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第4話 邂逅
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ピロン!
意味不明なインストールを知らせるメールと時間を合わせたかのようなタイミングでそれは鳴った。
開封前のダンボール。
知樹は年不相応に悪寒を抱き、ダンボールの包装を解いていった。
と言っても小さい両手ほどのサイズだ。
ダンボールの大きさに合わない太いガムテープを1つ剥がせばすぐに開く。
そこにあったのは見た事のない端末だった。
スマートフォンのようだが厚みがあり、スマートフォンを2つ横に並べた程度の大きさをしている。
カラーは白。当然新品で傷や汚れは一切無い。
画面は真っ黒。
よく分からないが高額そうな機械を、八方眺め回していると、
『指紋認証開始…………照合完了。所有者、八林知樹の指紋認証完了』
画面が起動して、指紋認証を始めるではないか。
知樹はハイテク機器を思わず取り落としそうになるが、これがどういうものなのかが気になり小さな画面を覗き込んだ。
画面にはまず真っ白になった。
機械の不具合でよくある黒ではなく白だ。
そして薄っすらと細い線が、まるでリアルタイムで誰かが書いているかのように、見覚えのある背景を順々に描き出す。
「これは【WITH二次元】!」
知樹は画面から目を離せなくなっていた。
こんな端末があるなんて聞いた事もない。
少なくともこの端末を他の人間が手にしていたら、ネット上では自慢合戦が開始されているはずだ。
だけど朝に軽くネットサーフィンをしていた知樹にすらそんな記事は見ていない。
線が家具だったり壁だったりの表現を完璧に終えた瞬間、パッと見なれた色が白い画面を彩った。
そして肝心のキャラクターだが、何やらボンヤリと輪郭のようなモヤがある。
『NO.0001、構成開始。画面内での構成完了』
何度も聞いた機械音声が響いた瞬間に、ボンヤリとした輪郭からはっきりとしたものに変わり、顔や胴体、足などといった細部まで線が流れた。
「のんちゃんだ!!」
知樹は一人、歓喜に沸く。
PCでバグによって消えていたはずの暁乃々華が別の端末に現れたのだ。
理由は分からないが知樹に喜べない理由などなかった。
『現実干渉機能をインストールしました』
独特なイントネーションの機械音声が淡々と告げる言葉の中によく分からないものがあった。
「現実、干渉?」
知樹は画面を見る。
そこには見慣れたPCで表示されるものとさほど変わらないホーム画面があった。
当然固定イラストの乃々華は動かない、はずなのだが、
「うぅぅん」
凝った身体を伸ばすように背伸びをしていた。
背伸びを、背伸びをしていた。
「……は?」
知樹は一度画面から視線を外し、もう一度画面を覗き見る。
ーー背伸びをしていた。
◆
『初めまして、私は暁乃々華。よろしくね……うぅんと』
「八林知樹です」
『知樹……君。えっと……もうちょっと楽にしたら?』
現在知樹は、突然動き出した暁乃々華に驚いて意図せず端末をデスクチェアに立て掛け、自分は地面に正座をしていた。
そして画面の奥の乃々華が知樹に気付き、ペコリと行儀良く挨拶を交わしたところ、画面の奥には知樹の正座に戸惑った乃々華がいた、と言う事だ。
「…………」
『…………えぇっと……』
それでも知樹は固まったように、正座の姿勢を保ったまま動かない。
乃々華は会話が続かない事に焦っているようだ。
が、知樹としても夢にまで見た『のんちゃん』が喋りかけてくるのだ。
人間のように返答して来るし、昇天ものだろう。
「八林知樹!17歳!彼女は今の所いません!!よろしくお願いします!!」
いきなり動き出した知樹はいきなり大声を上げてよく分からない自己紹介に走る。
『私は暁乃々華。年齢は非公開で彼氏はいません。これからよろしくね』
「……あっ、はい」
我に返ってみるととんでもなく恥ずかしい事を口走った事に気づき、顔を顰める知樹だったが、少し微笑んだ後に知樹と同じ形式で再び自己紹介を始める乃々華に知樹は呆気に取られる。
