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第1章
紅薔薇と鈴蘭
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子爵邸は王都の西、王宮殿の外堀の向こうにある。学園からも程近いけれど、貴族屋敷のある高台ではない地域なのは、祖父の代に地所の殆どを売り払ったからだ。
王宮殿から近いこともあり、なんとなく『ここは王宮殿の馬小屋かな?』というような建物。ちんまりある庭には、母上がいわくありげな花を育てている。
「おかえりなさいませ、ダニエル様」
もはや執事の出迎えも慣れたものだ。こいつがしょうもない奴なのか、母上に強制されたのか。とにかく目を据わらせて執事を見ていると、
「お客様がおいででございます。デイヴィッド様の部屋へおいでください」
と恭しく頭を下げた。デイヴィッドは、二番目の兄で、男爵位をついで今は外交官として国外に住んでいる。一時的に戻ったのだろうか?
面倒なことになったな、と頭をかきながら兄の部屋のドアをたたいた。
「入りなさい」
独特の柔らかく、優しげな声に動きが止まった。兄達の声は俺と同じくもっと野太い。
「ウィル殿下、このようなところへお越しになるとは、何事ですか?」
兄の狭い部屋の、へたれたソファに座った人物。それは、俺にとっては見慣れた、しかし、ここでは一度も見たことのない、ウィル王太子殿下だった。
「忙しいとは思ったのだけれど、君に話をしたくて。学園でのこと、聞き及んでね」
と、目をすうっと細めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お茶をもってきた年配のメイドは、俺が王太子の目の前に座って話をしているのを物珍しそうに見た。下がるように手で指示すると、名残惜しそうにしながらもしぶしぶさがってゆく。
「いい部屋だね、随分読書家なんだな、知らなかった」
海外の本が並ぶ本棚を見遣って、ウィル殿下は言った。
「ここは次兄の部屋ですよ、先日の本もここから。俺の部屋に本はありません」
いや、あるにはあるがモーターショーのカタログとか、新聞記事の切り抜きを貼るスクラップブックくらいだ。
先日の本、という言葉に、ウィル殿下は困ったように眉を下げた。
「最近のマリエッタを、君はどう思う?」
最近?と首を傾げてから、思わずシャルロットを待ち伏せていたマリエッタのことを思い出した。
「相変わらずシャルロットからの嫌がらせが続いていると、彼女は言うんだが、本当かな?」
その言い方には、ウィル殿下自身もそれを信じきれていない様子が見てとれた。
「なにか、王宮殿でありましたか?」
はあ、とまたため息をつき、殿下は項垂れた。
「今月末は私の義弟、ルカの母君…シェーンベルク公爵夫人の誕生日なんだ。それで茶会を催すよう、マリエッタに指示した」
それ自体は、例年どおりの事だ。
「後宮にはエリザ女官長がいる。例年通り滞りなく行える筈では?」
俺は首を傾げた。前にもシェーンベルク夫人や王妃の誕生日の度に、後宮で大規模な茶会が催された。
当時のウィル殿下の話を聞くかぎり、女官長と後宮の女官たちがその全てを取り仕切り、シャルロットはただ諾々と頷いている間に全て整った、という話だった筈だ。
「今月に入って、マリエッタに数回進捗を確認したけれど、エリザ女官長は招待状どころか、資材や食材も手配していなかったし、予算さえ覚束なくて……」
えっ、と俺は聞き返してしまった。王族の茶会がどんなもんかはわからないが、とりあえず学生である生徒会主宰のパーティーでさえ、2ヶ月は準備にかかったのだし、それを側で見ていたマリエッタがしらない筈もない。彼女はどうしてなにも準備しなかったのだろう?
