新米錬金術師のお助けライフ。行く先々で巻き込まれつつも私は頑張ります!!

ニゲル

文字の大きさ
19 / 26
二章 崩れゆく背後

17 出会い再会

しおりを挟む

「それにしても山か…魔物とか出てきたら怖いですね」
「ここら辺は魔物は出ないから大丈夫だよ。街も近いし。それにこの前のアグノスももう倒しておいたから」
「えっ!? そうなんですか!?」

 てっきり逃してしまったと思っていたのでさらっと投下される発言に二度見ならぬ二度聞き?してしまう。

「君達を宿に送った後にね。念の為に魔法でマーキングしといたから」

 なんて用意周到なのだろう。お姉ちゃん同様にアグノスに対する知識が私達とは段違いだ。

「もうガペーラ! またそんな一人で…」
「ボクだけでも十分に倒せる敵だったから。それに心身共に疲弊していた二人に心配させるのもいけないと思ってね」

 か、かっこいい…

 真っ先に出てきた印象がそれだった。ティミスちゃんが彼女のことを話す際に男性の褒め言葉を多用していたのも理解できる。

「あっ! 見て見てフェートちゃん! これ珍しい素材じゃない?」
「え? どれどれ…」

 ここら辺は自然が豊かでマナの質も良く良い素材が多い。今拾ったのも中々に珍しい素材で金属を綺麗にするのに役立つものだ。

「薬草もここら辺なら結構あるね。超過した分はアイテムボックスに入れておこうか」

 薬草も錬金術で使えばポーションの効能を高めたりすることもできる。あって損はないだろう。


⭐︎

 
「よし! こんなもんで良いかな?」

 一時間ちょっと黙々と薬草を採集し依頼には十二分な程の量が集まった。

「これだけあれば良さそうだね。じゃあ山を降りてギルドに…」

 ガペーラさんがピタリと動きを止める。

「どうしたのガペー…ん? 何か近づいて来てる…?」

 ティミスちゃんが何者かの気配を察知する。

「魔物じゃないと思うが…一応二人とも後ろに下がっててくれ」
「は、はい…」

 私達は大人しく後ろに引き下がり音の主を待ち構える。

 だがその心配は杞憂で終わった。草むらから幼い女の子が飛び出してきただけだ。

「なんだ子供か…でも何でこんなところまで…迷子か?」

 ガペーラさんは手にかけていた武器をしまいその子の頭を撫でてあげる。

「これは…」

 しかし緩んでいた彼女の表情は一瞬で険しいものになる。

「どうしたんですか?」

 私は女の子の背後にまで回りガペーラさんの視線の先を覗く。

「この怪我…!?」

 彼女の服から覗かせる肌は傷だらけで、刃物や鞭で傷つけられかのような跡が目立つ。

「助けて…ください…!!」

 女の子は掠れ消えそうな声でこちらに助けを訴えてきた。

「どこに行った!!」
「何としてでも探し出せ!!」

 その時少し離れたところから男性の怒声が聞こえてくる。

「ひっ…!!」

 女の子はガペーラさんの後ろに隠れ抱きつく。その体は激しく震えておりそれだけで大体の事情は察せられる。

「今度は武器を出しておいた方が良いみたいだね…二人とも構えて」

 言われなくても私とティミスちゃんも察知して各々戦えるよう構える。

「…あん? 誰だお前ら?」

 女の子が来た方から出てきたのは三人の屈強な男達だった。

「ひっ…この人達わたしを虐めた…!!」
「あっ! こんなところにいやがった!」

 一人の男が彼女に近づき胸倉を掴もうとする。

「おい待て」

 しかしガペーラの方が素早く彼の手首を掴み捻り上げる。

「いたたたた!」
「何してんだてめぇ!?」

 男の一人が斧を取り出し威嚇するがガペーラさんは気にも留めない。

「男三人がボロボロの女の子を武器を持って追いかけている。止める理由としては十分だ」

 ガペーラさんは手首を捻り上げたまま男にアッパーをくらわして一発で伸びさせる。

「なっ!? 何しやがる!?」
「ごめんなさいねっ!!」

 私は足に重点的に強化魔法をかけ距離を詰め、彼の鳩尾に拳を叩き込む。

「悪いですけど気を失ってください!」

 もう一人はティミスちゃんが起こした暴風に吹き飛ばされ地面に叩きつけられて気を失う。

「お、お姉ちゃん達強いんだね」
「ボクはガペーラ。お嬢さんは?」
「わ、わたしはリロです…普通に暮らしてたのに…ある日大きな蝙蝠に攫われて…」
「なんだって…!?」

 大きな蝙蝠。その特徴に私達三人の頭に先日戦ったあのアグノスがフラッシュバックする。

「もしかしてそいつは灰色だったかい?」
「え、うん…どうして知ってるんですか?」
「まだ仲間が居たか…いや、元締めか?」

 あのアグノス達がしていたのはあくまでも奴隷集めだった。あの人数や規模で市場を開けるとは考えにくい。

 それにあいつは買い取り先を示唆するような発言をしていた。リロちゃんを捕まえていたのはもしかしたらその親玉の可能性もある。

「ねぇリロちゃん。もしかしてだけど…攫われた先で別の灰色の化物見なかった?」
「えっ…? はい。大きな屋敷みたいなところに連れて行かれて、そこでわたしを庇った子が…別の灰色の化物に…ひぐっ…!!」

