星空に咲く花畑

セイカ

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14話 星の輝き、咲き誇る花

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辰支くんの話を聞いて、凄く驚いたが、同時に嬉しいと思ってしまった。
何故なら、辰支くんの口から「好き」と言ってくれたからだ。

俺は花を、辰支くんは星を追いかけたらあの場所に辿り着き、そして出会った。
すごい縁だと思った。
偶然は必然でもある。

仮に偶然だったとしても、それを必然に変えるのは俺たち自身ではないのかと思う。

つまりは運命などは自分達が関わり、繋がり合って初めて感じるものだと俺は思う。
最初から運命だと言っていては違った時の傷が大きいとも思う。

「話してくれてありがとう。」

俺がお礼を言うと、

「いえ、僕は嘘や醜いものの塊と同じです…だから、星野さんには幸せになって欲しいから、一緒にはいられません…」

と言われた。また今にも泣きそうな表情だった。
前の俺ならあたふたと慌てて、何を言って良いのか分からなかったが、今ではちゃんと向き合える。
そう導いてくれたのは、父さんや祐介、高岡くん、そしてなにより辰支くんだ。

「俺は、辰支くんがどう思い言おうと、決して諦めないよ。君は感情が消えた筈なのに、俺の事を恋愛的に好きだと自覚するということは段々と感情が戻って来ているんじゃないかなって思う。」

聞いていた辰支くんは驚いた表情をしている。俺は優しく微笑みながら続ける。

「君が失ったものをどこまでかは分からないが、俺はそれを一緒に取り戻し、君が幸せになるように一緒に生きていきたいと思ってるよ。」

一緒に生きたいという言葉に、辰支くんはまた涙を流す。

「嬉しいです…僕にはもう、こんな幸せな立ち位置につけるなんて…」

もう幸せになることを諦めていたのだと涙を堪えながら辰支くんは言う。

「じゃあ、俺と一緒にいてくれますか?」

と言って俺は手を差し出す。
辰支くんは少し戸惑ったが、恐る恐る手を出し、俺の手を取った。
その瞬間に俺は辰支くんの手を引っ張り、彼を抱きしめる。
辰支くんは驚いて、「ちょ!」と言ったが、すぐに落ち着いたのか、彼は俺の胸に顔を埋めた。
その仕草がとてつもなく可愛かった。

ようやく心を開いてくれた。

そう思っていると、辰支が

「実は、僕、幸せになるのが少し怖かったりします…」

と言った。俺は1度辰支くんを離して、両肩に両手を置いて辰支くんの顔を見る。

「だったら、そう思わなくなるぐらいに一緒に楽しく生きていこう。お互いに助け合って支え合おう。まあ基本俺が守り、辰支くんが支えるという形かな?適材適所ってやつかな」

俺の言葉に辰支くんは笑った。
今までも何度か笑顔を見たことはあるが、今の笑顔は最高にいいものだ。
その笑顔に俺はドキドキしながら、一緒に笑った。


「それにしても、こんだけ植えるのは大変だったでしょう?」

辰支くんが植えた花を見ながらそう言った。

「大変だったけど、やるって決めたからね」

俺は意外とやると決めたら最後までやる人間だ。
辰支くんはふふっと笑った。本当に少しは感情に取り戻せたみたいだ。
どうやって生の実感を得るかは人それぞれだが、辰支くんの場合はあまりにも残酷過ぎた。だが、これで少しは大丈夫になると信じたい。

「あれ?」

辰支くんがあるものを見つけたようで、俺が植えた花畑の中を見ていっている。

「どうしたの?」

「この花って本物ですよね?」

俺が聞くと、辰支くんが花の1部を指し示し、俺も見てみると、偽物の花の中に本物の花が混ざっている。

「本当だ。これは植えてないよ?」

何故本物の花が咲いているのか凄く謎だが、とても感動する光景だった。

「不思議ですね…この花は初めて見ました。」

まるでその花は俺たちを見守ってくれていたように感じた。
自然は本当に不思議だ。当然怖い部分も沢山あるが、それと同じくらいに綺麗なものだ。そして、その自然を作っている地球も凄く美しいと俺は思う。
まだ地球にも不思議なことが沢山あるんだと思う。
多分辰支くんも同じことを思っているかもしれない。

「ここは奇跡の場所だね。」

俺がそう言うと、辰支くんは少し暗い表情になる。

「いくらここが奇跡の場所でも、いずれ時が経てば人間によって壊されますよ…」

「そうかもね…それは確かに悲しい…」

俺もそう思う。せっかく見つけた場所が潰されるのは、とんでもない苦痛だ。

「今までの人達も、色んな作品や歌や物語、そして行動で良くないと伝えても、それを無視して自然を汚して、最終的には別の星へ行こうとする人間の方が多いですからね…」

辰支くんは凄く呆れた表情をしていた。
俺は、少し考えた。どう言えば良いのかと、考えたが、やはりこう言うしかない。

「確かに人間てそういうところあるね…
だから、俺たちが出来る範囲で守っていけば良いと思うよ」

完璧じゃなくて良い。
自分たちのできる範囲でやっていけば、自然も今回のような奇跡を起こしてくれるかもしれないと思う。
俺の話を聞いた辰支くんは「そうですね」と言って笑ってくれた。

「改めて言うけど、この先も大変かもしれないけど、一緒に助け合って生きていきたいと思うけど、付き合ってくれる?」

俺が勇気を振り絞ってもう1度告白する。

「……はい、よろしくお願い致します。」

辰支くんは小さく頷き、OKをしてくれた。
俺はヨシっと思わずガッツポーズをしてしまい、笑われてしまう。
だが、それぐらい嬉しかったのだ。

「僕は傷つきやすいし、裏切りは絶対に許しませんけど、大丈夫ですか?」

辰支くんが笑いながらそう言った。
今まで何度も裏切られ、傷つけられてきたんだ。当たり前の質問だ。
その質問に対し俺は、

「任せて、絶対に幸せにしてみせる」

とグッとした。

辰支くんは今までにないくらいの笑顔を見せてくれた。
いや…おそらくこれが彼の笑顔なんだと俺は思う。





星のような輝き、咲き誇る花のような笑顔。
俺はこの笑顔を絶対に守ると心に誓った。
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