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蠢く闇
黒い蝶は空を舞う―ⅩⅠ―
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「雪成…」
明原に情報を伝え、捜査に進展があるのを待ちながら心惹かれる男の名を呟いた。
雪成を見つけたという報告を受けたのは、昼の休憩中の事だった。
連絡を受けた時秋良は目頭が熱くなり、身体が震えた。
もう時期ここへと運ばれてくるらしい。
院長達は大慌てで用意を始めていた。
いつも雪成が寝起きしていた個室に入った時は驚いていた。
驚く程にものが無かった、という訳では無い。
あまりにも生活感がありすぎたからだ。
悪く言おうが言わまいが汚部屋という言葉がしっくりと来るようだ。飲みかけのお茶が机に放置されていたり、脱ぎ捨てられた白衣等の衣類は乱雑にベッドの足元に押しやられていた。
この光景にさすがの暁も唖然としていた。
それから数時間後、ついに保護された雪成が運ばれてきた。
その頃にはすっかり片付けも終わっていた。
雪成は眠っており、抵抗の後が所々に見られた。
この数週間、一体どれだけ彼は辛い経験をしたのか思えば思うだけ胸が痛い。
身体の傷よりも心の傷を癒すのは容易ではない。
それも、塞がりかけていた傷を抉られれば果たして今後人と関わって行くことが可能なのだろうか。
悶々と一人診察室の椅子に腰掛けて考えているとボーン、と十八時を告げる時計の音が鳴った。
ハッとして、時計を見上げた。
今日一日がとても長く感じられたが、まだ今日は終わらない。
それどころか、いつ目を覚ますか分からない彼に気を回しつつの夜勤の仕事が始まる。
今日は他の先生もいるが、気は重い。
できることなら、愛する彼の元で付きっきり看病がしたい気持ちを抑えつつ、診察室を後にした。
明原に情報を伝え、捜査に進展があるのを待ちながら心惹かれる男の名を呟いた。
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いつも雪成が寝起きしていた個室に入った時は驚いていた。
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あまりにも生活感がありすぎたからだ。
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それも、塞がりかけていた傷を抉られれば果たして今後人と関わって行くことが可能なのだろうか。
悶々と一人診察室の椅子に腰掛けて考えているとボーン、と十八時を告げる時計の音が鳴った。
ハッとして、時計を見上げた。
今日一日がとても長く感じられたが、まだ今日は終わらない。
それどころか、いつ目を覚ますか分からない彼に気を回しつつの夜勤の仕事が始まる。
今日は他の先生もいるが、気は重い。
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