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第6章 絶対零度

第46話 雰囲気変わった?

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私、如月佳澄は読書と音楽鑑賞が好き。
今日はここ、東部のコーヒー喫茶『French』に来ました。

今は恋愛小説を読んでいます。
ヒロインと主人公の叶わない恋、こういう展開は王道ですが、私は大好きです。

店内のBGMも落ち着いたゆっとりとしたテンポの曲で、眠くなっちゃいます。

そして、このカフェラテがとても美味しいんです。

外の景色を見ながら飲むのが私は好きです。

外の景色は雪が降っていて……

「雪??」

コーヒーのカップを持ちながら私は思わず、立ち上がってしまった。
周りのお客さんも立ち上がり、窓の外を見ていた。

薄手の服を着ていたので、これから積もることもあるかもと思い私は会計を済ませて店を出た。

「寒い…… なんでこの季節に雪……」

私は少し走りながら、家に帰った。
帰っている途中に、学校の前についた。

(学校も結構雪が積もってきてる……)

そんなことを考えていると、門の前に人影が見えた。

(日曜日に部活は基本休みのはず、生徒会か雪かきしてる先生とかかな??)

気になって門の近くで見て見ると、女の子が誰かをおぶっていた。

(あの人結構小柄なのに男の子をおんぶしてる…… ってあれ……)

よく見て見ると、おんぶされているのは陽翔だった。
私は門を開けて、その人のところにに行った。

「ちょっとあんた、女の子におんぶされてて恥ずかしくないわけ??」

私がそう言って、陽翔の背中を触るとぐちゃっと言う音がした。

「え??」

手を見ると、そこには血がついていた。

「ちょっと、手を貸してもらえます?? 保健室まで連れて行きたいの……」

彼女は相当疲れているのか、息が上がっていた。

「わかりました、そっちの肩を持ちます」

「はぁ…… ありがとう、助かる……」

私と女の子は保健室に行って、亜実さんの治癒魔法で治してもらった。

「なんでこの子は、毎回死にかけで連れてくるのよ……」

亜実さんは呆れた顔をしながら言った。

「い、いや 私も門の前で見たのでわかりません…… この人が陽翔を運んでいたんです」

私が女の子に指を刺すと、亜実さんはココアシガレットを口に咥えた。

「君は…… 西部研究施設の人工超能力の適合者じゃない」

「何故そのことを知っているんですか……」

亜実さんの言葉を聞いて、女の子は持っていた剣を亜実さんの喉の近くまで近づけた。

「いや、私は軍の仲間じゃない 私はあの事件を解決した 君たちの恩人から聞いたんだよ」

亜実さんの言葉を聞いて、女の子は剣をしまった。

「あの人なら信用できる、すみませんでした」

彼女はそう言って、椅子に座った。


そんな会話をしていると、保健室のドアがバタンと開いた。

「亜実さん、陽翔のやつはどこだ!!」

海都と雫さんが保健室に入ってきた。

「ここで今治したところよ」

亜実さんはベッドに指を刺した。

「佳澄さんが、また助けてくれたの??」

雫さんが私に質問した

「い、いえ この子が怪我してた陽翔を運んでいたのを手伝っただけです……」

「あれ、この子は…… この間来た最上彩葉さん??」

「なんだと??」

二人がそう言うと、彩葉と呼ばれる女の子が陽翔のベッドの横に行った。

「あんたも気づいたでしょ、あのとんでもない魔力 陽翔はそれにやられたのよ」

「あの陽翔が…… と言いたいが、あの魔力は俺たちとは次元が違う なんなんだあれは……」

「神の名を持つ能力『アブソリュートゼロ』、能力の核と融合した『進化』した能力だよ」

「そんな力が存在するのか…… だがそいつは誰なんだ、感じたことのない魔力だぞ」

「それは……」

彩葉がいう寸前に、陽翔がベッドから飛び起きた。

「紫音!! って、ここは……」

陽翔の上半身にあった傷が全て治っていた。
さすがは亜実さんの能力だ。

「目覚めが早いね、そんなに早く治るなんて生命力がとんでもないのかしら」

「亜実さんありがとうございます、海都が連れてきてくれたの??」

陽翔がそう言うと、海都は私と彩葉に指を刺した。

「いや、多分この二人だ 感謝するんだな……」

「佳澄!! 何度も僕を救ってくれてありがと!!」

陽翔はベッドから出て、私の手を握った。

「ちょっと、急に触らないで…… それに私よりこの彩葉さん??が学園の前まで連れてきてくれたんだよ」

「え??彩葉??」

「久しぶり、陽翔」

彩葉の話し方が、さっきとは変わって馴れ馴れしい感じになった。

「え?? 生徒会の時には『ハルくん』って言ってなかった??」

雫が陽翔にそう言うと、陽翔が笑って転びそうになった。

「え?? そうだった?? お前が僕に、くん付けなんてはっずかしいから勘弁してよ~」

「記憶改竄で初対面だったから、なりきっただけ 全ては紫音ちゃんに近づく…… なんでもない ぐふふ……」

(記憶改竄?? この街の能力は人の記憶に干渉できるの??)

「まあ、彩葉…… そのさ、あの後の数年間僕や紫音とのことは覚えたまま、生きてきたんだろう……」

陽翔がそういうと、彩葉は頷いた。

「そのさ、すまない…… 僕と紫音は君のおかげで、幸せに生きてきたのに…… これじゃあ君がかわいそうじゃないか……」

陽翔が拳を握りしめ、下を向いて悔しそうな表情をすると彩葉は首を振った。

「いや…… もしあの時、私がこの選択をしなかったら、みんな死んじゃったと思います、それに私には頼りになる仲間がいたから大丈夫だよ そんな心配することないって~」

「そうか、なら良いけど…… 僕たちの仲だし本心で言っても良いんだよ??」

「全然大丈夫!! 陽翔の心配なんかいらない、紫音ちゃんの心配なら、もらいたい……」

「ははは お前は相変わらずだな」

彩葉は陽翔の背中を叩いて、心配なさそうに振る舞った。

だけども少し震える手を見て、私にはその言葉が嘘のように見えた。





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