彼女に裏切られて自暴自棄になってたら、超絶美少女でお嬢様なむかしの幼馴染に拾われた〜復縁してくれ?今の環境が最高なのでお断りします〜

片野丙郎

文字の大きさ
26 / 49
2章

エピローグ

しおりを挟む

「うっ、う~ん……」

 なんだこれ、体中が痛いぞ。ていうか、俺何してたんだっけ? ……そうだ! 宇佐美は無事なのか!

 体中に走る痛みを無視して俺は飛び起きる。体を起こすと、そこはいつもの俺の部屋、宇佐美家が用意した俺の部屋だった。どうやら俺はベッドで寝かされていたらしい。まだ、ボーッとする頭を無理矢理働かせ、俺はベッドから降りようとするが……

「どこに行くつもりですか? 周王様」

「うわぁ!」

 いつからそこに居たのか、二条さんが俺に話しかけてくる。びっくりした……。二条さんってばまったく気配が無いから、本当に心臓に悪い。ていうか、そんな事言ってる場合じゃない!

「二条さん! 宇佐美は、宇佐美は無事なんですか!?」

 俺は傷む体を引きずり、二条さんの肩を掴んで訊ねる。すると、二条さんは一呼吸した後に口を開く。

「安心してください。お嬢様は無事保護されました。現在は警戒も兼ねて自室で休まれています」

 二条さんの言葉を聞き、俺はホッと一息を吐く。

 そうか……。宇佐美、無事で良かった……! あの後もし、宇佐美の身に何かあったら俺は一生後悔するところだった。

 宇佐美の安否を確認できた俺は、助けることが出来たという嬉しさで思わす小さくガッツポーズを取る。そんな俺を見ながら、二条さんは言葉を続ける。

「周王様、お嬢様を助けていただきありがとうございました。今回は我々も後手に周り、周王様がいなければ、最悪のケースも考えられました。お嬢様を雇われている者の代表として、深く感謝させていただきます」

 そう言って、二条さんは深く頭を下げる。その姿に俺はタジタジになってしまう。

「そっ、そんな二条さん、頭を上げてください。俺は感謝されるような事はしていませんよ。俺は宇佐美が与えてくれた優しさをそのまま返しているだけですから」

「……そうですか」

 俺の言葉に二条さんは渋々といった感じで頭を上げる。

「それでは、周王様もお疲れでしょうからゆっくりお休みになってください」

 そう言って、一礼した後に二条さんは俺の部屋から出て行く。

 それにしても、宇佐美が無事で本当に良かった……! 今回の件で宇佐美の隣にいるのに相応しい男に少しだけ近づけたかな? そうだと嬉しいんだがな……。



ーーーーーーーーーー



《神崎遥視点》

「……お嬢様、一体いつまで泣いているつもりですか?」

 神崎遥はため息を吐きながら、目の前でベッドに顔を埋めて泣き続ける自分の主人に訊ねる。

「なっ、泣いてなんかいないわよ!」

「そんなことを申しましても目の周りが腫れていますよ。目も充血していますし……」

「こっ、これは……そう! 目にゴミが入ったのよ! 少しは察して頂戴、神崎!」

「そんな無茶な……」

 周王春樹に敗北して以降、お嬢様はずっと泣いていた。お陰で布団は毎日のようにビショビショになっていた。食事の度に無理矢理、部屋から連れ出しては、布団を洗濯するのだが、部屋に戻ればまた泣き出し、完全に無限ループと化していた。

「えぐ……えぐ……」

 一向に泣き止まない自分の主人に嘆息し、神崎遥は現実逃避をするように周王春樹との戦いを思い出す。

 まさか、私が敗北するとはね……。油断はしていなかったつもりですが。心のどこかで格下だと無意識に思っていたのだろうか……。

 神崎遥は周王春樹に外された肩をさすりながら、ふと、気になっていた事を思い出す。

 彼が私の肩を外した技……どこかで見たことがあったのですが……。そう、あれは宇佐美家との御前試合の時……。

「神崎! 私をほったらかしにしないで! 私を慰めなさい!」

 何かを思い出しそうになっていた彼の記憶は、主人の言葉で奥へと引っ込む。彼は何か引っ掛かるものを覚えながらも、癇癪を起こす主人の世話へと赴くのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?

宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。 栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。 その彼女に脅された。 「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」 今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。 でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる! しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ?? 訳が分からない……。それ、俺困るの?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?

久野真一
青春
 2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。  同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。  社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、  実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。  それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。  「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。  僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。  亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。  あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。  そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。  そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。  夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。  とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。  これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。  そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...