転生特典は女神様!? 食べる度に強くなり続けるボクの異世界冒険ライフ!!

ニゲル

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一章 女神様と異世界と

15話 勘違い

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「テンペスト!!」

 妖精族の子の周りの空間が歪む。その歪みは高速でこちらに飛ばされ、上からボクを押し潰すよう強い圧力が加えられる。

「うぐっ……!!」

「冥矢君!!」

「来な……いでっ!!」

 セリシアが痛みを堪えこちらに来ようとするが、この圧力の中に入ってしまえば彼女もダメージを受けてしまう。それにあの子は何故かボクにだけ殺意を向けている。今の状態ならセリシアやおじさんにこれ以上危害は及ばないはずだ。

「あと……ちょっと……!!」

 ボクはこの圧力下でもアイテムボックスに手を伸ばし、そこから肉を取り出す。

 これは……蜘蛛の魔物の肉……

 口に入れるのに少し抵抗はあるが、入れてみれば案外美味しく蟹のような食感だ。そしてボクの全身に巡る血液が沸騰する。全身が熱くなり段々と起き上がれるよう力が増していく。

「何を……? はぁっ!!」

 危険を察知したのか、彼女は圧力を上げて一気にボクの骨を粉々にしようとする。しかし突如として爆発するボクの力で地面を殴りその領域から離脱する。そして跳んでから木を壁に見立てて蹴り彼女のすぐ側まで跳躍する。

「なっ!?」

 拘束を抜け接近され動揺を見せるが、すぐに冷静さを取り戻し羽を羽撃かせ高度を上げる。手が届かない所まで行かれてしまったが、それでも問題ない。今食べた肉が蜘蛛のものだから。
 ボクは手に蜘蛛の巣を張り、そこから極太の糸の塊を鞭のようにしならせ飛ばす。意識外からの突拍子のない一撃。彼女は対応できず体を糸に巻き取られる。

「落ちろぉっ!!」

 後はもう簡単。引く力と落下する勢いで糸を引っ張り上空であぐらをかいている彼女を引きずり下ろすだけだ。彼女は魔法を使う暇もなく呆気なく地面に叩き落とされる。

「くっ、クソ……卑怯だぞ魔族め!!」

 しかし地面にぶつかる直前に風の魔法で圧力のクッションでも作ったのか、激突する瞬間不自然に減速しダメージはあまりない。

「こうなったら……ウィンド……」

「お前ルディか……?」

 また魔法が放たれると思い咄嗟に身構えるが、おじさんから放たれた名前を聞き取り彼女の口は塞がれる。

「えっ……ベルタおじさん……?」
  
 どうやら妖精族に対しての顔の広さが有効的に働いてくれたらしく、おじさんの顔を見るなり彼女から放たれていた殺気がスッと消える。

「な、何でおじさんが魔族と一緒に!?」

「ちょ、ちょっと待って! ボクは魔族じゃなくて人間だよ? ほら、角だって生えてないでしょ!?」

 ボクは髪を掻き上げて額を見せつける。もちろんそこには角などなく、魔族どころかリリィのようなハーフでもない。

「どうせまた人間に化けてるんだろ! もう騙されないぞ!」

 人間に化ける魔族はボク達も数週間前に出会っている。しかしそんな言いがかりをつけられてはたまったものじゃない。

「そんな憶測で……それを言い出したら人間みんな化けてる魔族だってこと!?」

「お前からは里を襲った魔族と同じ気配がする! それにさっき使った……スキルか魔法か分からないが、あの魔族が使ったものと同じ魔力を感じたぞ! あんな気配初めてだ! お前も魔族なんだろ!!」

 そんな貰い物同然のスキルについてあれこれ言われてもボクに分かるわけがない。この世界に来て一ヶ月経過するがまだ分からないことの方が圧倒的に多いのに、急に気配など話に出されてついていけない。

「まぁまぁ落ち着いてルディちゃん。彼は俺の友人だ。魔族だなんてあるはずがない。何かの間違いだよ」

「そんなこと……っ!!」

 おじさんが落ち着かせようとするが、ルディは空気の刃を発生させそれでボクの糸を斬り裂き拘束から逃れる。

「あっ、しまっ……!!」

 またあの魔法を使われるとボクとセリシアは戦闘態勢を取るが、彼女は予想とは違い困惑の表情を浮かべつつ後方に跳び下がりそのまま羽を広げて飛び去っていく。

「な、何だったのあの子……?」

「うーん……ルディちゃんどうしたんだろう? いつもは明るくて優しい子なのに……」

 どうやら今の彼女は尋常な精神状態ではないらしい。それに魔族の襲撃など物騒な事を漏らしていた。

「何か嫌な予感がするな……よし。二人ともちょっと先にこの道真っ直ぐ行って里の様子を見て来てくれないか? 族長にこれを渡せば俺の連れだって事は伝わるから」

 おじさんはアイテムボックスからお酒を一瓶取り出しボクに手渡す。

「俺も荷物を容量ギリギリまでこれにしまってから追いかけるから」

「うん……おじさんも気をつけてね!」

 放置させたくない荷物をアイテムボックスにしまうおじさんから視線を切り、ボク達は本来馬車で通るはずだった道を駆け抜ける。
 
「お姉ちゃん。おじさんもルディももう居ないしちょっと飛んでボクを軽く持ち上げてくれる?」
 
「え? それくらい良いけど……」

 セリシアに翼を展開させて軽くボクを持ち上げる。これでだいぶ軽くなった。

「しっかり掴んでてね」

「何する気……?」

「えいやっ!!」

 ボクは遠くの二本の木目掛けて両手から飛ばした糸を巻き付ける。そしてギシギシと木が悲鳴を上げるほど引っ張って踏ん張り、今度はその力を一気に解除する。
 途端に溜まったエネルギーが解放され、ボクとセリシアは凄まじい推進力を生み出し木より少し高い高度を疾走していく。

「きゃぁぁぁぁ!!」

 セリシアは悲鳴を上げつつもしっかりボクのことを掴み抱き寄せてくれる。そのまま鳥すらも追い越してボク達は妖精族の里まで飛んでいくのだった。
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