転生特典は女神様!? 食べる度に強くなり続けるボクの異世界冒険ライフ!!

ニゲル

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二章 矛盾

44話 世界と倫理の違い

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「見逃した……可哀想だったから」

 何故リリィがそのことを知っていたのか。セリシアも知っているかのような口振りだったのか。そんなことはもうこの際どうでも良い。今は取り繕わず正直に話すことにする。

「一つ聞いても良いか……? お前見たよな……アタシ達の里が焼かれみんなが傷つくのを。知ってたよな? アタシとパティの両親が奴に殺されたのを!!」

 ボクが血を吐いた直後だということを気にせずルディはボクを強く壁に叩きつける。血が口からほんのりと垂れる。だがルディはそんなことは気にしてはくれない。

「メイヤさん……あたしがあなたにお礼を言った時、何を考えてたんですか? あいつを見逃しておいて!!」

「複雑な気持ちだったし……悪いと思ってた」

 ルディの掴み上げる力が強くなる。このままヒートアップすれば本当にボクを殺してくるかもしれない。

「待ってルディちゃんそれ以上は……」

「うるさい!! セリシアも知ってたんだろ!? 何で黙ってた!!」

「それはついさっきリリィちゃんから聞いたからで……でも冥矢君にも理由が……」

「理由ってなんだよ……人殺しの魔族を許す理由なんてないだろ!!」

 セリシアの声も二人には届かない。パティからは今まで信頼していた分その落差からか軽蔑の視線が送られる。

「この髪飾り……もしかして償うつもりで渡したんですか?」

「違う……でも……」

「でもって何だよ……ハッキリ言えよ!!」

 ボクに怒る資格なんてない。ボクがおかしい、異常なことだなんて分かりきっている。それでもボクは歳相応に感情を曝け出そうとする。

「分かんないよ!! ボク自身だって何であの魔族を助けたのかなんて!!」

「理由もなく助けたのか……?」

「あぁそうだよ。分からないだろうよみんなには!! ボクはみんなとは違う世界の人間なんだからさ!!」

「ん?」

 ボクの言葉にセリシア以外のみんな衝撃を受ける。しかしトールさんとリリィ。特にトールさんは反応を示しこちらに興味を向ける。

「冥矢君それは……」

「いいよ言わせてよ。ボクは地球っていうこことは違う世界から来たんだよ。全く違う所からね。だからみんなとは違う……同じ考えだなんて……持てないよ」

 ボクの答えにみんなついてこれず沈黙の空気が流れるが、その空気は響いてくるドタドタという騒音に掻き消される。
 
「おいお前らその扉から離れろ!!」

 トールさんがボクとルディの服を引っ張り扉から離す。
 次の瞬間そこから大量の人が……いや死体が飛び出してくる。

「あの魔族……村の奴らを全員向かわせてくる気だ!! 早くあいつを……」

 トールさんがまた指示出しするが、行動に移る前にいきなり床が爆発する。

「うわぁ!!!」

 ボク達は爆風に包まれ視界が滅茶苦茶になる。

「いててて……あれ? お姉ちゃん達は!?」

 爆煙が晴れた時には周りにはトールさんしかおらず他四人は見当たらない。どうやらボク達は一階まで落ちたようで全身が痛い。

「あいつか爆破した野郎は……」

 トールさんは既に起き上がっておりボク達を分断した犯人を見つけている。そいつは明らかに村人の格好ではない。恐らくミリューが殺した行方不明になった旅人だろう。

「え……エクスプロー……」

「遅いっ!!」

 奴が再び魔法を唱えるよりも早くトールさんの手が奴の頭を貫く。

「じょ……ごぽぼぽぽ」

 壊れた機械のような音を出し奴は少量の血を出し倒れ動かなくなる。それを合図にするかのように玄関や扉から大量に村人が、死体が雪崩れ込んでくる。

「トールさんこれは……」

「ミリューの仕業だろうな。お前が逃したせいで……分断されたあいつらは今危険に晒されている」

「それはっ……!!」

 自分の身勝手でみんなが命を落とすかもしれない。自分にそんな考えを抱く資格なんてない。それは分かってはいるがみんなが死ぬのを想像したら胸が締め付けられる。

「でもボクは……!!」

 拳を強く握り締める。全部助けたい。幸せになってほしい。ボクの我儘で矛盾した思想がボク自身を雁字搦めにして苦しめるのだった。
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