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第1章
敷かれた軌道
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俺が彼女を新聞社に連れていったことは、すぐに母上や公爵の知るところとなった。まあ、弱小でも新聞は新聞ということだろう。
「貴様はこの公爵家を笑い者にしたいのか」
呼び出された先、公爵邸の執務室で俺は恫喝されていた。
「なぜ、シャルロットを売った?」
まるで娘に愛情があるかのようにいつでもこの男は言うけれど、もし本当に愛情があるなら、浮気された挙げ句婚約破棄の憂き目にあった娘を、僅か2日で働かないと食っていけないような、貧乏子爵の三男、しかも娘の仇敵ともいえる男にくれてやったりはしないはずだ。
「俺の親が売ったのは俺の未来でしたよ、ゲノーム公爵。新聞じゃなく、あんたにね」
怒りをこめて睨み返す。もちろん、母上にきかれればまたお叱りをうけるだろうが、実際俺はシャルロットと婚約したことで特別クラスを外されたし、母上には大学校の商科へ進むよう言い渡されている。
無論、近衛騎士への未来は絶たれるだろう。
「なるほど仕返しというわけか。つまらん男だな君は……」
別にそんなつもりはなかったが、余程シャルロットの暴露記事がお気に召さなかったらしい。
「貴方に誰が俺を勧めたんです?王妃にシャルロットを愛妾にしてやるとでも、言われていましたか?」
この国の名だたる愛妾は凡そ、名家の妻であることが多い。貴族は、妻が王の手付きとなれば黙って差し出すのが倣いとなっているからだ。
しかし、シャルロットは新聞に自分はいずれ王妃となるマリエッタとの間に確執があり、それ故に婚約破棄となったと話し、それは印刷されて国民の知るところとなってしまった。
「王妃に従えない愛妾などありえませんからね」
何かが俺の横へ飛んできて、重たげな音をたてて割れた。振り返れば、高価そうな陶磁器の灰皿が床に砕けて煙草の灰がぶちまけられている。
「貴様のような男に、この家を、くれてやるなどと!あの売女めが、王太子に尻尾さえ振っておけばいいものを!あれのせいで、私の商売は!この家は!」
それが本音か、と俺は公爵を冷ややかに見る。なるほど公爵邸でのシャルロットが冷遇されるわけだ。
俺は表情をあまり取り繕わないから、余程見下げ果てた、と顔に書いてあったに違いない。
「少なくとも家名くらいは残るんじゃ無いかな、俺がウィル殿下の友人で有る限りは」
それもいつまで保つか知らねえけど、とは声に出さないでおく。ハッとしたように、公爵は顔をあげ、そうだ、そうだな、と頷いた。
「繋ぎはなにも女でなくてもいい。そうだ、お前、お前がいる…」
こいつ、本当にゴミみたいなやつ。
俺はこれ以上話をするつもりにもなれずに、部屋をあとにした。なかでギャアギャアと騒ぎ立てて執事を呼ぶ公爵の声には耳を貸さず、俺はそのまま庭園へと降りていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
気になっていたのはあの時の花だ。あれだけ弱ったものを半分も伐られては、枯れてしまったのではと思っていた。
「……生きてる」
先日あった場所に、ちゃんとまだ皇帝ダリアは生きていた。株は半分になり、葉しかないが、本体は無事らしい。
「ほぼ丸刈りに近かったけど、若葉を伸ばして頑張ってるわ。強いわね、植物は」
いつの間にか後ろに、シャルロットが立っていた。
制服姿でも、作業着でもなく、ブラウスにスカートという軽装だ。下着はつけているだろうが、ジャケットもウエストコートもなしというのはあまりにも心許なくみえて、つい胸元のほうへ向かう目を無理やりダリアのほうへ向けた。
「ねえ、お相手、してくださるんでしょ?」
うェ?とか言ったと思う。お相手、お相手?ついつい邪な想像をかきたてられてしまい、首をふった。
「私では相手にならないかしら?」
差し出されたのは、陽光をはじいてぬめるように光る一振の剣。
「ウィルの近衛騎士になるんでしょ?そう公言してらしたわよね?」
微笑む彼女の手にも、同じような剣が握られている。
「稽古にはちょうどいい仮想敵でしょう?実際いつ王太子妃を狙うかも分からないのだもの」
そう言って剣を振るう。ガチッと音がして、それを俺はなんとか防いだ。
「あら、思ったより弱い?」
そんな風に言われては、相手しないわけにもいかず、二度、三度と剣をうち合わせた。
「手加減はいらないわ、いざとなったらウィルの盾になりなさいと教えられて育ったの。私ひとりでもマリエッタひとりくらい殺せるのよ!」