『それよりも……出てきていい?』
意味不明なインストールを知らせるメールと時間を合わせたかのようなタイミングでそれは鳴った。
開封前のダンボール。
知樹は年不相応に悪寒を抱き、ダンボールの包装を解いていった。
と言っても小さい両手ほどのサイズだ。
ダンボールの大きさに合わない太いガムテープを1つ剥がせばすぐに開く。
そこにあったのは見た事のない端末だった。
スマートフォンのようだが厚みがあり、スマートフォンを2つ横に並べた程度の大きさをしている。
カラーは白。当然新品で傷や汚れは一切無い。
画面は真っ黒。
よく分からないが高額そうな機械を、八方眺め回していると、
『指紋認証開始…………照合完了。所有者、八林知樹の指紋認証完了』
画面が起動して、指紋認証を始めるではないか。
知樹はハイテク機器を思わず取り落としそうになるが、これがどういうものなのかが気になり小さな画面を覗き込んだ。
画面にはまず真っ白になった。
機械の不具合でよくある黒ではなく白だ。
そして薄っすらと細い線が、まるでリアルタイムで誰かが書いているかのように、見覚えのある背景を順々に描き出す。
「これは【WITH二次元】!」
知樹は画面から目を離せなくなっていた。
こんな端末があるなんて聞いた事もない。
少なくともこの端末を他の人間が手にしていたら、ネット上では自慢合戦が開始されているはずだ。
だけど朝に軽くネットサーフィンをしていた知樹にすらそんな記事は見ていない。
線が家具だったり壁だったりの表現を完璧に終えた瞬間、パッと見なれた色が白い画面を彩った。
そして肝心のキャラクターだが、何やらボンヤリと輪郭のようなモヤがある。
『NO.0001、構成開始。画面内での構成完了』
何度も聞いた機械音声が響いた瞬間に、ボンヤリとした輪郭からはっきりとしたものに変わり、顔や胴体、足などといった細部まで線が流れた。
「のんちゃんだ!!」
知樹は一人、歓喜に沸く。
PCでバグによって消えていたはずの暁乃々華が別の端末に現れたのだ。
理由は分からないが知樹に喜べない理由などなかった。
『現実干渉機能をインストールしました』
独特なイントネーションの機械音声が淡々と告げる言葉の中によく分からないものがあった。
「現実、干渉?」
知樹は画面を見る。
そこには見慣れたPCで表示されるものとさほど変わらないホーム画面があった。
当然固定イラストの乃々華は動かない、はずなのだが、
「うぅぅん」
凝った身体を伸ばすように背伸びをしていた。
背伸びを、背伸びをしていた。
「……は?」
知樹は一度画面から視線を外し、もう一度画面を覗き見る。
ーー背伸びをしていた。
◆
『初めまして、私は暁乃々華。よろしくね……うぅんと』
「八林知樹です」
『知樹……君。えっと……もうちょっと楽にしたら?』
現在知樹は、突然動き出した暁乃々華に驚いて意図せず端末をデスクチェアに立て掛け、自分は地面に正座をしていた。
そして画面の奥の乃々華が知樹に気付き、ペコリと行儀良く挨拶を交わしたところ、画面の奥には知樹の正座に戸惑った乃々華がいた、と言う事だ。
「…………」
『…………えぇっと……』
それでも知樹は固まったように、正座の姿勢を保ったまま動かない。
乃々華は会話が続かない事に焦っているようだ。
が、知樹としても夢にまで見た『のんちゃん』が喋りかけてくるのだ。
人間のように返答して来るし、昇天ものだろう。
「八林知樹!17歳!彼女は今の所いません!!よろしくお願いします!!」
いきなり動き出した知樹はいきなり大声を上げてよく分からない自己紹介に走る。
『私は暁乃々華。年齢は非公開で彼氏はいません。これからよろしくね』
「……あっ、はい」
我に返ってみるととんでもなく恥ずかしい事を口走った事に気づき、顔を顰める知樹だったが、少し微笑んだ後に知樹と同じ形式で再び自己紹介を始める乃々華に知樹は呆気に取られる。
『それよりも……出てきていい?』
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