 リロちゃんはその時の光景を思い出してしまったのか、膝から崩れ落ち涙を流す。

「アグノスによる奴隷商売…か。クズが」

 ガペーラさんはクールな表情を崩し睨みつけるように虚空を見つめる。

「なんとかしないと…これ以上被害が出る前に、アグノスの魔の手にやられる前に…!」
「でもどうしますガペーラさん? まだ場所も相手も分からないし…」

 私もそんな奴は絶対に許せない。アグノスという力を得てそれを私利私欲に使い人を苦しめる奴は私が最も許せないタイプだ。

「リロ…その捕まっていた屋敷の場所は分かるかな?」  
 
 ガペーラさんは地図を取り出しリロちゃんの前に広げる。

「えっとここをこう逃げてたから…あっ、ここだ!」

 リロちゃんは地図のある位置を指差す。

「この位置は確か…マーチの別荘か」
「マーチ? 誰なの?」
「有名な商人だよ。貿易とかでも稼いでたはず。まさかあいつが…?」

 まさに吐き気がする極悪人といったところだ。

「まずはこの子を安全な所に送ろう」
「うーん騎士団のところですかね?」  
「いや…それはやめておいた方がいいだろう」
「えっ、どうしてですか?」
「マーチの権力は中々のものだ。もし彼がアグノスで黒幕なら騎士団の人間を買収していてもおかしくない。ボク達ではその区別がつかない」

 うっ…確かに預けた人とかそれを知った人がマーチに買収されてたら一発アウトだ。

「信頼できる知り合いが居るからそこに預けよう。だがその前に衣服を整えて…あと顔を隠せるものとかも欲しいな。とりあえず宿に戻ろう。道中は着心地は悪いだろうがこの布を被っててくれ」

 ガペーラさんは適当な布を取り出しリロちゃんにかけてあげる。

「これなら傷も顔も見えませんね」
「あとは三人で良い感じに彼女を隠しながら歩いて行こう」

 私達は変に怪しまれない程度に彼女を人目から遠ざけつつ宿に戻る。

「ふぅ。なんとか部屋に戻って来れたね」
「とりあえずボクがここを守って見張ってるから、二人は服とか買いに行ってくれるかな? はいお金」

 私達はガペーラさんから硬貨を数枚貰い、それを手に宿を出て街に繰り出す。

「ガペーラが守ってくれるなら安心だね」   
「そうだね。私達も気をつけよう」  

 街を歩いて彼女に合いそうな無難な服を見つけ、それをアイテムボックスにしまい帰路に着く。

「あれ…フェート?」

 しかしある人物に呼び止められる。

「エディアさん!!」

 先日別れてそれっきりだったエディアさんだ。隣には黒い服に身を包んだ中年男性がいる。

「それにティミスも…二人ともどうしたんだい?」
「あーそれは…それよりそっちの黒い人は?」
「オレはガンマっていうまぁ…エディアの知り合いだ。ま、時間はまだある。話したいことがあるなら向こうに居るから好きなだけしな」   

 ガンマと名乗った彼は十メートル程距離を置いて壁に背中を寄せる。

「えっとそれで…」  

 私はエディアさんに何があったのかを話し始めるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない

よっしぃ
ファンタジー
俺には僅かながら魔力がある。この世界で魔力を持った人は少ないからそれだけで貴重な存在のはずなんだが、俺の場合そうじゃないらしい。 魔力があっても普通の魔法が使えない俺。 そんな俺が唯一使える魔法・・・・そんなのねーよ! 因みに俺の周囲には何故か精霊が頻繁にやってくる。 任意の精霊を召還するのは実はスキルなんだが、召喚した精霊をその場に留め使役するには魔力が必要だが、俺にスキルはないぞ。 極稀にスキルを所持している冒険者がいるが、引く手あまたでウラヤマ! そうそう俺の総魔力量は少なく、精霊が俺の周囲で顕現化しても何かをさせる程の魔力がないから直ぐに姿が消えてしまう。 そんなある日転機が訪れる。 いつもの如く精霊が俺の魔力をねだって頂いちゃう訳だが、大抵俺はその場で気を失う。 昔ひょんな事から助けた精霊が俺の所に現れたんだが、この時俺はたまたまうつ伏せで倒れた。因みに顔面ダイブで鼻血が出たのは内緒だ。 そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。 精霊曰く御礼だってさ。 どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。 何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ? どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。 俺と地脈と繋がって、魔力が無限増殖状態だったようだ。 そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。 そんなある日、1人の女性が俺とパーティーを組みたいとやってきた。 ついでに精霊に彼女が呪われているのが分かったので解呪しておいた。 そんなある日、俺は所属しているパーティーから追放されてしまった。 そりゃあ戦闘中だろうがお構いなしに地面に寝そべってしまうんだから、あいつは一体何をしているんだ!となってしまうのは仕方がないが、これでも貢献していたんだぜ? 何せそうしている間は精霊達が勝手に魔物を仕留め、素材を集めてくれるし、俺の身をしっかり守ってくれているんだが、精霊が視えないメンバーには俺がただ寝ているだけにしか見えないらしい。 因みにダンジョンのボス部屋に1人放り込まれたんだが、俺と先にパーティーを組んでいたエレンは俺を助けにボス部屋へ突入してくれた。 流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。 俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。 因みに寝そべっていなくてはいけない理由は顔面と心臓、そして掌を地面にくっつける事で地脈と繋がるらしい。地脈って何だ?

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

処理中です...