ふと、以前はシャルロットにも王宮から護衛がついていた……と、考えが横道にそれた、その間合いをついてまたシャルロットが踏み込んでくる。ギリギリでそれをかわす。
「護衛ではなく監視だったのか。随分と危険視されてたんだな…確かに筋がいい、ガイズひとりくらい倒せるかもしれないな!」
ガイズは今もマリエッタの護衛についている。彼女がウィルと結婚したのちには、近衛騎士としてとりたてられるのだろう。あの卒業パーティーの時までは、自分もそうなると信じて疑いもしなかった。
怒りに任せて剣を横薙ぎに振った。シャルロットの剣がはじき飛ばされ、彼女の髪がひと筋むき出しの土にはらりと落ちた。
「どうしたの、まだ生きているわよ」
細い首筋をさらし、さあ、とシャルロットは言う。
「一筋でいいの、切り傷さえ入れば……」
慌ててシャルロットの上から飛び退いた。
「何を塗った?」
剣がかすめた場所を確かめるが、とくに傷は見つからなかった。ホッと息つく。
「ジギタリス」
土の上に寝転がったまま、微かな声でシャルロットは言う。
「…………あなたがくれたんだわ」
そんなつもりで渡した花ではなかったんだが、と俺は彼女に手を差し出し、立ち上がらせた。本当に毒を塗ったかどうか定かではないけれど、もう一度手合わせる気にはなれずに池の周りにある適当な石に腰かけ、シャルロットも座らせた。
「なぜ俺に殺させようとするんだよ」
前髪が伸びてきたのか、鬱陶しく感じてかきあげた。汗が目に入りそうだ。
「なぜって、あなたがウィル殿下のお友達だからよ。そして、わたしの仮の婚約者でもある」
やはり、何を考えているのかよく分からない。首を傾げてみていると、シャルロットは膝の前で手を組み、少し考えてから、話し出した。
「私が死ねば、すこし位はウィルの心に傷を残せるでしょう?とくに、殺されたかもしれないとなれば、なおよ」
それから、口を閉じて水面にうかぶ睡蓮の葉をじっとみつめている。瞳の緋色はくらく陰って、銀の睫毛のむこうで今にも消えてしまいそうな灯のようにみえた。
「そんなにウィル殿下が好きだったのか」
なぜだろう、何処かちりちりと胸の奥でやけつくような気がする。
「好きかどうかは、わからないわ。物心がつく前から、私は王妃になるために育てられた。王妃として誇りを持って生きるようにと。でも、皆は私をウィルの持ち物としか思っていなかったんだわ」
その言葉は聞こえていながら、意味を理解できない。否、理解できても、したくない。
「マリエッタを王妃にしても、国務はこなせない。あのこにそんな器はないもの。実務を行う愛妾を、王家に近い貴族の妻からウィルが選ぶことになるわ。だから、王妃陛下は貴方を婿にするよう、公爵に勧めたんです」
ふるり、と、シャルロットは震えた。
「そうすればウィルの愛するマリエッタを王太子妃に据えても、私をいままで通り王宮へ仕えさせることができる……最悪ね」
ああ、と俺は頷いた。少し前の俺なら、マリエッタの為にと、シャルロットを喜んで差し出したろう。
シャルロットは膝立ちになり、俺の胸元へ指を滑らせた。
「でも、私は新聞にあんな記事を載せたのだもの。もう、王宮へはあがれないわね…あとは、消えてなくなるだけ」
あの瓶を探りだそうとしているようで、白い指先がジャケットの胸へ忍び込む。それをひきとめて、彼女の瞳を見つめ返した。シャルロットは、あいつらに怒っているのだ。誇りを傷つけられ、踏みにじられて。俺と、同じように。
「私を、殺してください」
お茶をいかが、というようなふうにシャルロットは言う。
そもそもこんな婚約などすべきでなかった。
だが、あの時の自分になにができたろう。
過去は、変えられない。
俺は剣をおき、立ち上がった。
「シャルロット、ひとつ、賭けをしよう。俺と」
どこかぼんやりと焦点のあわない彼女をのぞきこみ、できる限りの笑みをうかべてみせた。
「賭け?」
シャルロットは幼い子供のように首をかしげた。
もう結われることのなくなった銀色の髪がふわふわと肩からこぼれ落ちる。
「ああ、少しは気分がよくなるだろ?」
シャルロットは、すこし困った風にわからないわ、と答えた。
「1年後の卒業式までに、もし、俺がお前を好きになればお前の勝ち。なんでも言うことをきいてやる。その時まだ死にたければ、殺してやったっていい。けど、そうならなければ、そのときは婚約はなかったことにしてくれ」
しばらく私の顔をみあげていたシャルロットは、ええ、と頷いた。
「貴方の言うようにいたします」
シャルロットは自分の意思などないかのようにうなづいた。
『従順なだけの令嬢なぞつまらん』
