走って行く。
走って行き、木々からようやく出られたと思ったが、その先は急な斜面になっており、これ以上進むと落ちてしまう。
行き止まりか…
そう思い、先程の星を見ようと空を見上げると、満天の星空が広がっていた。
一瞬目を逸らしただけなのに先程の星がどれなのかわからなくなってしまった。
そのくらい空は星でいっぱいだった。
綺麗な満天の星空。冷たい筈の風も心地よく感じる。
その場所は、いい感じに木々がよけられていて、まるで天体観測のためにある場所だった。
さっきまで自殺をしようとしていたが、今は何故かそんな気持ちがなくなっていた。
というより、今目の前にある満天の星空を見たいという気持ちが強かった。
自分はその場に座り、星空を眺めた。
「そういえば、小さい頃、星空に向かって何か言ってたっけ…」
小さい頃の記憶がほんの少し蘇る。
いつもなら頭痛などがする筈なのに今は不思議と全くしない。
小さい頃、星空に向かって手を伸ばし、花を片手に持って何かを言った。
なんて言ってたかな…?
思い出せそうで思い出せない。
色々と考えていると、また風が少し吹く。
今度は少し冷たい。すると後ろから花びらが数枚飛んでいった。
冬の夜に咲く花なんてあったっけ?
そう思った途端に後ろからガサガサと誰かが近づいてくる音がした。
現れたのは、一目でモテてそうなのが分かる容姿をした男性だった。
自分は驚いて、声が出なかった。
男性は一つため息をついて帰ろうとしたが、僕の方を見た。
そして唐突に近づいてきて、「うわあ!」と叫びながら両腕を両脇の下に入れられ、抱き上げられる。
何事かと驚く。
どうやら自殺をしようとしていたのではと思われていたらしい。
自分は驚いた。偶然であれ、必然であれ、自殺をしようとしていたのは事実だ。
でも、本当のことを言えず、嘘をついてしまった。
その後、何かの縁なのかその男性、星野護也さんと会う日が増える。
そうして、色々なことがあった。
最初は関わる気なんて毛頭なかったが、何故か彼が気になってしまい、何故か助けるポジションにたっていた。
そして、次第に彼の純粋さに引かれていた。彼の純粋で優しく、何事もしっかりと向き合う姿と、お友達の件の時に見たものはとても暖かな気持ちになった。
自分が見たかったものの一つ。
お友達の件で星野さんが山で住田さんと仲直りした時、実は自分もその場にいた。
その時、星野さんの本当のかっこよさに気づき、いつの間にか好きになっていた。
そう、星を追いかけたら貴方がいたのです。
貴方という星に出会えた。
その時、自分が初恋をしていることに気がついた。
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