「彼女はエリザの仕事だと思っていた、と言うんだ…母上が万事エリザが心得ている、と説明したからな」
「女官長が嘘を言っていた、ということですか?」
何回目かわからぬため息のあと、ウィル殿下は両手で顔を撫でてから、ああ、と漏れでるような息を吐いた。
「女官長はシャルロットの指示どおりに動いただけで、マリエッタの補助どころか自分の去年の仕事すら再現できない」
それだけじゃないんだ、と足元にあった、革の鞄から一通の書面を取り出した。
「シェーンベルク公爵からだ。昨年までは、母親を王宮へ召し上げられたシェーンベルク令嬢へ、と王宮から誕生日には夫人の手紙やドレス、花などが届いたのに今年は無いが、夫人は息災かと」
え?とその書面に目を通すと、そこには、夫人の長女であるシェーンベルク令嬢がそれをどれ程哀しんだか、切々と書き記されていた。
もしこのまま令嬢への夫人からの連絡がなくなるのであれば、シェーンベルク公爵家は第一王子であるウィル殿下への支持を取り消すとまで書かれている。
「これは、夫人に渡すべき書面では?」
いや、と殿下は書面を鞄へ戻した。
「いままで、シェーンベルク夫人は令嬢の誕生日の前に手紙を書くほかは、何もしていなかったそうだ。贈り物はすべて王家から…シャルロットが王妃に奏上して行われていた」
つまり、シャルロットは妻を奪われたシェーンベルク公爵と王家が争わぬよう立ち回っていたということだ。
「最悪なのは、シェーンベルク夫人は今年も令嬢への手紙を書いてマリエッタに渡していたことだ」
ウィル殿下は膝の辺りを強く握った。
「だが、マリエッタはそれを紛失したというんだ」
慌てた王妃に探すよう促されると、
『私宛てじゃない知らない女の子あての封筒でしたよ?要らなくないですか?』
と、突っぱねたというのだ。
「……せめてシャルロットに相談できたら、と思ったのだが、ロイスがこれをもってきた」
そう言って取り出したのは、例の新聞記事だ。
「君たちは私を見限ったのか?」
哀しむような、それでいてどこか叱責するような、その言い方につい、否定したくなる。
身動ぎした俺の胸ポケットで、シャルロットの髪留めと瓶がぶつかる微かな音がした。その、カチッという小さな音で我に返った俺は、浮かせた腰を落とし脚を組み換えた。できるだけ、余裕があるように。
「見限る、とは?俺はもう貴方の婚約者の護衛からも外され、シャルロット嬢は一介の令嬢に過ぎない。その記事だって、俺にとっては飯のタネでしかなかったし、彼女はマリエッタ嬢を悪くは言ってなかった筈でしょう?殿下ご自身が卒業パーティーで一度読み上げた彼女の悪事だ。いまさら知らない貴族もいない…違いますか?」
悪い奴、というのはこういう奴ですよ殿下、と笑って見せる。勿論いま不敬だと投獄されれば言い訳もたたないが、現状を考えるとそれはないだろう。
「だが!このままでは!」
今は磐石に見えるウィル王太子の王位。
だが、今上である国王はシェーンベルク公爵夫人を奪ったことで、シェーンベルク公爵との仲がかなり険悪と聞く。夫人と国王の子である、ルカ王子を支持したくないという個人的理由で、今のところはウィル殿下を推しているが、それもいつまで続くかは不明瞭なのだ。
シャルロットがそのシェーンベルク公爵の娘に贈り物をしていた、というのは、はじめて知った。彼女なりにウィルの役に立つべく動いていたのか。俺は胸ポケットにある瓶を、服の上から軽く押さえた。
「殿下、我々は貴方の命じたとおり、マリエッタのために去ったんです。その新聞にもそれは書いてあった筈だ」
鈍い痛みが胸を刺す。いっときは王太子や王太子妃に一生仕える覚悟でいたのだから。
「俺はシェーンベルク公爵のようにはならない。お帰りいただけますか?」
駄目だ、待ってくれ、とウィル殿下は立ち去ろうとする俺の腕をつかんだ。
「せめて話を!シャルロットと話をさせてくれないか?マリエッタのために、助言がほしいんだ」
俺は首を傾げる。
「それはゲノーム公爵邸で話すべきで、俺に頼む必要はないのでは?」
ウィル殿下は頭をかかえた。
「私もそう思ったのだが、マリエッタが……」
『ウィルがシャルロット様のところににいらっしゃるなんて!私イヤです!』
と泣いていやがったそうだ。それで、一応対外的にはシャルロットの婚約者である俺に、この話をさせようということになったと。
「残酷なやりかただな、優しいマリエッタらしくない」
ボソッと呟いた俺に、殿下は頼むよ、と言う。
命令しないだけいいが、やはりマリエッタについては盲目すぎる。俺だって殿下のことはいえないが。
読書会では嬉々として公爵邸に来ていたマリエッタが、ここへきて、王宮へ行くようわざわざ俺に伝えさせる理由。おそらくは、あのときガイズからシャルロットを庇ったからだろう。
俺には王宮に勤める兄がいる。貴族としての勤めもある。ぎりっ、と奥歯で音がした。
「わかりました、伝えますが……宮殿へ行くかどうかは、彼女の意思だ」
ウィル殿下はだまって、頭をさげた。
王宮殿から近いこともあり、なんとなく『ここは王宮殿の馬小屋かな?』というような建物。ちんまりある庭には、母上がいわくありげな花を育てている。
「おかえりなさいませ、ダニエル様」
もはや執事の出迎えも慣れたものだ。こいつがしょうもない奴なのか、母上に強制されたのか。とにかく目を据わらせて執事を見ていると、
「お客様がおいででございます。デイヴィッド様の部屋へおいでください」
と恭しく頭を下げた。デイヴィッドは、二番目の兄で、男爵位をついで今は外交官として国外に住んでいる。一時的に戻ったのだろうか?