かつてのシャルロットの婚約者、ウィル殿下の言葉を、思い出した。なるほど、上っ面だけみていればそう見えなくもないか。
つまらん、とは、思えないけれど。
「貴様はこの公爵家を笑い者にしたいのか」
呼び出された先、公爵邸の執務室で俺は恫喝されていた。
「なぜ、シャルロットを売った?」
まるで娘に愛情があるかのようにいつでもこの男は言うけれど、もし本当に愛情があるなら、浮気された挙げ句婚約破棄の憂き目にあった娘を、僅か2日で働かないと食っていけないような、貧乏子爵の三男、しかも娘の仇敵ともいえる男にくれてやったりはしないはずだ。
「俺の親が売ったのは俺の未来でしたよ、ゲノーム公爵。新聞じゃなく、あんたにね」
怒りをこめて睨み返す。もちろん、母上にきかれればまたお叱りをうけるだろうが、実際俺はシャルロットと婚約したことで特別クラスを外されたし、母上には大学校の商科へ進むよう言い渡されている。
無論、近衛騎士への未来は絶たれるだろう。
「なるほど仕返しというわけか。つまらん男だな君は……」
別にそんなつもりはなかったが、余程シャルロットの暴露記事がお気に召さなかったらしい。
「貴方に誰が俺を勧めたんです?王妃にシャルロットを愛妾にしてやるとでも、言われていましたか?」
この国の名だたる愛妾は凡そ、名家の妻であることが多い。貴族は、妻が王の手付きとなれば黙って差し出すのが倣いとなっているからだ。
しかし、シャルロットは新聞に自分はいずれ王妃となるマリエッタとの間に確執があり、それ故に婚約破棄となったと話し、それは印刷されて国民の知るところとなってしまった。
「王妃に従えない愛妾などありえませんからね」
何かが俺の横へ飛んできて、重たげな音をたてて割れた。振り返れば、高価そうな陶磁器の灰皿が床に砕けて煙草の灰がぶちまけられている。
「貴様のような男に、この家を、くれてやるなどと!あの売女めが、王太子に尻尾さえ振っておけばいいものを!あれのせいで、私の商売は!この家は!」
それが本音か、と俺は公爵を冷ややかに見る。なるほど公爵邸でのシャルロットが冷遇されるわけだ。
俺は表情をあまり取り繕わないから、余程見下げ果てた、と顔に書いてあったに違いない。
「少なくとも家名くらいは残るんじゃ無いかな、俺がウィル殿下の友人で有る限りは」
それもいつまで保つか知らねえけど、とは声に出さないでおく。ハッとしたように、公爵は顔をあげ、そうだ、そうだな、と頷いた。
「繋ぎはなにも女でなくてもいい。そうだ、お前、お前がいる…」
こいつ、本当にゴミみたいなやつ。
俺はこれ以上話をするつもりにもなれずに、部屋をあとにした。なかでギャアギャアと騒ぎ立てて執事を呼ぶ公爵の声には耳を貸さず、俺はそのまま庭園へと降りていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
気になっていたのはあの時の花だ。あれだけ弱ったものを半分も伐られては、枯れてしまったのではと思っていた。
「……生きてる」
先日あった場所に、ちゃんとまだ皇帝ダリアは生きていた。株は半分になり、葉しかないが、本体は無事らしい。
「ほぼ丸刈りに近かったけど、若葉を伸ばして頑張ってるわ。強いわね、植物は」
いつの間にか後ろに、シャルロットが立っていた。
制服姿でも、作業着でもなく、ブラウスにスカートという軽装だ。下着はつけているだろうが、ジャケットもウエストコートもなしというのはあまりにも心許なくみえて、つい胸元のほうへ向かう目を無理やりダリアのほうへ向けた。
「ねえ、お相手、してくださるんでしょ?」
うェ?とか言ったと思う。お相手、お相手?ついつい邪な想像をかきたてられてしまい、首をふった。
「私では相手にならないかしら?」
差し出されたのは、陽光をはじいてぬめるように光る一振の剣。
「ウィルの近衛騎士になるんでしょ?そう公言してらしたわよね?」
微笑む彼女の手にも、同じような剣が握られている。
「稽古にはちょうどいい仮想敵でしょう?実際いつ王太子妃を狙うかも分からないのだもの」
そう言って剣を振るう。ガチッと音がして、それを俺はなんとか防いだ。
「あら、思ったより弱い?」
そんな風に言われては、相手しないわけにもいかず、二度、三度と剣をうち合わせた。
「手加減はいらないわ、いざとなったらウィルの盾になりなさいと教えられて育ったの。私ひとりでもマリエッタひとりくらい殺せるのよ!」
ふと、以前はシャルロットにも王宮から護衛がついていた……と、考えが横道にそれた、その間合いをついてまたシャルロットが踏み込んでくる。ギリギリでそれをかわす。
