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第5章 春の運動会

第35話 やっぱり緊張する

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ついに運動大会が始まった。
僕達時雨学園は、ステージ裏の控え室で待機していた。

「おい、迅!!大丈夫??」

迅は震えていて、椅子から立ち上がれずにいた。

「なんで、2人は緊張してないのさ 一応学園の代表ってことでここにいるんだよ」

僕と雅也は顔を合わせて、頭を抱えた。

「まあ、この大会はあくまで交流会って言われてるから 気楽に行こ!!」

僕は迅の肩を軽く叩いた。

「雅也くんは緊張しないの??」

「いや、別に運動大会は慣れてるからな そんなに緊張はしないな」

雅也の方を見ると、足が少し震えていた。

(絶対緊張してるな……)

「なあ、その足の震えって風邪でもひいてるのか??」

僕が雅也をいじると、雅也が僕に近づいてきた。

「い、いや 武者震いだ!!早く始まらないかなー!!」

僕の一言で迅にも気づかれた。

「話を変えたな」

「そうだね、なんか僕はこれを聞いて落ち着いてきたよ」

(それはよかったな、まあそろそろ始まるし 僕も心構えしとくか……)

「は、陽翔はどうなんだ!! 実は緊張してたりするだろ!!」

雅也がビシッと指を僕に刺した。

「実は~ 実は~ なんとも~ ないよ」

正直緊張感は本当にない
(だって海都と美鈴とか言うバグと死闘をしたし、今更交流運動会で緊張しないな……)

「またまた~」

控室で話していると、運営からの呼び出しがあった。

「控室の皆さまは、それぞれ中央ホールに集まりください」

よし、とりあえず頑張ろう

「よし、みんな行くぜ」

雅也が先頭に立って、僕たちは競技場の中央に行った。








「紫音ちゃん、ほっぺにクリームがついてるよ」

私はポケットからハンカチを取り出し、紫音ちゃんの顔を拭いた。

「えへへ~ 佳澄さん、ありがとうございます!!」

紫音は拭いた後、ソフトクリームを食べ進めた。

「おいしいです!! ご馳走していただけて嬉しいです!!」

紫音は私に満面の笑みで、私に感謝した。
にしても可愛い、一人っ子だからこんな妹か弟が欲しかった。

「紫音ちゃんは、スポーツ観戦的なのは初めて??」

「そうですね!! 私は初めてなので楽しみです!!」

紫音は目をキラキラさせて、スタジアム中央を見ていた。

「陽翔くんたちはスケジュールの1回目だから、もうそろそろ……っていたいた」

私がパンフレットで日程を確認していると、陽翔、雅也、迅
そして相手の高校の選手が裏から続々と出てきた。

私は出なかったけど、時雨学園も含めて各校20人ずつ、中央に並んでいた。

「お兄ちゃんいたね!!がんばれ~!!」

紫音ちゃんは陽翔に向けて、手を振った。






「雅也、これ僕たちと同じで前3人が相手だよね??」

僕は小声で、雅也に言った。

「ああ、多分そうだ」

僕は左隣を見ると、バニーガル??の格好をしているガタイのいい男性がいた。

「ん、……え??」

見間違えだと思い、もう一度見る。

「……」

よく見ると、僕は前から2番目だったから最初は気づかなかったが、1番目も3番目も同じ格好をしている男性だった。

体格も同じ感じで恐怖感まであった。

(ーーーみ、みなかったことにしよう……)

雅也や迅は、必死に笑いを堪えている感じがした。

そんなことをしていると、司会の人が来た。

「みなさん集まりましたね、それでは今年度の運動交流会を始めます!!」

「今回司会を務めさせていただきます、春那と申します!!そしてお手伝いには、東部最強の能力者の妹『時雨桜華さん』に来ていただきました!!」

司会の人が、ステージに桜華ちゃんを連れてきた。
スタッフの人が、マイクを桜華ちゃんに渡した。

「……え、えっと 先ほど紹介していただいた時雨桜華です、今日は、がんばります!!」

桜華ちゃんが挨拶すると、会場は盛り上がって拍手の音でいっぱいになった。

「桜華さん、ありがとね!! それでは1種目に移るので選手の皆さんは、ステージ前に集合してください」


スタッフの人に誘導され、参加者は全員ステージ前に集まった。

「えい!!」

春那さんが指パッチンをすると、ステージ中央の地面が空き、地中から資料に載っていたステージが出現した。

(あれ、試合前に準備すると思っていたが こういう感じで用意されてたんだ、にしても技術力すごいな……)

観客も含め高い技術力に全員驚き、空いた口が塞がらなかった。

「よし!!それじゃ始まるよ!!1種目目の方は準備してね!!」

春那さんの掛け声で、僕と雅也と迅はスタッフさんに誘導され、A地点の石碑の前に行った。

「5分後開始か……  陽翔、魔力の流れはどうだった??」

「ん~、完全に読めない奴もいたが、雅也でも勝てると思う!!」

雅也は腕を組んだ。

「よし、迅!!俺たちは時間までAを守るぞ!!」

「う、うん!!僕も頑張るよ!! 陽翔くんは全員倒してきてね!!」

「任せて!!」

僕たちは配置についた、各学校の場所は遮蔽物があって様子が見えないが、同じ感じだろう。

(まあ全部倒すが、どこから行こうか…… 無難に一番近い、美剣学園からいくか……)

僕は能力を解放し、木刀を3本作り出した。

2本は迅と雅也に渡して、もう1本は背中の鞘に入れた。

「「それでは試合開始です!!」」

春那さんと桜華ちゃんの声で、試合が始まった。


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