面倒なことになったな、と頭をかきながら兄の部屋のドアをたたいた。
「入りなさい」
独特の柔らかく、優しげな声に動きが止まった。兄達の声は俺と同じくもっと野太い。
「ウィル殿下、このようなところへお越しになるとは、何事ですか?」
兄の狭い部屋の、へたれたソファに座った人物。それは、俺にとっては見慣れた、しかし、ここでは一度も見たことのない、ウィル王太子殿下だった。
「忙しいとは思ったのだけれど、君に話をしたくて。学園でのこと、聞き及んでね」
と、目をすうっと細めた。
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お茶をもってきた年配のメイドは、俺が王太子の目の前に座って話をしているのを物珍しそうに見た。下がるように手で指示すると、名残惜しそうにしながらもしぶしぶさがってゆく。
「いい部屋だね、随分読書家なんだな、知らなかった」
海外の本が並ぶ本棚を見遣って、ウィル殿下は言った。
「ここは次兄の部屋ですよ、先日の本もここから。俺の部屋に本はありません」
いや、あるにはあるがモーターショーのカタログとか、新聞記事の切り抜きを貼るスクラップブックくらいだ。
先日の本、という言葉に、ウィル殿下は困ったように眉を下げた。
「最近のマリエッタを、君はどう思う?」
最近?と首を傾げてから、思わずシャルロットを待ち伏せていたマリエッタのことを思い出した。
「相変わらずシャルロットからの嫌がらせが続いていると、彼女は言うんだが、本当かな?」
その言い方には、ウィル殿下自身もそれを信じきれていない様子が見てとれた。
「なにか、王宮殿でありましたか?」
はあ、とまたため息をつき、殿下は項垂れた。
「今月末は私の義弟、ルカの母君…シェーンベルク公爵夫人の誕生日なんだ。それで茶会を催すよう、マリエッタに指示した」
それ自体は、例年どおりの事だ。
「後宮にはエリザ女官長がいる。例年通り滞りなく行える筈では?」
俺は首を傾げた。前にもシェーンベルク夫人や王妃の誕生日の度に、後宮で大規模な茶会が催された。
当時のウィル殿下の話を聞くかぎり、女官長と後宮の女官たちがその全てを取り仕切り、シャルロットはただ諾々と頷いている間に全て整った、という話だった筈だ。
「今月に入って、マリエッタに数回進捗を確認したけれど、エリザ女官長は招待状どころか、資材や食材も手配していなかったし、予算さえ覚束なくて……」
えっ、と俺は聞き返してしまった。王族の茶会がどんなもんかはわからないが、とりあえず学生である生徒会主宰のパーティーでさえ、2ヶ月は準備にかかったのだし、それを側で見ていたマリエッタがしらない筈もない。彼女はどうしてなにも準備しなかったのだろう?