「護衛ではなく監視だったのか。随分と危険視されてたんだな…確かに筋がいい、ガイズひとりくらい倒せるかもしれないな!」
ガイズは今もマリエッタの護衛についている。彼女がウィルと結婚したのちには、近衛騎士としてとりたてられるのだろう。あの卒業パーティーの時までは、自分もそうなると信じて疑いもしなかった。
怒りに任せて剣を横薙ぎに振った。シャルロットの剣がはじき飛ばされ、彼女の髪がひと筋むき出しの土にはらりと落ちた。
「どうしたの、まだ生きているわよ」
細い首筋をさらし、さあ、とシャルロットは言う。
「一筋でいいの、切り傷さえ入れば……」
慌ててシャルロットの上から飛び退いた。
「何を塗った?」
剣がかすめた場所を確かめるが、とくに傷は見つからなかった。ホッと息つく。
「ジギタリス」
土の上に寝転がったまま、微かな声でシャルロットは言う。
「…………あなたがくれたんだわ」
そんなつもりで渡した花ではなかったんだが、と俺は彼女に手を差し出し、立ち上がらせた。本当に毒を塗ったかどうか定かではないけれど、もう一度手合わせる気にはなれずに池の周りにある適当な石に腰かけ、シャルロットも座らせた。
「なぜ俺に殺させようとするんだよ」
前髪が伸びてきたのか、鬱陶しく感じてかきあげた。汗が目に入りそうだ。
「なぜって、あなたがウィル殿下のお友達だからよ。そして、わたしの仮の婚約者でもある」
やはり、何を考えているのかよく分からない。首を傾げてみていると、シャルロットは膝の前で手を組み、少し考えてから、話し出した。
「私が死ねば、すこし位はウィルの心に傷を残せるでしょう?とくに、殺されたかもしれないとなれば、なおよ」
それから、口を閉じて水面にうかぶ睡蓮の葉をじっとみつめている。瞳の緋色はくらく陰って、銀の睫毛のむこうで今にも消えてしまいそうな灯のようにみえた。
「そんなにウィル殿下が好きだったのか」
なぜだろう、何処かちりちりと胸の奥でやけつくような気がする。
「好きかどうかは、わからないわ。物心がつく前から、私は王妃になるために育てられた。王妃として誇りを持って生きるようにと。でも、皆は私をウィルの持ち物としか思っていなかったんだわ」
その言葉は聞こえていながら、意味を理解できない。否、理解できても、したくない。
「マリエッタを王妃にしても、国務はこなせない。あのこにそんな器はないもの。実務を行う愛妾を、王家に近い貴族の妻からウィルが選ぶことになるわ。だから、王妃陛下は貴方を婿にするよう、公爵に勧めたんです」
ふるり、と、シャルロットは震えた。
「そうすればウィルの愛するマリエッタを王太子妃に据えても、私をいままで通り王宮へ仕えさせることができる……最悪ね」
ああ、と俺は頷いた。少し前の俺なら、マリエッタの為にと、シャルロットを喜んで差し出したろう。
シャルロットは膝立ちになり、俺の胸元へ指を滑らせた。
「でも、私は新聞にあんな記事を載せたのだもの。もう、王宮へはあがれないわね…あとは、消えてなくなるだけ」
あの瓶を探りだそうとしているようで、白い指先がジャケットの胸へ忍び込む。それをひきとめて、彼女の瞳を見つめ返した。シャルロットは、あいつらに怒っているのだ。誇りを傷つけられ、踏みにじられて。俺と、同じように。
「私を、殺してください」
お茶をいかが、というようなふうにシャルロットは言う。
そもそもこんな婚約などすべきでなかった。
だが、あの時の自分になにができたろう。
過去は、変えられない。
俺は剣をおき、立ち上がった。
「シャルロット、ひとつ、賭けをしよう。俺と」
どこかぼんやりと焦点のあわない彼女をのぞきこみ、できる限りの笑みをうかべてみせた。
「賭け?」
シャルロットは幼い子供のように首をかしげた。
もう結われることのなくなった銀色の髪がふわふわと肩からこぼれ落ちる。
「ああ、少しは気分がよくなるだろ?」
シャルロットは、すこし困った風にわからないわ、と答えた。
「1年後の卒業式までに、もし、俺がお前を好きになればお前の勝ち。なんでも言うことをきいてやる。その時まだ死にたければ、殺してやったっていい。けど、そうならなければ、そのときは婚約はなかったことにしてくれ」
しばらく私の顔をみあげていたシャルロットは、ええ、と頷いた。
「貴方の言うようにいたします」
シャルロットは自分の意思などないかのようにうなづいた。
『従順なだけの令嬢なぞつまらん』
かつてのシャルロットの婚約者、ウィル殿下の言葉を、思い出した。なるほど、上っ面だけみていればそう見えなくもないか。
つまらん、とは、思えないけれど。
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