「彼女はエリザの仕事だと思っていた、と言うんだ…母上が万事エリザが心得ている、と説明したからな」
「女官長が嘘を言っていた、ということですか?」
何回目かわからぬため息のあと、ウィル殿下は両手で顔を撫でてから、ああ、と漏れでるような息を吐いた。
「女官長はシャルロットの指示どおりに動いただけで、マリエッタの補助どころか自分の去年の仕事すら再現できない」
それだけじゃないんだ、と足元にあった、革の鞄から一通の書面を取り出した。
「シェーンベルク公爵からだ。昨年までは、母親を王宮へ召し上げられたシェーンベルク令嬢へ、と王宮から誕生日には夫人の手紙やドレス、花などが届いたのに今年は無いが、夫人は息災かと」
え?とその書面に目を通すと、そこには、夫人の長女であるシェーンベルク令嬢がそれをどれ程哀しんだか、切々と書き記されていた。
もしこのまま令嬢への夫人からの連絡がなくなるのであれば、シェーンベルク公爵家は第一王子であるウィル殿下への支持を取り消すとまで書かれている。
「これは、夫人に渡すべき書面では?」
いや、と殿下は書面を鞄へ戻した。
「いままで、シェーンベルク夫人は令嬢の誕生日の前に手紙を書くほかは、何もしていなかったそうだ。贈り物はすべて王家から…シャルロットが王妃に奏上して行われていた」
つまり、シャルロットは妻を奪われたシェーンベルク公爵と王家が争わぬよう立ち回っていたということだ。
「最悪なのは、シェーンベルク夫人は今年も令嬢への手紙を書いてマリエッタに渡していたことだ」
ウィル殿下は膝の辺りを強く握った。
「だが、マリエッタはそれを紛失したというんだ」
慌てた王妃に探すよう促されると、
『私宛てじゃない知らない女の子あての封筒でしたよ?要らなくないですか?』
と、突っぱねたというのだ。
「……せめてシャルロットに相談できたら、と思ったのだが、ロイスがこれをもってきた」
そう言って取り出したのは、例の新聞記事だ。
「君たちは私を見限ったのか?」
哀しむような、それでいてどこか叱責するような、その言い方につい、否定したくなる。
身動ぎした俺の胸ポケットで、シャルロットの髪留めと瓶がぶつかる微かな音がした。その、カチッという小さな音で我に返った俺は、浮かせた腰を落とし脚を組み換えた。できるだけ、余裕があるように。
「見限る、とは?俺はもう貴方の婚約者の護衛からも外され、シャルロット嬢は一介の令嬢に過ぎない。その記事だって、俺にとっては飯のタネでしかなかったし、彼女はマリエッタ嬢を悪くは言ってなかった筈でしょう?殿下ご自身が卒業パーティーで一度読み上げた彼女の悪事だ。いまさら知らない貴族もいない…違いますか?」
悪い奴、というのはこういう奴ですよ殿下、と笑って見せる。勿論いま不敬だと投獄されれば言い訳もたたないが、現状を考えるとそれはないだろう。
「だが!このままでは!」
今は磐石に見えるウィル王太子の王位。
だが、今上である国王はシェーンベルク公爵夫人を奪ったことで、シェーンベルク公爵との仲がかなり険悪と聞く。夫人と国王の子である、ルカ王子を支持したくないという個人的理由で、今のところはウィル殿下を推しているが、それもいつまで続くかは不明瞭なのだ。
シャルロットがそのシェーンベルク公爵の娘に贈り物をしていた、というのは、はじめて知った。彼女なりにウィルの役に立つべく動いていたのか。俺は胸ポケットにある瓶を、服の上から軽く押さえた。
「殿下、我々は貴方の命じたとおり、マリエッタのために去ったんです。その新聞にもそれは書いてあった筈だ」
鈍い痛みが胸を刺す。いっときは王太子や王太子妃に一生仕える覚悟でいたのだから。
「俺はシェーンベルク公爵のようにはならない。お帰りいただけますか?」
駄目だ、待ってくれ、とウィル殿下は立ち去ろうとする俺の腕をつかんだ。
「せめて話を!シャルロットと話をさせてくれないか?マリエッタのために、助言がほしいんだ」
俺は首を傾げる。
「それはゲノーム公爵邸で話すべきで、俺に頼む必要はないのでは?」
ウィル殿下は頭をかかえた。
「私もそう思ったのだが、マリエッタが……」
『ウィルがシャルロット様のところににいらっしゃるなんて!私イヤです!』
と泣いていやがったそうだ。それで、一応対外的にはシャルロットの婚約者である俺に、この話をさせようということになったと。
「残酷なやりかただな、優しいマリエッタらしくない」
ボソッと呟いた俺に、殿下は頼むよ、と言う。
命令しないだけいいが、やはりマリエッタについては盲目すぎる。俺だって殿下のことはいえないが。
読書会では嬉々として公爵邸に来ていたマリエッタが、ここへきて、王宮へ行くようわざわざ俺に伝えさせる理由。おそらくは、あのときガイズからシャルロットを庇ったからだろう。
俺には王宮に勤める兄がいる。貴族としての勤めもある。ぎりっ、と奥歯で音がした。
「わかりました、伝えますが……宮殿へ行くかどうかは、彼女の意思だ」
ウィル殿下はだまって、頭をさげた。
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